日頃めったに目にすることがない、裏方の役割を果たしている車両です。
![]() E491系電気・軌道検測車 「East i -E」の愛称を持つ 本庄駅で撮影(2005. 5.)★ |
E491系電車「East i -E」(イースト・アイ・ダッシュ・イー)です。2002年(平成14年)に登場した車両で、架線の磨耗量や信号機・ATC(自動列車制御装置(=車内信号閉塞装置))・ATS(自動列車停止装置)・列車無線・踏切などの動作状況を調べる機能を持つ「電気検測車」と、レールのゆがみや乗り心地などを測定する機能を持つ「軌道検測車」を1編成3両に収めた、東海道・山陽新幹線の総合試験車「ドクターイエロー」や東北・上越・長野新幹線の総合試験車「East i」の在来線版にあたる車両です。最高速度は130km/hです。
所属は勝田車両センター(茨城県)で、193系気動車「East i -D」(秋田車両センター所属の「East i -E」と同様の機能を持った気動車)と分担する形で、JR東日本管内の在来線各路線を数ヶ月に1回ずつ回るペースで検測をおこなっています。
なお、最近ではマヤ50形客車(建築限界測定車)を編成に組み込んで走行するシーンも見られるようになっています。
JR東日本の場合、上記のほかにも検測車としてマヤ50形客車を保有しています。これは建築限界測定車と呼ばれる車両で、線路の構造物の新設や改修などの際に車両の走行に支障する構造物が存在しないかどうかチェックするための車両です。
かつて建築限界測定車は車体から突き出した矢羽根状の棒に構造物が接触したかどうかでチェックをおこない、その外観が花魁(おいらん)のかんざしのように見えることから、鉄道ファンの間では「オイラン車」と呼ばれましたが、現在使用されているマヤ50形ではレーザー光線による測距法を採用しています。最高速度は95km/hで、検測もこの速度での実施が可能となっていることから、白昼堂々の検測もよく見られるようになっています。所属は尾久車両センターで、最近は上記の「East i -E」に組み込まれての検測が多くなっています。
![]() 143形電車 大宮駅で撮影(1999.11.)★ |
各電車区で入換や回送のために使用されている車両です。昔の電車は1両単位で走れたため入換も簡単だったのですが、1960年代(昭和35年〜)以降の車両は走行に必要な機器を何両かに分散して搭載していて1両単位で運転することができなくなったため、このような車両が登場することになりました。
現在首都圏では1977年(昭和52年)から新車として登場した143形と、廃車になった車両から部品を流用して1980年(昭和55年)から改造扱いで製作された145形の2種類があり(いずれも最高速度は100km/h)、首都圏の各車両基地には原則としてこのどちらかが1〜2両ずつ配置されています。
大宮には大宮総合車両センター(自動車の車検に相当する大規模な検査修繕をする工場施設)があるため、首都圏の各電車区からやってきた143・145形電車をよく見かけます。ちなみに写真の車両は千葉県の幕張電車区(千葉県)所属のクモヤ143形で、総武快速線・横須賀線で使用されていた113系電車を従えています。
保守用の車両は正式には「保守用機械」とされており、車両としての登録はされていませんが、ここでは便宜的に車両として取り扱います。
保守用車両はATSなどが装備されていないことから列車の運行がおこなわれている時間帯には本線を走行することができず、通常は日中は駅の側線などで昼寝している姿が見られるのみですが、上越線・吾妻線・八高線や山手・京浜東北線では年に1〜2回日中の列車の運行を休止して集中的に保守作業をおこなうことがあり、この時には白昼堂々と稼動している姿を見ることもできます。
最近では保守用車両は4トントラックを改造して線路上を走行可能とした「軌陸車」と呼ばれる車両を使用することも多く、信号機や架線のメンテナンスではほとんどがこれを使用するようになっていますが、軌道の保守作業ではまだまだ専用の保守用車両が使用される機会が多いです。
![]() 吹上駅で撮影(2003. 8.)★ |
レール輸送用の台車やバラスト(砕石)輸送用のホッパ車の牽引などに使用される牽引車です。保守用といっても、通常のディーゼル機関車と同様に空気ブレーキや自動連結器などを持ち、運転台機器も通常のディーゼル機関車とほとんど変わりません。
軌道の保守作業全般に幅広く使用されます。
![]() 籠原駅で撮影(2000. 9.)★ |
線路に敷き詰められているバラスト(砂利)を突き固めて列車の乗り心地を安定させるための車両です。
線路のバラストはかつては人力で突き固めていましたが、1970年頃からマルチプルタイタンパーの導入がはじめられ、近年では列車の高速化による突き固め精度の向上の要求や、列車本数の増加で日中の保守作業が困難になってきたことに伴う深夜の労働力確保の問題などから、急速に導入が進んでいます。
車両中央下部にタイピングツール(突き固め装置)が取り付けられており、1時間に延長約30〜50mの区間(人力では数人がかりで1時間に5m程度)のバラストを突き固めることができ、同時に線路の狂いも修正することが可能となっています。
![]() 池袋駅で撮影(2006. 3.)★ |
線路上を走るクレーン車で、「鉄道クレーン」と呼ばれます。
最大で64トンの重量のものを吊り上げることが可能で、橋梁架け替えや大規模な線路切り替えの際のポイント部分の軌道交換などに使用されます。なお、通常のクレーンとは異なり、クレーン部分は架線下での作業などを考慮して前後・左右方向には動くものの上下方向には動かないようになっています。
日本国内には数両しかいない珍しい車両で、JR東日本では「スーパービートル」の愛称がつけられています。