Suesssauer



「ちょっと!!何すんのよ!・・・フガッ」
もう〜、最初あった時から最低な人と思ってたけど、まさかこんな乱暴者だとは!
「シーッ!!黙ってろ!」
黙ってろもクソもないじゃないの!あなたの無骨な手で口を塞がれてるんですから、
喋ろうにもしゃべれないわよ!
わたしはアイゼル。
ちょっと気が向いたからエリーの材料集めに付き合ってあげたんだけど、
こんなことになるなら来なければよかったわ。
向かっている先は、エルフィン洞窟。
もう〜、街道の埃っぽさったらないわ!せっかくの服が台無しよ!

おまけにあのコとその護衛の口の悪〜い聖騎士ったら、歩くのが早くて
追いつけないじゃ無いの!
だからわたしは、自分のペースで歩いてたのよ。

そうしたら急に腕を掴まれて、街道沿いの潅木の茂みに無理矢理引っ張り込まれたのよ!
悪いけど、あたしあなたなんて好みじゃないから。

「ジッとして、臥せるぞ!」
んまあ、ちょっと何よ!そんなふうにのしかかってこないでよ。
もう、一体なんなの?説明してちょうだいよ!

「暴れんなって!見つかるぞ、野盗どもに。」
最初からいいなさいよ!そういうことは!
わたしは仕方なくおとなしくしてあげたわよ。

まだ?まだなの?
おまけにあなた、騎士じゃないの。野盗の束くらい叩き斬りなさいよ!

もおう、イヤ!あなたのせいで服が台無しじゃ無い!弁償してもらうからね!
でも・・・。
戻って来たのよね、わたしが野盗に襲われそうだから。
ザールブルグの市民を守るのが騎士だもの、当然じゃない!
だけど・・・。
乱暴なやり方だけど、守ってくれてるのよね。

「・・ふがっ!」
「シーッ!!」
ちょっと息苦しかっただけじゃないのよ!
そんなにキツク口を塞がれると息苦しくもなるわよ!
もう、おかげで余計に密着度が増しちゃったわ。最悪。

・・・・・・・・・・。
いやあね、わたしの心臓の音じゃ無いわよ、絶対に。
こんなにドキドキしてるなんて。
ただ、こんなふうに男の人と至近距離でいるなんてなかったから、
それでドキドキしているだけだわ。
それにしても・・・・、汗臭いわね。
ううん、臭いっていうのは・・・・、ちょっと違うわね。
これが男の人の匂いなのかしら・・・。
何て言うか・・・、逞しいというか男らしいというか・・・。

イヤダわ!わたしったら何てことを!
わたしにはノルディスという好きな人がいるのに、
こんな無骨な剣の腕くらいしか取り柄のない乱暴者に
ドキドキするなんて!




「おい、もういいぜ。行ったみてえだな。」
それだけいうと、サッサと歩いて行ってしまう。
もう、手ぐらい貸しなさいよ!

わたしは少しドキドキする胸を、びっくりしたからよ、と言い聞かせながら後を追った。

「エリー、大丈夫だったか?」
「うん、ちゃんと隠れてたし、それにイザとなったら爆弾アイテムしっかり持ってるし。
え〜っと、フラムでしょ?メガフラムでしょ?フォートフラムでしょ・・・」
「ああ、わ〜った、わ〜った!おめえが無事ならそれでいい。」


笑った!
あのコに向ける乱暴者の笑顔、なんだかショックだった。
そしてわたしは思ったの。
エリー、あなたはこうやっていつも守られてるの?

う、うらやましくなんかなくてよ。
エリー、あんたとその乱暴者騎士、ぴったりお似合いだわ。

こうしてわたしの胸の奥の奥で芽生えた小さな小さな泡のような感情は、
一瞬にして消えた。
少しの胸の痛みを残して・・・・・。


END



あっきゅさんより。

どこがダグアイなんでしょうねえ。(笑)
ただちょっと思ったんですよ、アイゼルだってダグにクラっと
くることもあったりするんじゃないかな〜?と。
それだけです。
しょうもないもので申し訳ないです〜。
タイトルの『Suesssauer』はドイツ語で"甘酸っぱい"、まんまです。(爆)


forest

6001のキリ外しとここの開設祝い、という事で頂きました。どうもありがとうございました。
ダグアイテイストのダグエリ小説を送るから、と言われ、ものの2日でもうこちらに…。
一体どんな物が来るのだろうと思っていたらこういう事だったのですか。
にしても、仕事速いです…。