貨物列車の車両(2)

貨物列車は高崎線全線で見ることができます。
ここでは高崎線内で見られる少々マイナーな貨車を取り上げています。


ホキ10000形ホッパ車

ホキ10000形ホッパ車
ホキ10000形
熊谷貨物ターミナル駅で撮影(2005. 7.)★

ホキ10000形ホッパ車は1981年(昭和56年)に登場した石炭専用のホッパ車です。
本来、貨車の区分には石炭車を示す「セ」という記号が存在するのですが、この車両は他用途への転用を考慮してか石炭車ではなくホッパ車となっており、過去には実際に中部国際空港の埋め立て用土砂の輸送などにも使用されています。
車体は鋼製で、ホッパ部を持つことから逆台形の形状をしており、取り下ろしの際には車体の下側から線路間に設けられたピットに石炭を落とすことができるようになっています。最大積載量は35トンで、最高速度は85km/hです。

高崎線内では、熊谷市内と秩父市内にある太平洋セメントの工場でセメントを生産するための燃料として使用するコークス炭を輸送するため、川崎貨物〜三ケ尻・武州原谷(三ケ尻と武州原谷はいずれも秩父鉄道線内の貨物駅)で運用されています。


ワム80000形有蓋車

ワム80000形有蓋車
ワム80000形
大宮駅で撮影(2001. 4.)★
ワム80000形有蓋車
ワム80000形380000番台
大宮駅で撮影(2001. 4.)★

ワム80000形有蓋車(ゆうがいしゃ・有蓋=屋根つきの意味)は1960年(昭和35年)に登場した車両です。
車体は当初は鋼製でしたが、製造途中で車体の軽量化のために側面の扉がアルミニウム製に変更され、現存する車両は全て扉がアルミニウム製となった車両となっています。側面の扉はフォークリフトによる荷役に対応した引き違い式の引き戸となっていて、1両に15トンの貨物を積載することが可能です。最高速度は75km/hです。
当初は左側の写真のようなとび色(赤茶色)に塗られていましたが、JR化後に走行性能の向上のため車軸の軸受けの改造を受けた車両は380000番台となって塗装も青色に変更され、もともとのとび色の車両は現在ではなかなか見られなくなっています。

高崎線内では、ワム80000形有蓋車を利用して新潟地区から東京都内へ新聞・雑誌の用紙を輸送する列車が設定されています。


トキ25000形無蓋車

タキ15600形タンク車
タキ15600形
高崎駅で撮影(2006. 7.)★

トキ25000形無蓋車(むがいしゃ・無蓋=屋根なしの意味)は1966年(昭和41年)に登場した車両です。
車体は鋼製で、1両に36トンの貨物を積むことが可能です。最高速度は75km/hです。

高崎線内では、福島県いわき市と群馬県安中市にある東邦亜鉛の工場間の原料輸送用列車に使用されている車両を見ることができます。
なお、この原料輸送用列車に連結されているトキ25000形(写真の車両)は、1999年(平成11年)に製造された亜鉛精鉱(選別済みの亜鉛鉱)専用の車両で、製造時期が新しいことなどから、最大積載量が40トンに向上したほか、台車がコキ100系と共通のものに変更されて最高速度も95km/hに向上するなどの変更が施されています。


タキ15600形タンク車

タキ15600形タンク車
タキ15600形
高崎駅で撮影(2006. 7.)★

タキ15600形タンク車は1969年(昭和44年)に登場した亜鉛焼鉱専用のタンク車です。
通常はタンク車は液体を積むものですが、この車両は亜鉛の精錬の際に発生する中間製品であるペレット状の酸化亜鉛焼鉱を積むための車両で、1両に亜鉛焼鉱を40トン積むことができます。車体は鋼製で、最高速度は75km/hです。

この車両は上記のトキ25000形とともに福島県いわき市と群馬県安中市にある東邦亜鉛の工場間の原料輸送用列車に使用されています。


タキ1900形タンク車

タキ1900形タンク車
タキ1900形
大宮駅で撮影(2000. 9.)★

1964年(昭和39年)に登場したセメント専用のタンク車です。
この車両は粉末のバラセメントを積むための車両で、1両にバラセメント40トンを積むことができます。車体は鋼製で、最高速度は75km/hです。

高崎線内では、以前は熊谷市内にある太平洋セメントの工場から東日本の各地へバラセメントを出荷するために運用されている車両が見られましたが、2006年(平成18年)春に自動車輸送に切り替えられたため、現在では熊谷貨物ターミナル駅構内に留置されるのみとなっています。


貨車の側面に書いてある会社名について

コンテナ車や有蓋車などを除く多くの貨車の側面にはJR以外の会社名が書かれていることがあります。これは宣伝ではなく、荷主が運ぼうとする荷物を輸送できる貨車がない場合にJR貨物に代わって荷主が貨車を製造してJR貨物に預ける「私有貨車」という制度を利用しているためです。この制度は鉄道創業以来続く長い伝統を持つ制度で、私有貨車は側面に所有者の名前を記入する決まりとなっているため、その貨車を保有している会社の名前が書かれているわけです。
ちなみに同様の制度はコンテナにも採用されていますが、コンテナの場合は貨車と違って塗装に制限がないためカラフルなものが多く、通運会社のものを中心に宣伝同然のものも結構見られます。


貨物列車の車両(1)もご覧ください。