雑感 11

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 ユズを植えた

京都の隅田(すだ)農園からユズの苗木が届いた。高さ1.6mの立派な大苗(6〜7年生)である。植えた場所は、事務所(仕事部屋というべか)の前。大きな穴を掘り、腐葉土などを敷き詰め、慎重に丁寧に大事に植えた。5年前、この場所に高さ2mほどのツリバナを植えたが、どういうわけか枯れてしまった。次に植えたのがザクロ。小振りの実をたくさんつける品種だったが、カイガラムシにやられてダウン。そして三度目の正直で植えたのが、このユズ。西日の当たる、乾燥気味の事務所前。うまく育つだろうか。6800円もしたんで、ちょっと心配。

ユズを植えた翌日、枯れかかったマンサクを抜き、かわりに百目柿を植えた。そして、枯れたサザンカの後釜にビワ2本を植えた。
我が家の庭には、もう余地はない。なにか植えようと思ったら、なにかが枯れるのを待たなければならない。あるいは、なにかを抜かなければならない。庭木は年ごとに大きくなるし、まさにゴチャゴチャ状態。人に見せられたものではない。

庭の隅に仮植しておいたジューンベリーが4本(高さ2m)ある。この始末にも困っている。だれか、もらってくれないだろうか。もちろん無料。移植するなら、今がいいんだけど‥。ほしい方は、連絡を。

2004.4



 

豚舎で豚を撮った。
複数の豚をひとつの画面にうまくおさめるのはむずかしい。5分で終わると思ったら、1時間もかかってしまった。
チャンスをうかがうのだが、でかい尻をこちらに向けたままのヤツがいたり、薄汚れたヤツがしゃしゃり出たりで、なかなかシャッターが切れない。「コラ!邪魔だ!」と怒鳴るのだが、まったく効果はない。餌にありつけると勘違いして、カメラに近づき過ぎるヤツもいる。この手の豚は背中をたたいても、ちっとも動じない。仕方がないので、ゲンコツをくらわせる。すると、ブヒッーと逃げていく。あわてて逃げるもんだから、近くの豚にぶつかったりしてちょっとした騒ぎになる。でも不思議。またすぐに戻ってくる。
豚というのは、とても不思議な生き物だ。毛が少ないせいだろうか。牛とか羊とか馬なんかとはまったく違う感じがする。どことなく人間と似ているような。むっちりした尻を見ていたら、どういう訳かドキドキしてしまった。おっとっとっと、危ねえ危ねえ。

一昨年のこと。「ソトコト」という雑誌の取材で、やはり豚を撮影した。
これが大変だった。どの豚もどの豚も、そろいもそろって汚れて真っ黒。それに、文字通り豚小屋である。絵にならないのだ。しょうがないんで、豚の顔のどアップを撮った。でも、それだけでは不十分。農家のおばさんに子豚を抱いてもらうことにした。真っ白な子豚はとてもかわいいんで、これはいい写真になった。

2004.3



 1週間

この1週間は、こんな感じだった。

3/21  小布施町の老人介護施設のパンフ用の写真撮影。
3/20  長野市の老人介護施設の外観撮影。
    長野市内で住宅の外観と内部を撮影。
3/21  家でのんびり。
3/22  小布施町の老人介護施設のデータを納品。
3/23  天候が悪く、予定の仕事が1週間延期。写真の整理。
3/24  またまた仕事が延期。
    一家4人で映画館へ。作品は、ロード・オブ・ザ・リング。
3/25  某食肉加工センターのパンフ用の写真撮影。
    東京に写真原稿(ポジ・CD・MO)を宅急便で送付。
    某印刷会社に集金(銀行振り込みではなく、今どき集金なんてね‥)。
3/26  住宅3棟の外観撮影。

ちょこちょことした仕事で、忙しいというほどではない。
このご時世、ゼイタクはいえないけど、仕事が安いんだよね。
3/25の集金なんか、8400円。6×7ポジの物撮り(ぶつどり)1カットの料金だ。まあ撮影代はいいとしても、撮影するモノを取りに行って、それを撮影して、フィルムを現像所に持って行って、仕上がりをまた現像所に取りに行って、それから写真とモノを返しに行って、請求書を送付。そして指定された日に集金に行って、それから銀行で小切手を換金して終了。忙しいときなんか、やってらんねえよなあ。でも電話が来ると、愚痴を言わずにハイハイと引き受けちゃうんだよなあ。
まあ、割に合わない仕事もあるさ。ということなんだろうけど、おれの場合はそんな仕事ばっかり。ヒマなときはお金がないが、そこそこ忙しくてもやはりお金がない。女房じゃないけど、いったいどうなっているだろう?まったく不思議だ。

2004.3



 イワツバメ

15日、確定申告に行ってきた。毎年のことだけど、最終日に行くなんざあ、おれのだらしない性格がわかろうってえもんだ。提出先の会場は、長野県自治会館。長野税務署は手狭なもんで、いつからか会場を変更したのだ。
県庁を過ぎたあたりから車がちっとも動かない。申告者の車があふれ、大渋滞なのだ。これには、腹が立った。オイオイ、なんで今日申告するんだよう!大迷惑だぜ!仕方がないので、右折して図書館近くへ。有料パーキングに車を置き、700m先の会場まで歩いた。提出のときって、なんとなくドキドキしちゃうんだよね。

家に帰り、その旨を女房に報告。すると、わが女房はこう一言。ズルイ!そして、あわてて申告書をテーブルに広げるではないか。電卓を少したたいたと思ったら、5分(おれは2日もかかったたのに‥)で終了。その申告書を市役所に提出するというので、おれは運転手役。一路市役所へ。ここも混んでいるかと思ったら、いつもより空いていた。
提出してしまえばこっちのもの。女房もおれも、これで一安心。本来ならば、ここでおいしい店に突入するところなんだけど‥。出費の多い4月と5月が控えているので、贅沢は敵。

その帰宅途中のこと。そろそろいるんじゃないかなあという予感があったんで、丹波島の橋の上でハンドルを握りながらキョロキョロ。そして、とうとう飛んでいる2羽のイワツバメを発見した。いつから来てたんだろう?毎日チェックしていたわけじゃないんで、飛来の正確な日にちはわからない。カレンダーを見ると、去年は18日にイワツバメを見ている。
ツバメが来ると、なんとなくうれしいねえ。やっぱ、春だよね。

2004.3



 大菩薩峠

市立図書館に行ったとき、
中里介山の「大菩薩峠」をぺらぺらと立ち読みをした。大河ドラマの「新撰組」見て、ふと思い出したからだ。
この小説にも新撰組が登場する。これが実にカッコイイ。と言っても、カッコイイのは新撰組ではない。主人公の机竜之介でもない。話の本筋とはあまり関係ない、ちょこっと出の
島田虎之助(実在の人物)が、カッコイイのだ。
土方歳三率いる新撰組の一党が、雪の夜、清川八郎の駕篭を襲う。駕篭を取り囲むが、駕籠から出てきたのはまったくの別人。その人物こそ、剣豪
島田虎之助。瞬く間に十数名を斬り伏せ、さらに土方歳三を組み敷いてしまう。主人公の机竜之介はというと、物陰からその様子をじっと窺っている。
小説では、こう続く。

「汝が首謀者と見ゆる。血気に任せて要らぬ腕立て。心なくもこの島田に殺生させた。ここに枕を並べた者共も一角の剣術じゃ。むざむざ犬死させて何と言訳が立つ、愚者奴(おろかものめ)!」「一生の不覚、一生の不覚」土方歳三は血の涙をこぼして、
「幼少より剣を学んで‥御身ほどの達人を見分ける眼がなかったは‥。それが残念!」
島田虎之助は、この時抑えた膝を寛(ゆる)めて、
「剣は心なり、心正しからざれば剣も正からず、剣を学ばん者は心を学べ」こういいながら土方歳三の襟髪を取って突き放すと、よろよろと彼方に飛んで、どうと倒れます。

なかなか格調高いでしょ。
この長編「大菩薩峠」は、何回か映画化されている。おれの見たのは、市川雷蔵主演の大映映画。映画でも、このシーンはやはり見せ場。島田虎之助役は、島田正吾。様式美のような殺陣が、実にいいんだね。物陰の机竜之介は、ただただ息を飲むばかり。おれまで息を飲んでしまった。立ち回りの後、島田正吾がセリフを言う。これがすごい。小説の原文通りにしゃべるんだ。見栄を切るようで、ピタリと決まる。なんたって、名文だもんなあ。

この「大菩薩峠」は、NHKの大河ドラマには無理だ。主人公の机竜之介は、とんでもないアウトロー。冒頭、見ず知らずの巡礼の老人を理由もなく斬り殺してしまう。そればかりか、頼みごとをしに訪れた人妻を手篭めにしまう。(まあ、「武家の人妻」としたい気持はわからないことはないけど‥)さらに、その人妻の夫を殺し、自分の妻にしてしまう。やがて子供が生まれるが、結局はその妻も斬り殺してしまうのだ。もうハチャクチャ。でも、いろいろな人物が絡み、なかなかおもしろい小説になっている。

と、もっともらしく書いたけど、実のところ「大菩薩峠」を全部読んだわけではない。読んだのは、全体の半分くらいだろうか。なんせ、これがメチャクチャ長い(日本で最も長い小説らしい)。「大菩薩峠」は、全部読んだだけで自慢できるかも。

2004.2


※大映映画の人妻役は、なんと中村玉緒。ミスキャストもいいとこだよなあ。



 戸隠でクロカン

子供たちを飯綱のスキー場で降ろし、女房とおれは戸隠村に向かった。Yさん宅に着いたのは、10時半。まずはストーブにあたりながら、コーヒーを飲んだ。ふと窓の外を見ると、キツネがとぼとぼと歩いていた。久しぶりに見たキツネだ。Yさん宅は、県道から500メートルほど入ったところにある。背後は、すぐ山。600坪の敷地には小川が流れ、春にはニリンソウやリュウキンカが咲く。本当に自然がいっぱいのところだ。
戸隠村には、何人かの知り合いがいる。どういうわけか、皆よそから移り住んだ人たちだ。Yさんもそのひとり。自宅は戸隠でも、事務所は長野市にある。毎日毎日、戸隠と長野を車で往復(片道20km)している。雪の山道は大変だろうなあと思うが、本人は今の生活に満足しているようだ。上の写真は、Yさん宅の離れ。ハンノキに囲まれている。積雪は、1mくらい。例年より少ないらしい。

先週のこと。「一緒に山歩きをしよう」と、Y夫人が女房に誘ったのだ。女房は大乗り気で、二つ返事。なんだか知らないうちに、おれも行くことになっていたのだ。Y氏ともしばらく会ってないんで、まっいいか。
クロカンのコースはYさん宅の裏山だと思ったら、戸隠神社の奥社付近だという。Yさん夫婦とカノン(黒のラブラドール)とおれたちは、車2台に分乗。到着点となる宝光社付近に1台駐車し、出発点なる奥社入口のパーキングに車を置いた。
Yさんから借りた靴とスキーをはき、いざ出発。10mほど歩くと、早くも急斜面。緊張しながら滑り降りるが、さっそく転倒してしまった。初めてだもんなあ。まあ、無理ないか。
ベテランのY氏は、どんどん先に進んでしまう。カノンは、Y氏とおれたちの間を何度も往復した。犬って、どうしてあんなに元気なんだろう。

奥社参道の杉並木は見事だが、周辺のミズナラ、トチ、ブナなどの大木もなかなかのもの。特に樹齢100年以上のミズナラは、実に立派である。樹間を縫うようにして、シャッシャッと歩いた。雪面を見れば、ウサギ、キツネ、テンなどの足跡。天気は快晴。風もなく、とても気持がいい。久々に冬山を堪能してしまった。でも、運動不足のおれには、ちょっとハードだった。写真は、Y夫人と女房。

※キツネやテンといえば、
宮崎学写真館「森の365日」がおもしろい。「web定点カメラ」があり、運が良ければいろいろな動物に会える。

2004.2



 ライトがひとりでに‥。超常現象かと思ってしまった

今の車(ビッグホーン)の走行距離は、25万km強。4月が車検で、8年目となる。本来なら買い替えるところなんだけど、やはり「ぜいたくは、敵」「ほしがりません、勝つまでは」「パーマネントはやめませう」というところ。ここは頑張って乗り潰さなくては‥。目標は、そうだなあ。40万kmかな。当初の目標は、30万kmだったんだけどね。
さすがに7年も乗ると、あちこち傷んでくる。運転席側のドアのヒンジ、運転席シートのスプリング、ラジオのアンテナ、リアのワイパー、マフラー、等、等である。まあ致命的なトラブルじゃあないんで、我慢しよう。

先日の早朝のこと。暖機運転をしようと、玄関を出た。そこで、アッと驚いた。なんと、ライトがつけっぱなしではないか。エッ、なんで!血の気が引いた。あわてて車の中に入り、キーを回した。すぐにエンジンがかかり、まずは一安心。なんか変だなあ。駐車したのは、昨夜の9時ごろ。前照灯を消し忘れたとしたら、そのときに気づくはずだ。それに、バッテリーはとっくに上がってていいはずだ。どういうことだろう?パニクってて忘れたが、ライトのスイッチは本当にONだったんだろうか?
その答えは、翌朝わかった。まだ暗い4時、ちょっと心配になって外に出た。ギャッ!またまたライトがついていたのだ。消し忘れではない。勝手にライトがついたのだ。まるでゆうれいカー。
夜明け前ということは、気温が原因だろう。想像するに、どこかの接点か配線が収縮するなどして、ONになるに違いない。さてさて困った。明日か明後日修理に出すとしても、それまでどうしよう?おれは、メカにはまったく弱い。ない頭で解決策を考えた。夜中に1度エンジンをかけて、車体を暖めようか。余熱で、しばらくは大丈夫だろう。でも、眠いよなあ。いっそのこと、エンジンをかけたまま車の中で寝るか。う〜ん、困った。
昼ご飯を食べていたら、突然ひらめいた。バーテリーだ!夜の間だけバッテリーの電極からコードを外してしまえばいいんだ。対症療法的だが、確実な方法だ。でも、こんな単純な答えを出すのに半日もかかってしまった。バカだねえ。
気の利いた奴なら、解決策うんぬんではなく、工具片手にちょいちょいと直しちゃうんだろうなあ。

2004.2



 今年2度目のマージャン

夕方の6時から、今年2度目のマージャン。場所は雀荘ではなく、某宿泊施設の一室。メンバーは、25年以上つきあいのある某社相談役のA氏、今回初顔合わせの若手のB君、そして何度か対戦したことのあるC夫人である。
おれはというと、始まる前からガンガンとビールを飲む。でも、他の3人はウーロン茶。
「まあ、なんだ。おれぐらいのレベルになると、このメンバーじゃ、アルコールでハンデをつけなくちゃな」と、わけのわからないことをうそぶくが、だれも聞いていない。とにかく真剣。金がかかっているんで、人の話なんか聞いていられないのだ。
それでも、合間合間に軽い世間話をする。
C夫人「赤ちゃん、産まれた?」
B 君「うん、今晩か明日らしい」
A 氏「そりゃ、めでたい」
C夫人「いろいろ大変ね。その
、ポン!」
B 君「このウーピン、通るかなあ」
お れ「!!??!!??」
オイオイ、普通こういう場面じゃ、「子供が産まれるってえのに、マージャンなんかしている場合じゃねえだろ。女房が、泣くぜ」とかなんとか諭すよなあ。それがどうだい。まったくの無視だもんなあ。どいつもこいつも、いったいどういう神経をしているんだろう。もう呆れてしまった。と言っても、呆れたのはほんの一瞬のこと。数秒後には、きれいに忘れてしまった。人の子供の心配をしている場合じゃねえもんなあ。これって、阿佐田哲也の世界かも。

終了したのは、午前2時過ぎ。結果は、おれがトップだった。当然当然。あははははははは。
さっそく女房に電話。
女房「‥ふぁあい」
おれ「あっ、おれ。寝てた(当たり前か)?終わったから、すぐ迎えに来て」
女房「今、何時?」
おれ「さあな。早く来て」
よくできた女房で、何時だろうと、ちゃんと迎えに来てくれる。もっとも、タクシー代をけちっていると言えなくもないんだけど。
女房の運転で、意気揚々と帰宅。ゆっくり風呂に入り、ついでに風呂掃除(女房の命令)もして、4時ごろ就寝。

B君の赤ちゃん、無事産まれたんだろうか。

2004.1



 今日は、旧暦の1月1日

ときどきなんとなく気になり、新聞の「こよみ欄」を見る。日の出日の入りの時間や旧暦(太陰暦)の日付などを確認し、なんとなく納得する。確認してどうこうするわけじゃないけど、これは昔からの癖なのだ。
空に浮かぶ月を見ると、いつも旧暦の日付を考えてしまう。たとえば、満月なら旧暦の15日。12月の満月の日は、旧暦の11月15日となる。三日月なら、旧暦の3日だ。ところが、これがなかなかむずかしい。半月もそうだが、上弦と下弦がどうしても区別できない。単純なことなのに、いつまでたっても覚えられない。細い月を見て、こう思う。3日かな。それとも4日かな。いやいや待てよ。新月の前で、28日かもしれないぞ。
カニの名前にモクズガニがある。モズクガニなのかモクズガニなのか、いつも迷ってしまう。漢字の音読みと訓読みもそうだ。どちらが音読みで、どちらが訓読みなのか、長い間ごっちゃになっていた。こういう単純なことが、どうしても覚えられない。おれの場合、脳にどこかに先天的な欠陥があるのかもしれない。

太陽暦では、どうも季節感にずれがある。年賀状には迎春とかいう言葉を書くが、新暦ではいったいどこが春なんだか‥。桃の節句といっても3月じゃまだ花は咲いていないし、端午の節句といっても4月じゃショウブの花はまだだ。七夕だって、梅雨の真っ盛りである。こういう行事を月遅れでやるのも、納得できる。でも、新暦と旧暦と月遅れがごっちゃになって、なにがなんだかよくわからない。桃の節句はやはり3月だし、鯉のぼりは5月から6月だし、七夕も7月から8月だ。お盆は、やっぱり8月だよなあ。どうなっているんだろう。

2004.1



 昔のこと

「昔のこと」ということが、残念だ。
この数十年、身近な自然の中で劇的に変化したのは川だと思う。おれの小さいころは、どんな小さな流れの中にもフナやドジョウなどの魚が泳ぎ、タニシやカワニナやシジミなどの貝類がたくさんいたものだ。

家の裏庭(北側)には幅30cm深さ20cmほどの用水路があり、田植えのころになると、たくさんのフナが産卵のために遡上してきた。親父は一斗缶を利用したウケをつくり、毎晩それを用水路に沈めたものだ。朝、そのウケをあげるのは、小学生のおれの仕事。これが、楽しみでね。よいしょとウケを水からあげると、たくさんの銀色のフナがピチピチとはねていたものだ。その様子は、今もおれの脳裏に焼き付いている。家の西側は、道をはさんで田んぼが広がっていた。夕方になると、バシャバシャとのたうち回るドジョウの産卵が見られた。
ちょっとした池には、カラスガイがいた。20cm近い大きなカラスガイは、もうの宝物。学校に持って行っては、友達に自慢した。授業中、生きたカラスガイをポケットから出し、優しく愛撫したものだ。川には、カワニナやシジミがたくさんいた。大きなカワニナを見つけては、中の身をクギでほじくり出し、貝殻の尻をちょいと削り、それを指の間に挟んで息を吹きかけ、笛のようにしてピーピーと鳴らしたものだ。カワニナがいれば、当然ホタルもたくさんいた。網がないときは、竹箒を振り回してでホタルを捕まえた。そして、深緑色した蚊帳の中に捕まえたホタルを放した。これがきれいでね。実に幻想的だった。おふくろはそんなホタルを憐れんで、「逃がしてあげな。ホタルなんか、窓から見てればいいじゃない」と言ったものだ。

ああ、まるで夢のようだなあ。魚や貝類が満ちあふれた川を見ることは、もうできないんだろうか。

2004.1



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