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 屋根材   麻幹葺き、かんば葺き、鉄平石葺き、石置き屋根



民家の屋根材は、多種多様だ。長野県の場合、草葺きには、茅、麦わら、稲わら、麻幹(麻の茎)などが使われる。杉皮、檜皮(ひわだ)、白樺などの樹皮も利用される。板葺きには、うすくへぎやすい栗、檜、サワラ、カラマツなどが使われた。石置き屋根は、葺いた板や檜皮などが動かないように石で押さえたもの。白樺の樹皮で葺いたかんば葺きは、石をびっしりと一面に敷きつめる。南信地方では板葺き屋根の家を板家(いたや)、茅葺き屋根の家を茅家(かいや)と呼んでいるが、古くは茅葺きが中心だったらしい。中南信の本棟造りは、本来はこの板葺きである。
諏訪地方では、石(鉄平石)葺き屋根が珍しくない。鉄平石は安山岩の一種で、諏訪や佐久地方が産地。この石葺きは、東信や南信の一部でも見られる。
瓦葺きが普及したのは、江戸時代末から明治にかけてである。いくたびかの大火を経験し、財力のある商家は、屋根を瓦葺きにし、建物を塗り籠め造りにして、火災から家屋を守った。また、養蚕などで富裕になった農家も、順次瓦葺きなっていったようだ。


No.219 鉄平石菱葺きの土蔵。鉄平石(安山岩)葺きは、諏訪地方や辰野町などのほか、立科町や望月町などの東信地方でも見られる。 茅野市 86.10





No.220 板と鉄平石の混ぜ葺き。 茅野市湯川 86.6
 
No.221 鉄平石平葺き。 茅野市 81.10



No.222 瓦は、耐久性と防火性に優れる。 上田市 92.10
 


No.223 昔は、その土地土地に瓦を焼く窯があり、古い民家の瓦はほとんど地元のものである。三州瓦などを使うようになったのは、60年代に入ってからだ。長野市には、80年代に入っても、まだ瓦を焼く窯があった。 長野市 82.4



No.224 石を置いた板葺き屋根。板は、カラマツだろうか。この部落には、季節を変えて、何度も撮影に訪れた。しかし、最近行ってみると、すっかり様子が変わっていた。20年という歳月を改めて考えてしまった。板葺き屋根は、県内のあちこちで見られたが、残念なことに北信ではとうとう見つけることができなかった。撮影当時、茅葺きの民家は珍しくなかったが、板葺きの民家は数が少なかった。 南佐久郡川上村川端下 82.5



No.225 板は釘を使わずに、並べただけのもの。風に飛ばされないように石を置いて固定した。 南佐久郡川上村梓山 82.5
 

No.226 板葺きのアップ。 大町市 82.10



No.227 茅葺き。茅は草葺きの中では、最も耐久性に富む。日の当たる縁側が印象的だ。 上水内郡牟礼村 80.12



No.228 稲わら葺きの物置。稲わら葺きは、県内ではとても珍しい。バックの白い山は、北アルプス。 更埴市森 82.4




No.468 麦わら(大麦)葺きの物置。大麦は、耐久性は劣るが、手軽な屋根材だったのだろう。長野市周辺には、大麦葺きの農家が珍しくなかった。大麦で葺いたばかりの屋根は、黄色できれいだったことを覚えている。その真新しい屋根に石を投げると、ズボッと石が食い込む。これがおもしろくておもしろくて。子供とはいえ、ずいぶんひどいことをしたものだ。 上高井郡小布施町 04.4



No.229 麻幹(おがら)葺き。小川村、美麻村周辺は、かつて麻の産地であった。麻幹とは、麻皮をはいだ後の茎の廃材。麻幹葺きは、県内ではここだけ。権田部落は集団移転した部落だが、撮影当時、元の自分の家で寝泊まりしながら野菜を作っているおじさんがいた。 上水内郡信州新町権田 81.10
No.230 麻幹のアップ。茅に比べると固く、そして太い。 上水内郡信州新町権田 81.10



No.231 かんば葺き。白樺は脂分が多く、耐久性に富む。樹皮がカーリングするため、石をびっしり敷きつめる。諏訪市や茅野市周辺でときどき見られるが、全国的にはどういう分布をしているのだろうか。 茅野市 81.10



No.232 かんば葺きのアップ。 南佐久郡川上村梓山 86.6



No.233 石を置いた杉皮葺きの民家。杉皮が住まいの屋根に使われるのは、とても珍しい。国宝の善光寺は檜皮葺きだが、檜皮葺きの民家を見たことがない。 北安曇郡小谷村戸土 88.7



No.234 石置きの杉皮葺き。 北安曇郡小谷村戸土 88.7
 
No.235 杉皮や檜皮(ひわだ)は、主に物置や家畜小屋の屋根に使われていた。 下高井郡野沢温泉村 82.5


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