※以下は、京都産業大学の高島研究室の記事を見やすくしたものです。
 http://www.kyoto-su.ac.jp/~takasima/syohisha.html

消費者保護法:その1
悪徳商法(詐欺的商法)の意義と法的問題点

1.はじめに

(1)悪徳商法とは?

 厳密な定義はないが、不当な取引内容(対価の不均衡、論理的に破綻することが明らかなシステムの採用など)、不当な勧誘方法(強迫ないし不当な威圧行為、虚偽の申述、消費者の錯誤ないし誤解の惹起、不安の惹起その他)によって特徴づけられる、消費者を一方当事者とする取引類型の総称である。
 取引内容自体が既に刑事上ないし民事上違法である場合と、取引内容自体は違法とまではいえないが、勧誘行為が違法と評価される場合とに分かれる。違法性についても、刑法上の詐欺ないし脅迫に当たる場合、民事上の公序良俗違反や詐欺ないし強迫に当たる場合、民事上の損害賠償義務の前提としての違法性を帯びる場合等がある。1970年代後半から社会問題化。本来、法的に見て問題がある取引であるのに、これを「商法」と呼ぶこと自体がそもそもおかしい?

(2)悪徳商法の種類

(a)現物まがい商法(ペーパー商法ともいう)

 豊田商事事件の例:消費者との間で、金などの現物を販売すると見せかけて売買契約を締結し、代金を受領すると、現物は渡さずに直ちに保管契約(消費寄託契約)を結んで、預り証券(豊田商事の場合、「純金ファミリー証券」)だけを交付するという商法。実際には、売った量に相当する金ははじめから有していない。
※このような商法自体が破綻するのは当初から明らかなのに、なぜこのような商法がおこなわれるのか?→権利を有しているということと、それが実現できるということは全く次元が別。豊田商事事件の被害者は、確かに豊田商事という法人に対して代金の返還請求権を有するが…?→法人のみならず、法人の従業員に対しても責任を追及する方法は?

(b)会員権商法

 鹿島商事事件の例:(a)の「純金ファミリー証券」が「豊田ゴルフクラブ会員権」に変わっただけで、あとは実質的に同じ商法。会員権を顧客が購入し、これを豊田ゴルフクラブに10年間賃貸すれば、毎年12パーセントの賃借料を受けられるというもの。実際には、ゴルフクラブは申し訳程度に営業しているだけで、会員権自体にほとんど価値はなく、また、値上がりも期待できず、さらに、会員権を賃借する相手も見つけられない。リゾート施設会員権、ホテル会員権、英会話教室会員権等々。

(c)原野商法

 湿地、急傾斜の山林など、ほとんど取引価値のない土地を、虚偽の情報提供により(住宅地に転用できる、将来値上がりするなど)、通常の数倍から数十倍の価格で売却する商法。その他、宅建業者による不当勧誘が問題になる場合も多い(例えば、絶対値上がりします、転売先を探します、買い戻します、などの文言で勧誘する)。
※実際にあった事例として、北海道にある363坪の土地が160万円で売却されたが、実際は全く利用価値がない、総額1万円の土地だった。

(d)霊感商法

 「手相を無料で見てあげます」などと話を持ちかけ、印鑑の販売から始まり、本人・家族・親戚などの事故、病気がオカルト的原因に基づくと不安を煽り立てたうえ、お札、壺、霊水?などを高額で売りつける商法。

※以上、(a)〜(d)は、実質的に見れば、全く価値のない紙切れや原野、壺などを高額で購入させられているという点で共通する(対価不均衡型)。もちろん、不当勧誘がこれに加わることが多いのはいうまでもない。

(e)抱き合わせ商法

 商品とサービスを抱き合わせ、あたかもサービスの売買であるかのように見せかけて、実は高額の商品を売りつける商法。例えば、英会話教材などの商品を売りつけるために、表面上はレジャー施設が無料で使用できる会員権契約という名目で契約させ、会員には英会話教材がサービスとしてついている、などと説明しておく。ところが、会員権は実際にはほとんど利用価値がなく、実質的には英会話教材を買わされたに等しい。

(f)マルチ商法(連鎖販売取引、マルチレベルマーケティング、ピラミッドセリング)

・ねずみ講(無限連鎖講)と連鎖販売取引の違い
 ねずみ講は違法行為であるが(無限連鎖講防止法5条〜7条)、マルチ商法(連鎖販売取引、訪問販売法11条〜16条)は常に違法というわけではない。
・ねずみ講:「第一相互経済研究所」事件(長野地裁昭和52年3月30日判決)
 親会員が順次4名を勧誘して入会させ、会員になる者は5代先の先順位会員に対し1000円を、第一相研に対し入会金1028円をそれぞれ送金してメンバーとなるもので、各会員は5代後の会員1024名(1→4→16→64→256→1024)のそれぞれから金1000円、合計102万4000円の送金を受けて完結するというシステム。
※近時(1997年〜)、インターネット上で「ペンタゴノ」などのネズミ講が広がっており、逮捕者もでている。

・連鎖販売取引:ベルギーダイヤモンド事件(大阪高裁平成5年6月29日判決他多数)
 顧客が宝石(40万円程度)を購入し、受講料を支払って講習を受けると会員になることができ、会員が宝石販売の媒介をし、新たな顧客に宝石を購入させて新会員にすると所定の手数料を受け取ることができ、しかも上位者になるほど多くの手数料を得られるというシステム。→無限に会員を増やすことは不可能であるため、いつかは破綻する点でねずみ講に類似するが、加入者が単に金銭を支出するのではなく、宝石の購入という形をとっているため、その評価が問題になる。多くの判決はシステム自体を違法とする。

・マルチ商法の特質:上位の者が、下位の者の参加や販売によって、自動的に一定利益を獲得できる構造→多数者の経済的損失の上に一部の者だけが利益を得る。→基本的に人狩り商法
※マルチ商法の被害は、単に出費した費用が返ってこない点だけではなく、当該商法に参加した消費者の人間関係が破綻する点にある。
 
〔無限連鎖講の防止に関する法律〕

 第1条 この法律は、無限連鎖講が、終局において破たんすべき性質のものであるのにかかわらずいたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的な損失を与えるに至るものであることにかんがみ、これに関与する行為を禁止するとともに、その防止に関する調査及び啓もう活動について規定を設けることにより、無限連鎖講がもたらす社会的な害悪を防止することを目的とする。

 第2条 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。

 第3条 何人も、無限連鎖講を開設し、若しくは運営し、無限連鎖講に加入し、若しくは加入することを勧誘し、又はこれらの行為を助長する行為をしてはならない。


 
〔訪問販売法第11条〕

@この章並びに第二十条の二第一項及び第二十一条において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあつせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあつせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の通商産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供で政令で定める基準に該当するものをいう。以下同じ。)をすることを条件とするその商品の販売若しくはそのあつせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。

Aこの章並びに第二十条の二第一項及び第二十一条において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、若しくは連鎖販売業に係る役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、連鎖販売業に関する広告を自己の名において行い、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等一連の連鎖販売業を実質的に統括する者をいう。

Bこの章において「取引料」とは、取引料、加盟料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

※法律の文言を具体例に当てはめると…
「物品の再販売、受託販売、販売斡旋などの事業」を具体的に言うと→私が良い商品を卸してあげるからあなたが友達に売りなさい。
 「特定利益を収受しうることをもって勧誘」を具体的に言うと→友達をこの会に入会させれば、その入会金や売上金のうち、数パーセントはあなたのものですよ。
 「特定負担をすることを条件とする」を具体的に言うと→組織に加入するには2万円の入会金が必要です。
 
〔訪問販売法第17条(連鎖販売取引における契約の解除)〕

@連鎖販売業を行う者がその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結した場合におけるその契約の相手方(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。)は、第十四条第二項の書面を受領した日(その契約に係る特定負担が再販売をする商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。以下この項において同じ。)の購入についてのものである場合において、その契約に基づき購入したその商品につき第十一条第一項の政令で定める基準に該当することとなる最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日)から起算して二十日を経過したときを除き、書面によりその契約の解除を行うことができる。この場合において、その連鎖販売業を行う者は、その契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

A前項の契約の解除は、その契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。

B第一項の契約の解除があつた場合において、その契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とする。
C前三項の規定に反する特約でその契約の相手方に不利なものは、無効とする。


 

(g)内職商法
 「高収入、誰にでもすぐできる」などの文言で人を集めるが、実際には高価な物品を買わせたり、高額の講習料を支払わせたりする商法。
・ゴルフボール、ステンドグラス、軍手などの製造の内職
 自宅で高収入が得られると宣伝し、仕事を始める条件として高額な機械を売りつける。ところが機械を使って製造した物品は難癖を付けて買い上げない。
・ワープロ、アニメの下絵書きなどの内職
 講習会を受ければ内職を斡旋するとの触れ込みで高額な講習料を払わせ、実際には仕事を斡旋しない。
・宛名書き
 「宛名書きで高額報酬」などの広告を出して人を集めておき、実際には宛名を書くことによる報酬ではなく、宝石などのダイレクトメールを出させて、購入者が出た場合にのみ売り上げから報酬が支払われるというシステムに取り込む。

(h)士(さむらい)商法
 講座を受験すると何らかの資格が得られる、この資格は近い将来国家資格になるなどの触れ込みで申込金や受講料を支払わせるが、実際には架空の資格であったり、公的な資格ではなくほとんど役に立たないものであったりする。

(i)キャッチセールス・アポイントメントセールス
・キャッチセールス
 通りで通行人に声をかけて商品を売りつける商法。最初は物を売るという目的を隠して近づくのがポイント。アンケートを装って全身美容の契約を締結させられる、モデルにならないかと声をかけて養成学校代として数十万円の授業料を振り込ませる、等々。
・アポイントメントセールス
 電話で営業所に呼び出し、英語教材や会員権を売りつける商法。「豪華景品が当たったから営業所まで取りに来て下さい」などといって呼び出す。
※キャッチセールス・アポイントメントセールスには、訪問販売法の適用がある(同法2条1項2号)。

(j)保険会社、銀行等による不当勧誘(変額保険)
 相続税対策として、銀行から借金をさせて「変額保険」(元本割れの危険がある特殊な保険)に入らせる。→バブルがはじけて社会問題化
※変額保険:保険料積立金を主として株式などの有価証券により運用し、その運用実績に従って保険金額・解約払戻金額を変動させる生命保険契約。

(k)先物取引
・先物取引とは→商品の総代金の1割程度の証拠金を支払って数ヶ月先に現物を受け渡しする約束で売買を成立させておく取引をいう。
・先物取引のリスクヘッジ機能:豆腐屋さんが、安定した価格で大豆を仕入れたい。→1ヶ月先に、指定値で大豆を買い付ける権利を設定しておく。
・向い玉:顧客の注文に対して業者が反対の自己玉を立てておくこと。顧客から受け取った金銭を自社に留保することができる。
・呑み行為:顧客の売買注文を商品市場に取り次がないこと。この場合は業者が顧客の売買注文の相手方になるので、顧客の損失がそのまま業者の利益になり、顧客の利益はそのまま業者の損失になる。
 →最初から顧客に儲けが出るような取引をするつもりはない!→顧客にはまともな取引であると思わせて損失に終わるようにしなければならない(いわゆる「客殺し」の必要性)。→顧客に損失が出た場合には「損失を最小限にとどめるには反対の建て玉をするしかない」などと述べてその都度新たな証拠金を出させる(両建て)、顧客が儲け続けているときには適当な口実をつけて一旦取引を終了させ、反対の玉を立てさせる(ドテン)、無意味な売買の繰り返しにより手数料を稼ぐ、解約を引き延ばす、等々。

※上記2類型は、この種の取引をなす経済力のある消費者に、適切な情報提供(取引の構造、リスクとメリットなど)がなされたうえで契約が締結されていれば、取引内容それ自体は違法ではない。問題となるのは、取引適合性を欠く消費者に、何らリスク等の重要事項を説明せず(あるいは紛らわしい情報を提供して)、取引が勧誘された場合である。
→公序良俗違反や錯誤、詐欺とされる場合は少なく、民法709条の不法行為責任を業者に認めたうえ、民法722条2項に基づき、数割の過失相殺がなされている事例が多い。

(l)システム金融
 資金繰りに困った中小企業の経営者に対し、複数の貸金業者が当該経営者の資力情報を共有し、入れ替わり立ち替わり高利で金銭を貸し付けて丸裸にするという集団的・計画的違法行為をいう。←悪徳業者が市場リサーチに力を入れていることを示す典型例
※この類型は、最終的に経済的破滅へ

(m)ネガティブ・オプション商法
 ある日、自宅に宅配便で本が届きます。あなたは、注文した覚えもないのにおかしいなと思いながら、とりあえず放置しておくと、数日後に、代金の請求書が届きます。この場合、代金を支払う義務があるでしょうか? パッケージを開けた場合はどうでしょうか?
 代金を払う義務が成立しているといえるためには、もちろん、業者と消費者の間に契約が成立している必要があります。本を送ってくるのは、本の売買契約の「申込」といえますが、注文もしていない本が送られてきて、これを放置していただけでは、「承諾」があったとはいえません。したがって、本を送った者とあなたとの間では、売買契約は成立しておらず、代金も支払う必要はありません。また、あなたの費用で送り返す義務もありません。ただし、本はあなたの所有物ではありませんので、勝手に廃棄することもできません。→民法162条の取得時効期間は10年または20年。民法659条(無償受寄者の注意義務)類推で、自己の財産と同一の注意を払う義務がある?
 そこで、「訪問販売等に関する法律」は、発送人に引き取りの請求をした時は7日、請求をしなかったときは14日間保管する義務を認め、その後は業者は商品の返還を請求できないとしました。本を受け取ったときからとりあえず14日間保管しておけばOKというわけです。
 
〔訪問販売等に関する法律(昭和63年改正)18条1項〕
 「販売業者は、売買契約の申込を受けた場合におけるその申込をした者及び売買契約を締結した場合におけるその購入者(以下この項において「申込者等」という。)以外の者に対して売買契約の申込をし、かつ、その申込に係る商品を送付した場合又は申込者等に対してその売買契約に係る商品以外の商品につき売買契約の申込をし、かつ、その申込に係る商品を送付した場合において、その商品の送付があった日から起算して十四日を経過する日(その日が、その商品の送付を受けた者が販売業者に対してその商品の引取りの請求をした場合におけるその請求の日から起算して七日を経過する日後であるときは、その七日を経過する日)までに、その商品の送付を受けた者がその申込につき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができない。」

(n)ネガティブ・オプション商法の発展型:代引郵便(代金引換郵便)利用の詐欺
 あるとき、家族の名前で、ゆうパックが届きます。郵便屋さんは、代金と引き替えにお渡しすることになっています、と言います。代金を郵便屋さんに払って、荷物を受け取った後、家族の誰も、そのような商品を注文していないことが分かります。荷物に記載されている送付先の電話番号に電話してもつながりません。どうしたら代金を取り返せるでしょうか?

※上記2類型は、そもそも契約が成立していないのに、思い違いや不当な威圧により代金相当額を支払わせようとするものです。最近は、代引き郵便利用の詐欺はさらに悪質になり、送り主の名義として家族の名前が使われていることすらあります。たとえば、単身赴任している夫が送り主の名義人とされていた場合、家族は、何ら不審に思わずにお金を払って郵便物を受け取ってしまいがちです。

(2)悪徳商法の共通の手口

(a)現行の法規制を詳細に調査したうえ、その盲点を突いていること。
 例えば、訪問販売法のクーリングオフ権は商品を開封した後は行使できない。
 →うまく話をして被害者自らに商品を開封させる。
 →開封した最小単位のみはクーリングオフできないことから、大箱にバラ詰めする(一旦開封するとすべてクーリングオフできない)。
(b)相手に考える余裕を与えない状況を作出していること。
 →アポイントメント商法において典型的なように、被害者を事務所に来させて大勢で長時間しつこく勧誘する。
 →パーティ商法において典型的なように、消費者を興奮状態に追い込み、契約を締結させる(安価な台所用品を捨て値で売買するところから始まり、高価なキッチンセットや羽毛布団の売買契約を締結させる)。
(c)相手方がなんらかの救済に走るのを遅らせる処置を講じておくこと。
 →「他人に話すと霊力が消えてしまう」、「旦那さんには黙っていて、儲かってから喜ばせてあげましょう」、「契約を取りやめたら今まで支払われた金銭はすべて返還しません」等々。
(d)常に社会経済の動向に関心を払い、市場リサーチに力を入れていること。
 →バブルの時代は原野商法、バブルがはじけるとシステム金融、ダイオキシンが社会問題になるとダイオキシンを速やかに体外に排出する薬…。また、様々な名簿収集に余念がない。
(e)相手方の欲望や不安にあわせて、用意周到な勧誘マニュアルを作成していること。
 →霊感商法における不安のかき立て、デート商法における疑似恋愛ストーリー等々。
※豊田商事の販売員教育用「セールストーク集」:「客宅に入った場合最低五時間客宅に居ること」「人間関係を良好に維持しながら『金』の有利性、魅力を充分に説明し興味付けが出来たら、後は気力、迫力、粘りで話を押し進めていくと、『断り文句』というものは余り出ないものである」「金をお宅に置いておくと盗難の危険があります」
 

(3)悪徳商法に対する法的救済手段

(a)公序良俗違反に基づく契約の無効主張(民法90条)→極端な場合以外は救済が難しい

(b)錯誤を理由とする契約の無効(民法95条)
 要件:@民法95条の適用される錯誤であること、A法律行為の「要素」に該当すること、B表意者に重過失がないこと

(c)詐欺を理由とする契約の取消(民法96条1項)
 要件:@二段の故意、A二段の因果関係、B欺罔行為の違法性

(d)強迫を理由とする契約の取消(民法96条1項)
 要件:@二段の故意、A二段の因果関係、B強迫行為の違法性

(e)不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条〜)
 要件:@故意または過失、A違法性、B因果関係、C損害の発生

(f)業法上の規制(宅地建物取引業法、旅行業法、訪問販売法、保険業法など)

(g)その他、契約解釈によるセールストークの契約内容への取り込み、信義則による解決など。
 

(4)現行法における救済手段の問題点

(a)公序良俗違反について:一般条項であるため極端な場合以外は救済が難しい

(b)錯誤について:@動機の錯誤が必ずしも顧慮されない、A「要素」に関する錯誤でないとだめ、B表意者に重過失がある場合にはだめ

(c)詐欺について:@過失による虚偽情報提供事例がカバーされない、A故意、因果関係の証明が難しい、B欺罔行為は悪質でないとだめ

(d)強迫について:強迫にまで至らない威迫や強引な勧誘までカバーできない

(e)不法行為について:@契約の効力はそのまま、A過失相殺されやすい

(f)業法上の規制について:@業法の規制対象となっていない事業者には規制が及ばない、A業法違反の民事上の効果が明らかでない。B訪問販売法11条ないし16条、割賦販売法4条の3、宅地建物取引業法37条の2に基づくクーリングオフについては、クーリングオフ期間が限られている、対面商法については適用なし、通信販売については適用なし、指定商品以外は適用なし…

(g)その他について:@契約解釈による解決は必ずしも実務上一般的ではない、A一般条項による解決は悪質なケースしかカバーしえない

※過失相殺について:「騙される方も悪い」のか? 「騙されるのは欲ボケだから」なのか?→社会生活上、相手方を信頼することは道徳的に見ても悪いことではない。無条件の信頼につけ込む輩こそが非難されるべき。
 

(5)悪徳商法に対する法的救済の限界

(a)被害が少額の場合、法的救済を求める手間暇を考えると訴訟は割に合わない。→代引郵便詐欺
※ただし、平成8年施行の新民事訴訟法において導入された少額訴訟制度に注意(民訴368〜381条)。
民訴368条1項「簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が三十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。」

(b)事実関係が不明確なため、訴訟において法律要件(法律効果発生の前提となる事実)を証明できない(変額保険事例が典型的)→業者の言いたい放題、やりたい放題を許すことになる。

(c)業者が事実上破産状態である場合、事実上責任追及の相手方がなくなってしまう。→豊田商事事例

(d)立法による規制や行政による取締りは多くの場合、後追いであり、不充分。
 

(6)悪徳商法被害に遭わないための心得

(a)相手は悪徳商法のプロフェッショナルであることを心得よ。全人口の約10パーセントが何らかの形で被害にあっている!

(b)頼みもしないのに向こうからやってくるのはセールスマンと宗教勧誘。

(c)最初からはっきりと断ること。少しでもためらいを見せるとつけ込まれる。この点は暴力団と同じ。→とりやすいところからとる。

(d)強引な居座りは犯罪であり、すぐに警察を。

(e)しまったと思ったらすぐに内容証明郵便で契約の解除を。
 

(7)救済機関

(a)消費者保護基本法(昭和43年制定)に基づく消費者からの苦情の処理組織
・事業者ないし事業者団体(例えば、日本クレジット産業協会、全国信販協会など)
・都道府県、市区町村立の消費生活センター
・国の国民生活センター(経済企画庁)、消費者相談室(通商産業省)、消費者の部屋(農林水産省)

(b)弁護士会の相談窓口としての消費者被害救済センター(京都075−231−2335)
 

(8)新たな立法の動き

(a)消費者契約法:1998年1月に、国民生活審議会消費者政策部会が、中間報告「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」を公表。
 その具体的内容は、@事業者に、重要事項についての情報提供義務違反ないし不実の表示があった場合には、消費者に取消権を付与する、A消費者に不当に不利益を与える契約条項は無効とする、というもの。

(b)成年後見制度(高齢者や障害者の能力を補充する制度):1998年4月に、法制審議会民法部会から「成年後見制度の改正に関する要綱試案」が公表。

(c)消費者信用法:1997年度において個人破産が7万人を突破。1997年12月に、法務省参事官室から、「倒産法制に関する改正検討事項」が公表され、多重債務者の生活再建のための個人債務者更生手続の導入が提案。また、大蔵省・通産省共同の「個人信用情報の保護・利用の在り方に関する懇談会」が、1998年6月に報告書を公表し、個人信用情報の保護と多重債務防止の観点から、制定されるべき法の内容を検討。なお、1998年度には、個人の自己破産が10万3800件にのぼり、10年間で10倍以上になった。

用語説明(中田邦博・高嶌英弘著「KEYWORD民法 Ver.1」より抜粋)
●クーリング・オフ cooling off [くーりんぐおふ]
クーリング・オフとは、買主が一定の期間(いわゆる「熟慮期間」)は、一切の不利益を受けることなく、契約の申込を撤回したり、また契約の解除をすることができる権利(一種の法定解除権)のことをいう。
 クーリング・オフというのは、「頭を冷やす」という意味であり、また訪問販売法では「申込の撤回と契約の解除」のことを意味し、「申込の撤回等」と略される。訪問販売法6条および9条の12、同法17条、割賦販売法4条の3に規定がある。
 訪問販売・割賦販売などでは、このクーリング・オフが攻撃的な販売方法に対する消費者側の防御権としての意味を持っている。
 すなわち、こうした販売方法には、セールスマンの勧誘などによって買主が、通常の取引では考えられないような軽率な意思決定を行う(自己の支払能力を考えないで高価な商品あるいは不要な物を購入してしまう)という危険性が内在している。そこで、法は、契約の申込の後や契約の締結後にも、画一的に、一定の期間無条件に、買主に申込および契約の拘束力を免れる自由を認めて買主(消費者)を保護しようとしたのである。
 このクーリング・オフの制度については、合意は拘束するという近代民法の原則に対する例外であるとの理解が一般的であるが、企業と消費者という力が対等でない当事者間での不平等を是正し、実質的な契約自由を実現したものである、とする見解もある。
 いうまでもないが、クーリング・オフは万能ではない。訪問販売の場合を例にして説明すると、次の場合には、クーリング・オフができなくなる。
 @購入者が、契約内容を明らかにする文書(それには法律・政令で定めるところによりクーリング・オフができること、およびその手続きが記載されていなければならない)の交付をうけて、その日から8日間が過ぎたとき(初日が算入されるので、たとえば起算日が月曜日の時、翌週の月曜になる)。
 A化粧品・薬品・コンドームその他指定商品で、その使用もしくは一部の消費により価格が著しく減少するおそれがある商品として政令(訪問販売等に関する法律施行令の別表4)で定めるものを使用し、その全部もしくは一部を消費したとき(販売員が売り込みのために開封させたり、消費させた場合は別)。
 B商品の引渡・権利の移転・役務の提供とその代金または対価の全部の支払いがなされた場合で、その代金または対価の総額が政令で定める額(3000円)に満たないとき(つまり、3000円以上であれば、代金を払っていてもクーリング・オフができる)。
 したがって、業者が顧客に書面を全く渡していないとき、あるいはそれに法律・政令で定められた文言が所定の方法で印刷されていないときには、いつでも、たとえ商品を消費した後でも、消費者はクーリング・オフができることになる。
 さらに、このクーリング・オフの行使の方法としては、書面(できれば後の紛争をさけるために内容証明郵便が望ましい)が要求されている。これは、発信によって効力が生じ、到達が8日以内である必要はない。クーリング・オフが行使された場合、訪問販売業者が損害賠償や違約金の支払いを求めることはできない。これに反する特約は無効である。
 買主である消費者がこのクーリング・オフを行使したことで不利益を被ることはない(以上については、訪問販売法6条参照)。それゆえ、買主が代金未払いの時はその支払義務はなくなるし、またすでに支払った部分については当然返還請求ができ、また商品の引取費用は訪問販売業者が負担することになる。
 たとえば、訪問販売により、古い風呂釜に変えて新しい風呂釜を設置したが、その後、クーリング・オフを行使した場合、購入者は業者に対して、無償で設置された風呂釜を除去し、元の風呂釜に戻すことを要求できる。

〔保険業法(保険契約の申込みの撤回等)〕
第309条
@ 保険会社(外国保険会社等を含む。以下この条において同じ。)に対し保険契約の申込みをした者又は保険契約者(以下この条において「申込者等」という。)は、次に掲げる場合を除き、書面によりその保険契約の申込みの撤回又は解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。
一 申込者等が、大蔵省令で定めるところにより、保険契約の申込みの撤回等に関する事項を記載した書面を交付された場合において、その交付をされた日と申込みをした日とのいずれか遅い日から起算して八日を経過したとき。
二 申込者等が、営業若しくは事業のために、又は営業若しくは事業として締結する保険契約として申込みをしたとき。
三 民法第三十四条(公益法人の設立)の規定に基づき設立された法人、特別の法律により設立された法人、法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めのあるもの又は国若しくは地方公共団体が保険契約の申込みをしたとき。
四 当該保険契約の保険期間が一年以下であるとき。
五 当該保険契約が、法令により申込者等が加入を義務付けられているものであるとき。
六 申込者等が保険会社、生命保険募集人、損害保険代理店又は保険仲立人の営業所、事務所その他の場所において保険契約の申込みをした場合その他の場合で、申込者等の保護に欠けるおそれがないと認められるものとして政令で定める場合
A 保険契約の申込みの撤回等は、当該保険契約の申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。
B 保険会社は、保険契約の申込みの撤回等があった場合には、申込者等に対し、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金その他の金銭の支払を請求することができない。ただし、第一項の規定による保険契約の解除の場合における当該解除までの期間に相当する保険料として大蔵省令で定める金額については、この限りでない。
C 保険会社は、保険契約の申込みの撤回等があった場合において、当該保険契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。ただし、第一項の規定による保険契約の解除の場合における当該保険契約に係る保険料の前払として受領した金銭のうち前項の大蔵省令で定める金額については、この限りでない。
D 生命保険募集人、損害保険代理店その他の保険募集を行う者は、保険契約につき申込みの撤回等があった場合において、当該保険契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
E 保険仲立人その他の保険募集を行う者は、保険会社に保険契約の申込みの撤回等に伴い損害賠償その他の金銭を支払った場合において、当該支払に伴う損害賠償その他の金銭の支払を、申込みの撤回等をした者に対し、請求することができない。
F 保険契約の申込みの撤回等の当時、既に保険金の支払の事由が生じているときは、当該申込みの撤回等は、その効力を生じない。ただし、申込みの撤回等を行った者が、申込みの撤回等の当時、既に保険金の支払の事由の生じたことを知っているときは、この限りでない。
G 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。
 

●訪問販売法[ほうもんはんばいほう]
 個人宅への百科事典のセールスのように、売主のほうから買主のもとを訪れて物品などを販売する場合、これを訪問販売という。
 訪問販売は、自宅に押しかけて積極的に購入意思を作り出す販売形態であるため、買主からすれば、不意をつかれ、取引内容をじっくり考える余裕がないという問題がある。また、営業主体が不明確であるため、トラブルが生じた際に責任の追及が困難な場合が多い。
 そこで買主保護のため、訪問販売等に関する法律(1976年)が制定され、訪問販売とあわせて、通信販売にかかわる取引や連鎖販売取引(マルチ商法)をも規制の対象にした。
 訪問販売法が適用される訪問販売は、次の二つの要件を満たしている必要がある(同法2条1項)。
 @販売業者の営業所や代理店以外の場所での取引(契約の申込を受けたり、契約を締結したりすること)であること。したがって、買主が自ら営業所などに出かけていった場合には、原則として訪問販売法は適用されない。ただし、例外として、キャッチセールス(路上で呼び止めて営業所へ連れていく)やアポイントセールス(電話で営業所に呼び出す)などには、訪問販売法の適用がある(同法2条1項2号)。
 A取引の対象が指定商品や指定権利、指定役務(サービス)であること。指定商品、指定権利、指定役務の具体的内容は、政令により定められる(同法2条3項)。
 なお、訪問販売法による各種の規制として、次のものがある。
 @業者の氏名等の表示義務や書面交付義務(同法3条〜5条)。
 A特定の場合に、無理由の申込撤回権あるいは契約解除権を消費者に付与(同法6条)。いわゆるクーリングオフである。
 B契約解除に伴う損害賠償額を制限(同法7条)。
 なお、従来は訪問販売法の適用を受けなかった電話による勧誘販売についても、その勧誘方法の不意打ち性という点において、1996年に同法が改正され、上と同様の規制が加えられた(同法9条の4、9条の12、9条の13)。

●割賦販売法[かっぷはんばいほう]
 割賦販売とは、代金支払が数回に分割してなされる場合の売買を指す。いわゆる月賦は、毎月、代金の一部を支払う場合である。
 割賦販売においては、代金の一部(頭金という)を支払うだけで目的物を利用できるので、買主にとっては便利な制度である。他方、売主は、代金完済前に目的物を引渡すので、代金の回収を確保するため、苛酷な制裁規定を設ける傾向が生じる。
 たとえば、買主が1回でも賦払金の支払を怠れば、契約は解除の意思表示がなくとも当然に解除されるという特約(失権約款)や、1回でも支払を怠れば、それ以降の期限の到来していない賦払金について期限の利益を失うとする約款(期限の利益喪失約款)などがある。
 そこで、割賦販売における売主と買主の法律関係を適切に調整するため、割賦販売法が昭和36年に制定された。
 割賦販売法が適用される割賦販売は、一般用語より狭く、次の2二つ要件を満たすものに限定される(同法2条1項)。
 @購入者から、代金を2ヶ月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領する条件でなされた販売であること。
 A目的物が指定商品であること。指定商品の具体的内容は、政令で定められるが(同法2条4項)、このような制限には批判がある。
 なお、割賦販売法による各種の規制として、次のものがある。
 @割賦販売条件の表示義務、契約内容を記載した書面の交付義務を売主に課した(同法3条、4条)。
 A特定の場合に、無理由の申込撤回権あるいは契約解除権を消費者に付与した(同法4条の3第1項)いわゆるクーリングオフである。
 B売主からの契約の解除や損害賠償請求などにつき、一定の制限を設けた(同法5条、6条)。これにより、先述の失権約款や期限の利益喪失約款は無効とされる。
 なお、割賦販売の方法により販売された指定商品の所有権は、賦払金が完済されるまで販売業者に留保されたものと推定される(同法7条)。代金債権を担保する手段である。
 たとえば、買主の債権者が目的物に対して強制執行した場合、割賦販売業者は第三者異義の訴(民事執行法38条)を提起し、その排除を求めることができる。

●過失相殺[かしつそうさい]
 過失相殺とは、債務不履行の成立やその損害の発生・拡大について債権者の過失があった場合、あるいは不法行為の成立やその損害の発生・拡大について被害者の過失があった場合に、損害賠償責任の有無(債務不履行の場合のみ)および損害額の決定にあたってそれを考慮する制度である。
 過失相殺は、機能的には損益相殺と並んで損害賠償額の調整という機能を持つ。
 債務不履行の場合と不法行為の場合では条文上の体裁の違いがある。学説では、両者を区別する必要はないとする見解もあるが、以下では分けて説明する。
 (T)債務不履行の場合:債務の不履行に際して債権者にも過失がある時には、損害を債務者だけに負担させるのは公平の観念に反することになるので、その責任を軽減しなければならない(418条)。
 つまり、415条により債務者は債務不履行について帰責事由があるときは、賠償責任を負うが、債権者もこれに過失(有責性)があれば、その債権者の責任に見合う損害額を債権者の賠償請求額から差し引くことになる。この意味で相殺という。債権を対等額で消滅させる相殺とは異なる。
 この制度の趣旨は、債務者は原則として自己の責に帰すべき事由から生じた結果以上の損害について責任を負う理由がないし、他方、債権者も自己の過失によって生じた結果を他人に転嫁することはできない、ことにある。
 債務不履行における過失相殺は、債権者が負う付随義務の一種としての損害抑止義務違反とする見解が有力である。
 要件:「債務不履行に関し」債権者に過失があったときに過失相殺が行われる。具体的には次の三つのパターンが区別される。
 @債務不履行自体について債権者に過失がある場合:タクシーの運転手Aが客Bを目的地まで運ぶ途中、客Bがあまりにも急がせたために事故を起こし、Bが負傷した場合。
 A損害の発生について過失がある場合:たとえば債権者が転居したのに、履行前に通知せず、また債務者も調査を怠り、その結果、履行遅滞となった場合。
 B損害の拡大について過失があった場合:医療過誤で傷が悪化したところで、患者も安静にしていなかったために入院期間がさらに延長した場合。
 効果:裁判所は、債権者に過失があると認定すると、賠償責任を全面的に否定するか、賠償額を減額する必要がある。
 (U)不法行為の場合:たとえば、運転者が注意を怠っていたときに、子どもが急に飛び出してきて交通事故にあったような場合、その事故につき、子どもあるいは親にも不注意(過失)があったとすると、その過失が運転者への損害賠償額を定めるときに考慮されることになる。
 このように被害者側に過失が認められると、一定割合の額の減額をすることができる。
 しかし、過失の程度が大きくても、債務不履行とは違って、加害者の損害賠償責任を全面的に免責することはできない(通説・判例)。 
 このような理解は、損害賠償額のみを「斟酌することを得」と規定している722条2項の文言に忠実であるが、近時では、合理的根拠がないと批判されている。
 過失相殺の根拠については、見解が一致しておらず、加害者は自分の行為と因果関係にある行為のみについて責任を負い、被害者の行為と因果関係のある行為について責任は負わないことに求める説や、被害者の過失が公平上加害者の責任を縮減するという説もある。

 〔過失相殺の対象〕 まず被害者の過失が考慮される。これについては、不法行為責任が発生する際の過失と比較して、義務違反の程度がそれよりも軽くてもよいとされる。過失が斟酌される被害者の能力についても、責任能力は必要でなく、事理弁識能力で足りるとされている。
 次に、被害者側の過失も考慮される。すなわち、被害者本人と身分上、生活上、一体をなすとみられるような関係にある者の過失である。
 これが問題となるのは、たとえば、幼児や精神障害者など責任能力ないし事理弁識能力を欠く者が被害者となる場合や、被害者の配偶者などである。
 〔過失相殺の類推〕 以上のことが民法上の被害者側の事情であるが、その他に、被害者の素因として、その特異体質や既往症などが被害発生に複合的に寄与している場合が問題となる。
 判例は、交通事故によるむち打ち症が、被害者の特異な性格、および回復への自発的な意欲が欠如したことを原因として悪化した事例で、被害者の心理的要因が損害の拡大に寄与したとして過失相殺の類推適用を認め、損害額の6割の減額を行った。
 この類推適用は一般的にいうと、複数原因が競合する不法行為の問題であって、損害発生・拡大に対する寄与度という概念のもとで責任縮減をはかる議論がなされている。
 
 
 

消費者保護法:その2
カード社会と法的トラブル

1.はじめに

(1)現代社会における「カード」の種類と内容
(a)現代の社会生活とカード
 銀行で口座を開設するとキャッシング機能の付いたカードが送られてくる。あわせて、信販会社と提携したクレジットカード契約の締結を勧められる。また、特定のデパートで買い物をしたり、特定のガソリンスタンドを利用したりすると、その会社のカード会員になることを勧誘される。
→クレジットカードの発行枚数だけで既に2億枚を越える→日本人一人につき2枚は所有。
(b)カードの種類
・クレジットカード(いわゆるショッピング機能を持つ。売り主自身が信用を供与するハウスカード〔割賦販売法2条1項2号〕と、第三者がカードを発行し、信用を供与する第三者与信型カードに分かれる。)
・キャッシュカード(いわゆるキャッシング機能を持つ。CDやATMで金銭の貸付を受けられる。)
※弁済につき、さらにマンスリークリア方式、割賦払い方式(総合割賦購入斡旋という。割賦販売法2条3項1号)、リボルビング方式(どれだけ買い物をしても、月々一定額あるいは残債務額の一定割合の分割払いで足りる方式)に分かれる。1992年6月より、銀行系のカード会社にもリボルビング方式が解禁された。
・デビットカード
 銀行のキャッシュカードで、銀行預金の残高の範囲で、暗証番号を打ち込むことによりキャッシュレスの買い物ができる。東京、京都などで実験的に使用が開始されている。
・各種の会員証カード
・プリペイドカード
※上記のいくつかの性質を兼ね備えた複合カード、提携カードもある。
(c)カード契約の構造
・クレジットカード契約の構造は、カード会社、カード会員(消費者)、商品ないしサービスの提供者(お店)の三面関係(ハウスカードを除く)。
@カード会社と消費者→基本契約としてのカード会員契約
Aカード会社とお店→基本契約としての加盟店契約
B上記2契約の存在を前提として、消費者がお店で商品を購入すると、その代金がカード会社から支払われ、消費者は予め定められた方式に従い、カード会社に購入代金及び場合により手数料を返済する(通常、銀行口座引き落とし)。
 

2.カードをめぐる法的トラブル:便利になったが、新たな危険も
(1)カードで購入した商品やサービスの提供を受けられなかったり、商品に欠陥があった場合には?
 1984年の割賦販売法改正により、割賦販売法30条の4が追加され、指定商品については、加盟店に対してカード会員が有している抗弁事由をもってカード会社に対抗できるようになった(ただし、マンスリークリア方式の支払いの場合には、割賦販売法の適用がないので、抗弁の対抗は認められない)。

〔割賦販売法30条の4第1項〕
 「購入者は、第2条第3項第1号または第2号に規定する割賦購入あっせんに係る購入の方法により購入した規定商品に係る第30条の2第1項第2号または第5項第2号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該指定商品の販売につきそれを販売した割賦購入あっせん関係販売業者に対して生じている事由をもって、当該支払の請求をする割賦購入あっせん業者に対抗することができる。」
 第2項
「前項の規定に反する特約であって購入者に不利なものは、無効とする。」
※当該条文は、30条の5でリボルビング方式にも準用されている。

(2)未成年者のカード使用
 未成年者が法定代理人(通常は親権者)の同意を得ずに締結した契約は取り消すことができる(民法4条1項、2項)。

(3)カードの他人使用によるトラブル
(a)分類
・全くの他人に不正使用される場合:国際提携カードの普及と海外での不正使用、送付中の新規カードないし更新カードの紛失ないし盗難と不正使用
・親族、友人等による不正使用
・担保としてカードを預けた第三者による不正使用
(b)不正使用のチェックシステム
・会員本人の署名により本人か否かのチェック(署名の同一性照合確認義務)→現実には、署名の照合は形式的にしかなされていない!
・紛失ないし盗まれたカードかどうかのチェック(無効通知書によるチェック、あるいはCAT〔クレジット・オーソリゼーション・ターミナル〕によるオンラインでのチェック)→紛失・盗難に気が付くまでに時間がかかる場合が結構あり、充分ではない
・事前承認制度によるチェック(カードの一回当たりの利用限度額が定められ、これを越える場合には、加盟店はカード会社に電話で事前承認を受けねばならない)→一回あたりの利用限度額を調整されたら終わり
・カードの有効期限を定めて定期的に新しいものに替える→大量の更新カードが郵送されると、事故の可能性も増大
・「カードの所有権はカード会社に帰属し、会員は善良なる管理者の注意をもってカードを使用・管理しなければならない。カードを他人に貸与、譲渡、質入れ、担保提供等に使用できない」などの約定を設けておく→カード会員がちゃんと注意していても、他人使用が生じる可能性は残る。
(c)カード会員の責任
 (b)のような現状であるにもかかわらず、原則としてカード利用契約上、カード会員は、他人使用による代金ないし損害につき責任を負う、という前提になっている。
・例外:カード会社及び警察にカードの紛失・盗難届を出したときには、カード会社がその届出を受理した日の前60日以降に不正使用により生じた代金ないし損害は会員負担にならない。この「60日」という期間限定の妥当性は?不正使用がボーナス一括払いにされた場合は?
・例外の例外:
@会員の故意または重過失によって生じた損害、
A会員の家族、同居人、留守人等会員の関係者によって生じた場合、
B戦争、地震等による著しい混乱に乗じて生じた紛失、盗難による場合、
C会員規約に違反している状態において、紛失や盗難が生じた場合、
D会員がカード会社の請求する書類を提出しなかったり、カード会社等のおこなう被害状況の調査に協力しなかった場合
 については、会員が代金ないし損害を負担する。
・消費者がカード会社に申し込み後、カード受領前に、あるいは更新に際して、更新カードが受領される前に、カードが他人の手に渡って使用された場合は? 規約からは明らかではないが…
※大阪高判平元1・26:会員が転居届を出さずに転居したため、送られた更新カードを本人が受け取らず、別世帯員である会員の弟が受領し本人名義でカードを使用し、会員の責任が問題になったケースにおいて、カード会員契約は解約届けがなされるまで継続するが、「紛失・盗難による不正使用につき会員が責任を負わせつつ、一定の場合に一定の届出を提出すると、届出以降30日以後の損害負担を免れる」旨の規約条項は、会員にカードが到達していない間に生じた不正使用には適用されないとして、本人の責任を否定した。

(4)カードによるキャッシングと利息制限法違反の利息
 わが国で現在発行されている信販系・流通系クレジットカードのキャッシング金利は、実質年利25〜35パーセント程度、銀行系クレジットカードについては、実質年利28パーセント程度
→利息制限法の制限利息を超える!
〔利息制限法第1条〕
@金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
 元本が十万円未満の場合 年二割  
 元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
 元本が百万円以上の場合 年一割五分
A債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。

・金銭消費貸借に適用される特別法
a)利息制限法(1条1項:金銭消費貸借における利息の制限、1条2項:1項の超過部分を任意に支払った場合には、その返還を請求できない。)
b)出資法(5条:高金利の処罰→業として金銭の貸付を行う者が、実質年利54パーセントを超える利息を約定した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処す。平成3年度からは、年利40パーセントに下げられた。)
c)貸金業の規制等に関する法律(サラ金規制法、昭和58年施行)

※利息制限法には違反するが、出資法上の処罰の対象にはならない金利の扱いに付き、利息制限法1条1項、4条1項の制限を超過する利息等の支払は残存元本に充当され(最判昭39・11・18民集18・9・1868)、その結果元本が既に完済されているときは、その後に支払った超過利息等の返還を請求できるとする判例法が確立されてきたが(最判昭43・11・13民集22・12・2562)、貸金業規制法43条が超過利息等の支払を一定要件のもとに有効な債務の弁済とみなしたため、従来の判例法理との関係が問題となる。

貸金業規制法43条の適用要件
・債権者が貸金業の登録を受けた者であること。
・超過利息・遅延損害金の支払が、業として行う金銭消費貸借上の利息の契約等に基づく支払であること。
・債務者が@利息又は賠償金として、A任意に支払ったこと。
・貸金業規制法17条・18条所定の契約書面及び受取証書を交付していること。

 最判平2・1・22(民集44巻1号332頁、判時1349号58頁)
貸金業者Y1から金銭を借用したXは、利息制限法1条1項・4条1項の制限を超過する利息及び遅延損害金の元本充当などによって貸金債務が消滅したと主張して、Y1に債務不存在確認及びこれを担保する抵当権設定登記の抹消請求を、Y1の従業員で賃借権設定仮登記を経由していたY2にその抹消登記を求めたのに対し、Yらが、Xの超過利息等の支払は貸金業法43条のいわゆる「みなし弁済」規定の適用を受けると主張して、その元本充当を争った。第一審は、同条の適用を否定し、原審はこれを肯定した。Xが上告したが、最高裁は、以下の理由で上告を棄却。

〔判決理由〕
 貸金業の規制等に関する法律43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」及び同条3項にいう「債務者が賠償として任意に支払った」とは、債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上、自己の自由な意思によって支払ったことをいい、債務者において、その支払った金銭の額が利息制限法1条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しない。

〔貸金業の規制等に関する法律〕
第43条@ 貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息(利息制限法第3条の規定により利息とみなされるものを含む。)の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、同法第1条第1項に定める利息の制限額を越える場合において、その支払いが次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払いは、同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。
1 第17条第1項又は第2項(第24条第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第17条第1項又は第2項に規定する書面を交付している場合におけるその交付をしている者に対する貸付の契約に基づく支払。
2 第18条第1項(第24条第2項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により第18条第1項に規定する書面を交付した場合における同項の弁済に係る支払。
A 省略
B前2項の規定は、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定に基づき、債務者が賠償として任意に支払った金銭の額が、利息制限法第4条第1項に定める賠償額の予定の制限額を越える場合において、その支払が第1項各号に該当するときに準用する。

・カードによるキャッシング−「サラ金まがい」の機能?より悪質?
 →銀行、信販会社、クレジット会社の、「総サラ金化現象」
 消費者の支払い能力を無視したクレジットの無差別過剰発行→貸し手責任論
・さらに悪質な業者の出現
 サラ金が相手にしなくなったような多重債務者に、カードで高価品を購入させてやすく買い取るという方法。
 金融業者がカード会員に金銭を貸し付け、その担保としてカードを預かり、これを利用して商品を買い集め、その後カード会員からカードの事故届けをカード会社に提出させるという方法。
※さらに、クレジットカードで商品を分割払い購入する場合、やはり実質年利13パーセント程度の手数料がかかっている。←これに対する法的規制はない!

(5)カード破産
(a)破産制度の目的と機能
・破産とは?自己破産とは?
破産申立て(債権者または債務者から。1997年度において個人破産が7万人を突破、1998年度においては、9月末現在ですでに7万3千人に達している)→同時廃止事件(手続費用にも当たらないほど財産が少なく、配当を実施することができない場合において、裁判所は、破産宣告と同時に、手続を終了させる旨の破産廃止決定をする、破産法145条。カード破産の場合、同時廃止が圧倒的に多い)または管財事件、予納金納付、免責の申立て(自己破産の申立て数中、約70パーセントが免責を申立)→免責許可決定?
〔破産法126条【一般の破産原因】〕
@債務者が支払を為すこと能はざるときは裁判所は申立に因り決定を以て破産を宣告す。
A債務者が支払を停止したるときは支払を為すこと能はざるものと推定す。
 判決:「およそ支払不能とは、債務者が一般に金銭債務の支払をすることができない客観的状態をいい、人の支払能力は財産、信用及び労務の三者から成立するから、これらを総合して支払不能の状態にあるか否かを判断しなければならない。(東京高決昭33・7・5金法一八二・三)」
※500万円未満でも破産申立てがなされる場合は結構多い。
・免責とは?
 昭和27年の改正で、破産法に免責制度が導入。
〔破産法第366条の2第1項〕
 「破産者は破産手続の解止に至る迄の間何時にても破産裁判所に免責の申立を為すことを得。破産宣告と同時に破産廃止の決定ありたるときは其の決定確定の後と雖一月内は仍(なお)免責の申立を為すことを得。」

・免責の意義と目的
 破産免責は、借金を踏み倒すお墨付きを与える制度であり、けしからん?→国民一般の負担による社会保障を、債権者の負担に先行させることが、果たして合理的か?
 破産免責は、誠実な債務者に対する特典?
 通常の債務者に対する更生のための手段?
→いずれにせよ、破産者全員が当然に免責されるような制度ではない。

〔破産法第366条の9【免責不許可事由】〕
裁判所は左の場合に限り免責不許可の決定を為すことを得。
一 破産者に第三百七十四条、第三百七十五条、第三百七十七条又は第三百八十二条の罪に該るべき行為ありと認むるとき。
二 破産者が破産宣告前一年内に破産の原因たる事実あるに拘らず其の事実なきことを信ぜしむる為詐術を用ひて信用取引に因り財産を取得したることあるとき。
三 破産者が虚偽の債権者名簿を提出し又は裁判所に対し其の財産状態に付虚偽の陳述を為したるとき。
四 破産者が免責の申立前十年内に免責を得たることあるとき。
五 破産者が本法に定むる破産者の義務に違反したるとき。
※ただし、これらに該当していても、裁判所の裁量によって免責するという実務上の運用がなされている(裁量免責)。
破産法第366条の12【免責の効力】
 免責を得たる破産者は破産手続に依る配当を除き破産債権者に対する債務の全部に付其の責任を免る。但し左に掲ぐる請求権に付ては此の限に在らず。
一 租税
二 破産者が悪意を以て加へたる不法行為に基く損害賠償
三 雇人の給料。但し一般の先取特権を有する部分に限る。
四 雇人の預り金及身元保証金
五 破産者が知りて債権者名簿に記載せざりし請求権。但し債権者が破産の宣告ありたることを知りたる場合を除く。
六 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及過料

※詐術破産(破産宣告前に財産状態の悪化を隠して取引により財産を取得した場合)と破産法第366条の9第2号の関係は?
 

その他参照条文
〔割賦販売法2条3項1号(割賦購入斡旋)〕
Bこの法律において「割賦購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。
一 それと引換えに、又はそれを提示して特定の販売業者から商品を購入することができる証票その他の物(以下この項、第三十条及び第三十四条において「証票等」という。)をこれにより商品を購入しようとする者(以下この項及び第三十条において「利用者」という。)に交付し、当該利用者がその証票等と引換えに、又はそれを提示して特定の販売業者から商品を購入したときは、当該利用者から当該商品の代金に相当する額を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領し、当該販売業者に当該金額を交付すること。→(総合割賦購入斡旋)

三 証票等を利用者に交付し、あらかじめ定められた時期ごとに、当該利用者がその証票等と引換えに、又はそれを提示して特定の販売業者から購入した商品の代金の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を当該利用者から受領し、当該販売業者に当該商品の代金に相当する額を交付すること。→(リボルビング方式)