移動制約者向け設備

2000年(平成12年)に施行された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(いわゆる交通バリアフリー法)や2006年(平成18年)に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(いわゆるバリアフリー新法)などによって、現在では1日あたり5000人以上の利用者がある駅ではエレベーターやエスカレーターなどの設置が原則として義務化されており、該当する駅では順次整備が進められています。

エスカレーター

エスカレーター(1)
籠原駅で撮影(2000. 8.)★
エスカレーター(2)
ステップのマーキング
熊谷駅で撮影(2002. 2.)★

高崎線の各駅に設置されているエスカレーターの多くは交通バリアフリー法の施行に伴って整備が進められたもので、そのほとんどは車椅子での利用も可能となっています。
通常は普通のエスカレーターとして動作していますが、係員が操作することでステップ3段分(青くマーキングがしてある部分)が同じ高さに並び、車椅子が乗車できるようになります。ただし、実際に車椅子で利用する際には、どの駅でも機器の操作と危険防止のため駅員の立会いが必要とされており、乗車までにかなり待たされるケースもあるようですので、注意が必要です。

エスカレーターの仕組み(日本エレベーター協会のWebサイト内)

エレベーター

エレベーター
行田駅で撮影(2002. 3.)★
エレベーター
高崎駅で撮影(2005. 6.)★

高崎線の各駅に設置されているエレベーターの多くはバリアフリー新法の施行に伴って整備が進められたものです。
ほとんどのものは車椅子対応として閉じ込め事故防止のためドアに窓がつけられています(設置時期が古いものは窓がついていない場合もあります)。また、最近設置されたものでは左の写真のように車椅子が内部で方向転換する必要がないウォークスルータイプのもの(手前のドアから入って奥のドアから出る)も多く見られます。

エレベーターの仕組み(日本エレベーター協会のWebサイト内)

かつては車椅子以外での利用は断られるケースが多かったのですが、現在ではほとんどの駅で車椅子での利用かどうかにかかわらず自由に利用が可能となっています。

車椅子用階段昇降機

車椅子用階段昇降機(1)
エスカル
浅草駅で撮影(2007. 5.)★
車椅子用階段昇降機(2)
エスカル
使用時以外は取り外し可能
浦和駅で撮影(2006.12.)★
車椅子用階段昇降機(3)
車椅子用階段昇降機
乗車部分を取り外せない初期のもの
現在は使用されていない
熊谷駅で撮影(2004. 1.)★

交通バリアフリー法の施行に伴い、エレベーターやエスカレーターが設置されていない駅で車椅子利用者の利便を図るために設置されたものです。
初期のものは設置場所に制約があったり昇降機本体が取り外せないため階段の利用の邪魔になるなどの問題がありましたが、JR化後に開発された「エスカル」と称するタイプでは設置場所の制約が大幅に緩和されたほか、昇降機本体を取り外して収納可能となるなどの改良が加えられています。
一時はかなりの駅で見られましたが、最近では車椅子対応エスカレーターやエレベーターの整備が進んだことから急速に姿を消しつつあります。

「車椅子用階段昇降機 JD ESCAL」(大同工業(「エスカル」の開発元)のWebサイト内の紹介記事)

実際に車椅子で利用する際には、車椅子対応エスカレーターと同様に駅員の立会いが必要とされており、乗車までにかなり待たされる場合があるようです。また、「エスカル」の場合は乗車部分が取り外し可能となっていることから、階段が複数箇所あるにもかかわらず乗車部分が1セットしか用意されていない駅も多いようですので、注意が必要です。

車椅子用簡易スロープ

車椅子用簡易スロープ
さいたま新都心駅で撮影(2003.10.)★

車椅子用の簡易スロープです。
ホームと電車の床の間には少々段差があるため車椅子で利用する場合は駅員数人がかりで持ち上げる必要があり、利用者・駅員双方の負担となっていましたが、それを解消するため最近では各駅に写真のような簡易スロープが配置されています。折畳式のコンパクトなものですが、300kgの重量まで耐えられるため電動車椅子での乗降も問題ありません。

最近はどの駅でも要員の合理化などから同時に勤務している社員の数が減少しており、車椅子での利用を突然申し出られても対応しきれない場合もあるようです。したがって、車椅子で列車を利用する場合は、なるべく事前に乗車駅・降車駅または最寄り駅などに直接連絡を入れておいたほうが無難かもしれません。


車椅子の方を見かけたら

最近は車椅子で列車に乗車している方をよく見かけるようになりましたが、やはりご自身では自由に動き回れない方も多いですので、介助の方や駅員さんなどの姿が見えないようなら、乗降などのお手伝いをしてあげたいところです。

まずは意思の確認を

まずは車椅子に乗っている方がお手伝いが必要と思っているかどうかを確認してください。もし一人でいたとしても、介助の方や駅員さんがちょっと場所を外しているだけかもしれません。いきなり車椅子を押し始めたりするのはもってのほか。
時にはすぐに返事が帰ってこない場合があるかもしれませんが、お手伝いが必要なら「お願いします」、不要なら「結構です」「大丈夫ですから」といった返事が返ってくるはずです。

絶対に前傾させない

車椅子に乗っている方の多くは下半身に何らかのマヒがある方なわけで、車椅子に座った状態では踏ん張りが利かない場合があります。特に下半身が完全に麻痺している方だと、車椅子を前傾させると簡単に車椅子から転げ落ちてしまうそうです。
したがって、列車に乗り降りする際や階段を人力で昇降する場合など、車椅子を傾ける必要がある場合は、必ず後ろ向きになるよう傾け、絶対に前向きに傾けないよう気をつけましょう。
もちろん、急発進や急停止も乗っている方が転げ落ちる原因となりますのでやめましょう。

列車に乗る時は前向き、列車から降りる時は後ろ向き

列車とホームの間は必ず列車のほうが高くなっていますので、車椅子を前傾させることがないよう、列車に乗る時は前向きに進んで前輪から乗車し、列車から降りる時は後ろ向きに進んで後輪から降りましょう。
なお、列車とホームの間の段差は車椅子用の簡易スロープを使用してクリアすることがほとんどですが、駅員さんがいないなどの理由で簡易スロープがない場合は、グリップ(車椅子を押す時に握る部分)を強く押し下げるか前側からフレームをつかんで持ち上げることで、前輪を持ち上げてクリアします(車椅子は荷重のほとんどが後輪にかかっているので前者の方法でも比較的簡単に前輪が持ち上がるそうです)。もっとも、列車から降りる際にはそのまま後輪から降りればよいでしょうけど。

持ち上げる時はフレームを持つ

列車とホームの間の段差や隙間が大きすぎる場合や、階段を人力で昇降する場合など、車椅子を持ち上げる必要がある場合は、必ずフレームの部分をつかみましょう。タイヤは絶対につかんではいけません。また、車椅子によっては持ち上げる際にグリップ(車椅子を押す時に握る部分)もつかんではいけない場合もあるそうですので、後ろ側から持ち上げる人は後輪の内側のフレームをつかんだほうがいいかもしれません(前傾させないようご注意を)。よくわからなければ、乗っている方にどこをつかめばよいか確認するのがよいでしょう。
なお、車椅子の階段の人力での昇降には少なくとも3〜4人程度の人手が必要です。

無理に車椅子スペースがある車両まで連れて行かない

下車駅でエレベーターが目の前となる場所に乗車しようとしていた人を、車椅子スペースがあるからとはるか彼方まで連れて行ってしまっては本末転倒です。また、下車駅で簡易スロープを持った駅員さんが待機する関係で、わざわざ車椅子スペースがない車両に乗車するよう指示されている場合もあるそうです。
したがって、乗車する車両は勝手に判断せず、必ず車椅子に乗っている方の意思を確認してください。


※「車椅子の方を見かけたら」の項目は、「車椅子で彷徨えば」を参考に作成させていただきました。