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 いつか王子様が

朝からPCでの作業。のはずだったが。机に向かったものの、イマイチ集中できない。コーヒーを入れ、iTunesを開く。元気がないから、チック・コリアの名曲「Spain」でも聞こうかな。チック・コリアのCDは何枚か持っているが、今日はCherylnn Popeのボーカルにしよう。♪♪♪悪かないけど‥。やっぱ、寺井尚子のほうがよさそう。う〜ん、そうそう。こっちのほうがいい。バイオリンの音色が心にしみるぜ。スペインという感じなんだよね。うん、うん、名演奏だ。
さて、仕事でもするか。と思ったら、ケータイの音。仕事の打ち合わせだ。

ケータイを充電しながら、メールのチェック。案の定、迷惑メールがたくさん。ケータイのメールは、ほとんど使わない。チェックも3日に一度くらいだ。とはいっても、迷惑メールには困ってしまう。面倒だから、アドレスを変えよう。
変更は、どうやるんだっけ。

また電話の音。明日、松本に行けるかという内容。町並なんかを撮るのだという。明日ならOKと返事をした。電話を切り、天気予報を見たら、明日は雨のち曇り。どうしよう。いいのかな。

「Somewhere over the Rainbow」を聞く。この曲はそれこそいろんな人が歌っているが、お気に入りはハリー・ニルソン。つい目を閉じてしまう。
この曲で連想するのが、「Someday my prince will come(いつか王子様が)」。定番は、やはりマイルス・デイビスだろうか。聞き慣れているし。

全然関係ないが、「夢に見た 王子は中古車 乗って来た」という川柳があったっけ。世の中、まあそんなもんだろう。

気がついたら、もう昼。ああ、午前中はなにもしなかった。

2008.10



 庭のネズミ

何気なく庭を見ていたら、地面でなにやら動くものが‥。目を凝らすと、なんとネズミではないか。落ちた柿を一生懸命食べていた。小刻みにせわしなく動いているので、250分の1秒のシャッタースピードが必要だった。

庭でネズミを見るのは、もちろん初めてのこと。曇天とはいえ、真っ昼間にうろうろするとは。とにかくびっくり。大きさからいって、ハツカネズミだろうか。なんともかわいらしい。このネズミ、どこからやって来たんだろう。いつからいるんだろう。また見れるだろうか。

写真の落ち葉は、秋の落葉ではない。伝染性の病気だと思う。アズキナシが小枝ごと枯れた。枝の数は10本ほど。根元のユスラウメ(実生)も半分の枝が枯れた。ウリハダカエデは、もう完全に枯れてしまった。ウィルスかな。心配だ。

2008.09



 友人F 2の2

Fのところにいたのはほんの3カ月間だが、とにかくいろんなことがあった。9月に入ると、大学の授業が始まった。おれの学校は江古田。アパートも江古田。歌舞伎町は遠いんで、バイト先を池袋に変えた。池袋は、西口にあったアダムスアップルという店。数カ月後、江古田から目白に引っ越して、歌舞伎町のカンタベリーハウスに戻るのだが。

特別な事件やトラブルがあったわけでも、意識して避けたわけでもないが、だんだん東中野から遠ざかった。大学の4年のころには、ほとんど行かなくなった。そして卒業後、2年ほどしておれは長野に帰った。帰る間際、Fに電話した。その当時、Fの住まいは新宿。電話で聞いたマンションを尋ねると、Fは不在。M子がいて、ふたりで花札(こいこい)をした。これがM子に会った最後。

それから数年後。Fが長野に戻り、コンビニを始めたという噂を聞いた。場所は長野市の川中島。国道沿いの実家の敷地だ。夜、そこを通るたびに、車窓から店内を見た。ときおりFがカウンターに立っていた。
おれは、そのコンビニには一度も行かなかった。会わない理由はなにもなかったが、なぜか会わなかった。

一昨年のこと。中学校の同窓会に行ったら、Fが来ていた。会うのは27年ぶりだ。並んで座り、一緒に酒を飲んだ。たいした話はしなかったが、Fはどんどん飲んだ。級友に会えて、うれしかったのだろう。そして、しまいには酔いつぶれてしまった。おれが送り届けるからと、タクシーを呼んでもらった。Fを車に押し込み、おれはFの家に向かった。タクシーの中で、Fはこう言った。なあ、林。もう一軒行こう。昔みたいに。なんなら、おれの店に行こう。たいした店じゃないけどさ。
Fは、スナックをやっていたのだ。コンビニを閉店したのは知っていたが、スナックのことはちっとも知らなかった。そのスナックにFを置くと、おれは同窓会の店に戻った。Fの友人だったKがおれを待っていて、こう言った。悪かったな。Fとは、もうつき合っていないんだ。なんとなくね。おれは、Kの言葉に驚いた。KはずっとFとつき合っているものとばかり思っていたからだ。

昨年の中学校の同窓会には、Fは来なかった。

そして昨夕、Fとすれ違った。でも、おれはFを呼び止めなかった。考えたことはなかったが、Fはおれの人生を大きく変えた人間なのかもしれない。よかったのか、悪かったのか。今になっても、それはわからない。

昔のことをだんだん思い出した。Fよ、覚えているかな。おれが女装したときのことを。どうしてあんなことをしたんだろう。その辺のことはちっとも覚えていない。M子とS子が、化粧をしてくれた。とんでもない厚化粧。M子の浴衣を着て、M子の下駄を履いた。出かける段になり、M子がタンスからブラジャーを取り出し、こう言った。これを付けて。さすがに断ったが、もう大騒ぎ。タクシーに乗り、みなで歌舞伎町に繰り出した。おもしろかったなあ。Fよ、そんな昔話をいつかしよう。ゆっくり飲みながら。

2008.08



 友人F 2の1

昨夕のこと。コンビニの入り口でFとすれ違った。すぐ振り返ったが、Fはそのまま行ってしまった。おれに気がつかなかったのだろう。おれは、呼び止めなかった。

Fは中学校の同級生。職員室前の廊下に何度も正座させられた仲間だ。Fは、おれとは別の高校に進学。Fが起こした事件の噂を何度も聞いたが、高校時代はほとんど会うことがなかった。Fの父親は有力者だったので、Fはなんとか高校を卒業。そして、東京の大学に進学した。

おれが大学1年の夏のこと。東中野のFのアパートを尋ねた。どういうきっかけ、どういういきさつかは、どうしても思い出せない。昼飯でも食べてすぐ帰るつもりだったが、数年のブランクがあったにもかかわらず、Fとたちまち意気投合。なんと、そのまま秋までFのアパートに居候してしまった。江古田の自分のアパートには週に一度くらいの頻度で帰ったが、郵便物などをチェックし、すぐまた東中野に戻った。

Fは、福島出身の色白のきれいなM子と暮らしていた。元バスガイドとかで、歌が大好き。話をしていても、突然歌い出した。まるでミュージカルのよう。笑ってしまう。M子は花札やさいころに目がなくて、こいこい、おいちょかぶ、チンチロリンなんかの相手をよくさせられた。歌舞伎町のクラブに勤めていて、夕方になると、念入りに化粧を始めた。
FはFで、歌舞伎町のマドレーヌという小さなバーを任されていた。時間になると、M子とタクシーに乗って歌舞伎町に出勤。勤めに行くのも帰るのも、いつもタクシー。東中野なので、夜でも500円か600円くらいだったはずだ。
おれは、たいていは留守番。といっても、いつもひとりじゃない。おれは居候だけど、遊びに来ているのがだれかしらいたものだ。自分もそうだけど、わけのわからない男、女がたくさん出入りしていた。今思うと、別世界だ。

Fたちはベッドの部屋。おれたちは居間で雑魚寝。朝は10時頃起きて、カレーとか焼きそばなんかを作ってゆっくり食事をした。そして、マージャン。土日は、朝から競馬。Fは、知り合い相手に競馬の呑み屋をしていた。競馬新聞を開き、短波ラジオを聞きながら、客からの電話を待った。客は十数人ほどだったが、「払い戻しは月曜日、支払いは1割引きで金曜日」という取り決めなので、そこそこ人気があった。ときおり高額配当の注文があるときは、横にいるおれまでビビったものだ。そういうレースはやばいんで、外(場外馬券売り場)にいる友人に券を実際に買ってもらったりした。お遊びの呑み屋なんで、儲けなんかたかが知れていたが、なんかおもしろかったなあ。

水商売の女もたくさん出入りしていた。「お茶を引く」とか「お茶っ引き(おちゃっぴき)」などという言葉を覚えた。店によっては、客と一緒に出勤する「同伴日」というのがあって、頼まれてその役をしたこともあった。もちろんロハで。

そのころの写真が何枚か残っている。1974年8月、みんなで山中湖に行ったときのものだ。キャンピングカーを手配して運転したのは、おれの高校の同級生のT。これが不思議。FとTとは面識がなかったはずだ。紹介したのは、おれではない。Tは、Fの友人の友人だったのだ。おれの高校の同級生だったということは、偶然の偶然。実際、高校時代はTとは同じクラスにいながら、ほとんど口をきいたことがなかった。卒業後に仲良くなるなんて、夢にも思わなかった。
写真の話。山中湖でボートを漕ぐおれの前で笑っているのが、M子の友人のS子。笑ってはいるが、左手首の包帯が生々しい。実は数日前に手首を切って、救急車で運ばれていたのだ。詳しい話は聞かなかったが、恋愛関係のもつれらしい。S子は酔うと、おれにいつもこう言った。わたしのだんなになって。もちろん冗談。S子はおれよりずっと年上だと思っていたら、実際の年を聞いてびっくり。きれいな女だったらフラフラしたろうが‥。なんといっても、別れ話で手首を切るような女だもんね。気の小さいおれは、完全にビビってしまった。

高校の同級生Tと相談した。夜、歌舞伎町で働こう。で、行ったのがカンタベリーハウスギリシャ館というディスコ。

2008.08



 女房のこと

「あの年頃の女の子って、本当にかわいい」と、買い物帰りに女房が言った。すぐ妙齢のかわいい娘を探してしまったが、女房の言ったのは手を引かれた3才くらいの娘のことだった。あきれ顔の女房。いつものことだけど。

女房は、おれより七つ年下。ヨガ教室のインストラクターの助手のようなことをときどきしている。きれい好きで、毎日1時間かけて掃除(雑巾がけなど)をする。きれい好きはいいんだけど、ちょっと迷惑なときも。

女房は、まったく化粧をしない。これほど化粧しない女も珍しいのでは。考えたら、化粧した顔を見たことがあるのかな。思い出せない。おれたちは結婚式をしていないので、女房は花嫁姿になったことがない。そういえば、15年くらい前かな。義妹の結婚式のときは、直前に口紅を塗ってたな。もちろん口紅は借り物。女房は化粧品を一切持っていないのだ。本人曰く。わたしくらいお金のかからない女はいない。それはそうだけど。

つき合う前、女房が22才か23才のころかな。なにかのパーティで着物だったけど、あのときは化粧していたかも。それにしても、あんときの女房、着物姿でほんとにかわいかったなあ。つい見とれてしまった。これは、映画の有名な台詞。知り合ったころ、女房は食べてしまいたいほどかわいかった。今にして思えば、あのとき食べておけばよかった。

女房の体型は、まあ普通。普通なんだけど、体重が乱高下するらしい。ときおり洗面所から悲鳴が聞こえてくる。
ここで川柳を一句紹介。 世界一 怖い乗り物 体重計


先日、珍しく女房と飲みに出かけた。10年ぶりかな。ひょっとして15年ぶり。考えたら、今まで二人で飲みに行ったのは、計10回あるのかな。これからは年に一度くらいは飲みに行こう。あの手この手でご機嫌を取っておかないとね。

とにかくいい女房だ。

2008.07



 娘のこと

娘は、中学の2年生。ほっそりしていて、背が高い。もうすぐ170cmだろう。バスケットをしていて、いつもお腹を空かせている。「なにか食べるものは」というのが口癖。好物は、餃子、カレー、ハンバーグ、チョコレートなど。

本が大好きで、毎日なにかしら読んでいる。勉強はあまりしないが、成績は息子に比べるとかなりいい。
明るくてとてもいい性格なのだが、片付けが大の苦手。出したら、出しっ放し。脱いだら、脱ぎっぱなし。林さんにそっくりと、女房がこぼしている。
最近の悩みは、足のサイズが大きいこと。履ける靴がなかなかないのだ。かわいそう。

中2になっても、まだおれにまとわりつく。うるさいくらい。「邪魔だからあっちに行け」と言っても、ちっとも気にしない。ときおり一緒に寝ようと誘いにくる。忙しいからと断ると、ふくれてしまう。女房がどうしてとと(おれのこと)と寝たいの?と聞くと、寂しいからと答える。おれが横で、「まあ、たいがいの女はおれと寝たがるな」と冗談を言うと、娘はキャーキャーと大喜び。女房はというと、またまたあきれ顔。

娘は、夏休みに家族でキャンプに行きたいらしい。そういえば、去年も一昨年も行かなかったなあ。今年は重い腰を上げようかな。

とてもいい子だ。

2008.07



 息子のこと

息子は、高専の1年。普通高校には行かなかった。ちっとも理数系じゃないのに。
身長はおれと同じ174cm。あと5cmは伸びそう。バスケットをしていて、帰宅時間は夜の9時過ぎ。なんでもよく食べるが、好物は甘いもの。

「将棋をやろうよ」と息子によく言われるが、最近はやらない。もう勝てないからだ。昔は楽勝だったんだけどね。映画の好みは多少違うが、DVDはよく一緒に見る。

中学校では無遅刻無欠席。まあ真面目でおとなしい性格なのだが‥。とにかく、なにごともぐずぐずのろのろ。なにをやらせても、やたら遅い。気の短いおれとしては、腹が立つほど。朝もすぐ起きられない。目覚まし時計のアラームが鳴っても、微動だにしない。3度ほど起こしに行くのだが、いつも呆れてしまう。着替えもしかり。食事もしかり。バッグに本やノートを詰め込むときも、そばでイライラしてしまう。電車に乗り遅れることも度々で、将来が心配だ。
「一を聞いて十を知る」という言葉がある。息子はほど遠い。川柳に「一を聞き せめて一だけ やってくれ」というのがある。まあそんな感じ。とはいっても、おれの高1のときに比べたらずっとましかな。

なんだかんだいっても、とてもいい子だ。

2008.07



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