« アルかニダ58 | メイン | 無防備宣言 »

2006年11月14日

朝日新聞12

そういえば、自らの国家や民族に固執する右翼系の若者が世界的に増えているという事実も、多少気になるところだが。

これはかつて朝日新聞が、ファッション記事に載せた締めの言葉。

記事

■「日の丸」デザインに緊張感 コムデギャルソンの挑戦

 日の丸は美しいか? 10月に開かれた07年春夏パリ・コレクションで、コムデギャルソン(川久保玲)が日本の国旗を
モチーフにした新作を発表し、少なからぬ反響を巻き起こした。大きな反発や非難はなかったが、会場で感じられた戸惑い
やあいまいさに、日の丸や日本への視線が透けて見えた。

写真

日の丸をプリントした白地のジャケット=10月2日、パリで(撮影・大原広和氏)

 コムデギャルソンのショーでは、赤い太陽がほぼすべての服に登場した。Tシャツにプリントされ、続いてジャケットや
スカートの大きな模様になり、「白地に赤」は抽象的なストライプとしても使われた。

 デザインの主題は紛れもなく「日の丸」だった。ショーの音楽や演出はことさら日本を強調するものではなかったが、
観客席には互いの反応を探り合うような、緊張感が走った。

 ショー後の舞台裏で、川久保氏は「主題はキュービスム」、日の丸は「究極のシンプルな美しいデザインなので」と語った。
服の形と日の丸を解体して新たに構成したとの趣旨だった。

 しかし解体・再構築についていえば、川久保氏は従来もっと冒険的で精巧に積み重ねてきた。立体を平面上で表現する
キュービスムも、もともと立体である服にはあまりそぐわない。

 言外に意図したのは、日の丸イメージの再構築だったのではないか。日の丸を抱いた服は、赤と白、強さとフェミニンな
しなやかさ、攻撃性ともろさ、といった対比に富んでいた。

 海外のメディアでは、フィガロ紙は「日本はキレる? 伝統に亀裂が? 川久保はそう言っているように見える」。スタイル・
ドット・コムは「安倍晋三が新首相に選ばれ日本が微妙な転換期にある今、あの赤い丸に注目せざるを得ない」として、
「彼女は自身が思う純粋な日本の美をあえて表明した」と評した。

 だが、こうした明快な言い方は例外的。ヘラルド・トリビューンの「川久保の反逆的な直感」など、日の丸については踏み
込みを避けた論評が多かった。

 中国や韓国の観客は会場にほとんどいなかった。ベトナム人デザイナーは「彼らが冷静に受け止めるかどうか疑問だね」
と語った。

 川久保氏にも日の丸使用へのためらいはあったという。造形としての美しさに「送り手も受け手も素直になれない」、
すっきりとしない、あいまいな状況へのいら立ちを、帰国後、示した。そして「国にも何とかしてもらわないと」と。

 ショーでは、出来損ないの日本髪のようなヘアや下手な白塗りメークなど、近代日本の西欧化のちぐはぐさを揶揄(やゆ)
するような毒もはらんでいた。だが、服全体は極めて美しかった。

 「色々ありましたけれども……」。今回の新作は、批評性を保ちつつも日の丸に象徴された近・現代日本を何とか引き受け
ようとする試みだったようだ。

 この姿勢は、日の丸や日本の美しさを安易に語ることへの警鐘でもある。しかし最も挑戦したかったのは、批判も肯定も
しにくい状況だったように思える。

投稿者 ひなみ : 2006年11月14日 23:18

コメント

コメントしてください




保存しますか?