![]() 一般的な架線柱 熊谷貨物ターミナル駅で撮影(2001. 3.)★ |
![]() H型鋼を使用した架線柱 籠原〜深谷で撮影(2002. 2.)★ |
![]() 最近は鋼管を使用したものも増えつつある 鶯谷駅で撮影(2002. 2.)★ |
列車の走行用の電力を供給している架線(トロリ線)と、架線を吊るための架線柱です。
架線柱には様々な種類がありますが、高崎線は全線複線のため、写真のような門型のものが主流です。通常架線柱はコンクリートの柱と細い鋼材あるいはトラス状に組み立てた鋼材との組み合わせが主流ですが、高崎線内では太目のH型鋼を使用したものも見られます。かつては木や古レールなどが使用されていた時代もありました。最近では亜鉛メッキのシームレスパイプ(熱延鋼管)を利用したものが増えています。
![]() 北鴻巣駅で撮影(2006. 3.)★ |
架線柱には架線以外にも多数の電線が取り付けられています。
架線の吊り方には何種類かの方式が存在しますが、高崎線内ではほぼ全線で吊架線2本と架線2本を組み合わせた「ツインシンプルカテナリ」方式を採用しています。
![]() エアセクション 平行する架線同士は接続されていない 熊谷〜籠原で撮影(2007. 6.)★ |
![]() エアセクションではない通常の架線の終端部 平行する架線同士が接続されている 熊谷〜籠原で撮影(2007. 6.)★ |
![]() インシュレータセクション 写真のものではFRPが使用されている 熊谷〜籠原で撮影(2007. 6.)★ |
高崎線の場合、架線への送電は一定の区間に対して1箇所の変電所から送電する方式を取っているため、一定の距離ごと及び上下線別に架線が電気的に分割されています。
高崎線を含む国内の多くの鉄道では、平行して張った架線同士の空隙によって電気的に分離する「エアセクション」と呼ばれる方式と、架線に木材やFRP(強化プラスチック)などの絶縁物をはさむことによって電気的に分離する「インシュレータセクション」と呼ばれる方式が採用されています。
構造的にはエアセクションよりもインシュレータセクションのほうが簡便ですが、エアセクションのほうが高速で通過した際のアーク放電の発生量が少ないほか、インシュレータセクションでは架線と絶縁物の接続部が構造上の弱点となるため、通常はエアセクションが用いられ、インシュレータセクションは渡り線などエアセクションを設けるのが困難で列車の通過速度が低い箇所のみに用いられています。
![]() セクション標 行田〜熊谷で撮影(2007. 6.)★ |
![]() セクション内停車禁止標 行田〜熊谷で撮影(2008. 8.)★ |
![]() セクション外停止位置標 行田〜熊谷で撮影(2008. 8.)★ |
エアセクションやインシュレータセクションがある箇所では、1つのパンタグラフで大きな電流を集電する電気機関車ではアーク放電などによる架線切断事故を引き起こす恐れがあるため、運転士に注意を喚起するためにセクションがあることを示す標識が設置されています。
また、最近では電車のパンタグラフのスリ板が架線の磨耗量が極端に減少する代わりに大電流が流れると発熱しやすいカーボン系のものに変更されており、エアセクションの直下で停車するとパンタグラフを介して平行する架線間に大電流が流れてスリ板が発熱したりアーク放電が発生したりして架線を溶断してしまう危険性があることから、ここで停車するとエアセクション直下で停車することになるので停車してはいけないということを示す標識や、ここまで進んで停車すればエアセクションを通過しているということを示す標識も設置されています。
![]() 重力式テンションバランサー 行田〜熊谷で撮影(2004. 1.)★ |
![]() スプリング式テンションバランサー 行田〜熊谷で撮影(2004. 1.)★ |
架線の終端部にはテンションバランサー(張力調整装置)と呼ばれる機器を設置して、架線が垂れ下がらないように引っ張っています。
左の写真のものは滑車と重りを組み合わせた重力式テンションバランサーです。JR高崎支社管内では重りの下がり方が一目でわかるように、重力式テンションバランサーが取りつけられている柱には写真のようにカラフルな塗装を施しています。
また、最近では重りと滑車の代わりにシリンダに内蔵されたスプリングを用いて張力を調整するスプリング式テンションバランサーが登場しており、交換時期を迎えたものから順次こちらへの交換が進められています。
![]() 変電所 北本〜鴻巣で撮影(2001. 4.)★ |
列車の運行に必要な電力の供給のために設置されているのが変電所です。高崎線の場合おおむね5〜10km間隔で設置されており、交流6万6000ボルトで送電されてきた電力を列車が走行するために必要な直流1500ボルトに変換して送電しています。また、列車が走行するための電力以外にも、信号やポイント・駅構内の照明用の電力なども一緒に送電しています(こちらは交流6600ボルト及び交流200ボルトで送電)。
変電所というと高圧電線が引き込まれている大掛かりな設備を想像しがちですが、高崎線沿線の場合そういった変電所はごく一部のみで、多くは敷地内には小さな建物と数基のキュービクル(機器箱)があるのみの非常にコンパクトな設備となっており、送電線も地中のケーブルからの引き込みとなっています。
なお、JR東日本は神奈川県川崎市内に火力発電所を、新潟県小千谷市周辺の信濃川水系の河川に水力発電所を保有しており、列車走行用の電力のかなりの部分を自社で発電したものでまかなっています。