手話と道路交通法について少し書いてみたいと思っています。
これから運転免許を取得されるろう者とそれを支援する方々の参考になれば幸いです。
平成18年4月13日、警察庁は運転免許が取得できない重度の聴覚障害者について、ワイドミラーの装着などを条件に普通免許を認める方針を決めました。平成20年6月1日から施行されています。
40年間にわたり続いてきた自動車運転免許獲得運動に終止符が打たれる事になります。
やっと「ろう運動の4本柱」に「4つの終止符」を打つことができますね。
手話を学んでいる者として、やはりろう運動を忘れる訳にはいきません。
資料や削除した記事を載せていこうと思いますので、ろう者と運転免許についての資料館だと思ってお入り下さい。
未だに認知度の低いこの「身体障害者標識」ですが、最近は下記の道路交通法改正(聴覚障害者標識の義務化)に伴い、身体障害者標識が義務化になるという間違った情報が流れております。
今回の法改正で身体障害者標識が義務化になる事はありません。
(平成20年3月21日、警察庁 広報室に電話で確認済)
聴覚障害者標識は、平成19年に警察庁が行ったパブリックコメントにてデザインが決定され、翌年の平成20年4月3日に警察庁は標識(案)を報道発表しました。その後、5月15日に正式発表されました。
特定後写鏡(ワイドミラー)条件の場合、聴覚障害者標識を表示しないと、表示義務違反になります。また、聴覚障害者標識の車に対して、幅寄せや割込みをすると罰せられます。
聴覚障害者標識を表示した車両は、クラクション、エンジン音、排気音が聞こえないため、危険や車両の接近を知る事ができなかったり、発見が遅れたりします。
聴者は、クラクションで危険を知らせます。中には、エンジンを吹かし排気音を大きくして存在を知らせたり、威嚇してくる方もいますね。しかし、ろう者はこういった音に関する事が分かりません。
車間距離を保ち、思いやりの精神で見守って欲しいものです。
この法改正は、現行の聴覚検査で合格できない重度の聴覚障害者に対応するものです。従って、聴覚検査が廃止される訳ではありません。
つまり、ワイドミラー・聴覚障害者標識条件(以降、特定後写鏡(ワイドミラー)条件という)が新規に設けられ、補聴器条件は今まで通りで変りはありません。
ワイドミラーはルームミラーの事です。ドアミラーやフェンダーミラーの事ではありません。
この特定後写鏡(ワイドミラー)条件は、平成20年6月1日から導入されています。
免許を取る時には、今まで通りの補聴器条件で免許を取るのか、特定後写鏡(ワイドミラー)条件で免許を取るのか選択する必要が有ります。
補聴器条件と特定後写鏡(ワイドミラー)条件の大きな違いは、次のとおりです。
| 補聴器条件(今まで通り) | 特定後写鏡(ワイドミラー)条件 |
|---|---|
|
通常の教習と同じ教習内容(健聴者と同じ) 運転できる車種は免許を受けている車種(健聴者と同じ) 補聴器の使用 ワイドミラー(ルームミラー)の装着義務なし 聴覚障害者標識の表示義務なし |
補聴器条件(通常の教習)と教習内容が違う ※ 運転できる車種は、「普通車の乗用車」に限定 ワイドミラー(ルームミラー)の装着義務あり 聴覚障害者標識の表示義務あり |
表中の※ 「普通車の乗用車」に限定 = 原付、小型特殊、貨物(トラック、ライトバン)型の車両は運転できない
ワイドミラーはルームミラーの事です。ドアミラーやフェンダーミラーの事ではありません。
ワイドミラーは市販の物(平面鏡、曲面鏡)でよく、以下の条件をクリアしなければなりません。
条件:後方から走ってくる車両と左後方から走ってくる車両が確認できるミラーでなければなりません。(右ハンドルの場合)(道路交通法施行規則第23条)
参考例) セダン型の乗用車の場合
| 平面鏡 |
|---|
| おおむね32cm以上 |
| 曲面鏡 | |
|---|---|
| 曲率半径(cm) | 曲面に沿って計測した長さ |
| 140、150 | おおむね 21cm以上 |
| 160、170 | おおむね 22cm以上 |
| 180、190 | おおむね 23cm以上 |
| 200、210 | おおむね 24cm以上 |
| 220、230、240 | おおむね 25cm以上 |
| 250、260、270 | おおむね 26cm以上 |
| 280、290、300 | おおむね 27cm以上 |
また、上記参考例より短くても、車体の大きさや構造により運転席から後方の側面ガラス越しに斜め後方を確認できるものであれば、特定後写鏡(ワイドミラー)とみなされます。
特定後写鏡(ワイドミラー)条件で運転できる車種は「専ら人を運搬する構造の普通自動車」に限定されます。したがって、ライトバンのように貨物を積載する装置のある自動車は運転できません。
つまり、「普通車の乗用車」に限定 = 原付、小型特殊、貨物(トラック、ライトバン)型の車両は運転できないという事です。
具体的には、ナンバーの分類番号が、3、5、7から始まる自動車を運転できます。
ナンバーの例)
| 北海道 300 あ 0120 |
| 変更前 | 変更に必要な事柄 | 変更後 | |
|---|---|---|---|
| 補聴器条件の免許を取得 | 臨時適性検査+安全教育を受講すれば | 補聴器なしでの運転が可能に (特定後写鏡条件同様) | 補聴器着用での運転時は、ワイドミラーと聴覚障害者標識は不要 補聴器なしでの運転時は、「普通車の乗用車」に限定、ワイドミラー、聴覚障害者標識が必要 |
| 特定後写鏡(ワイドミラー)条件で教習所を卒業 | 免許取得時に聴力の適性検査を受けて合格すれば (免許取得後も可) | 補聴器条件の免許を取得できる | |
免許取得の際、福祉制度が利用できる場合があります。免許取得を考えている方は、近くの役所に確認してみると良いでしょう。
ご存知の方も多いと思いますが、聴覚障害者の場合、札幌市では以下の「身体障がい者自動車運転訓練費補助」が受けられる場合があります。各区保健福祉課へ問い合わせて下さい。
・身障等級が4級以上で、免許の取得により自立更生が図られる方に対し、自動車免許の取得費用の一部を補助します。
・補助額100,000円(上限)
北区保健福祉課へ問い合わせしてみたところ、自動車学校に申し込む前に、保健福祉課へ申請して下さいとのことでした。
訓練費補助を受けるまでの大まかな流れは、以下の通りです。
1.保健福祉課へ「身体障がい者自動車運転訓練費補助」を申請する
2.審査を受け、承認される
3.自動車学校に申し込む(入校する)
4.自動車学校を卒業する
5.卒業証明書(※)など、必要書類を添えて保健福祉課で手続きをする
6.訓練費補助を受けれる
(※)卒業証明書は、運転免許申請時に必要になりますので、訓練費補助用の卒業証明書を自動車学校で発行してもらいましょう。(卒業証明書が2種類必要です)
繰り返し言いますが、自動車学校へ申し込む前に、保健福祉課へ申請して下さい。
札幌運転免許試験場にて学科試験を受ける場合の注意事項です。他県の情報は分かりません。情報求む!!
技能検定を見事合格すると、後はろう者にとって最大の難関である学科試験です。見事1発で合格する方もおりますが、何度もチャレンジする方もおります。過去には、期限切れで断念した方もおりました。
この学科試験ですが、特定後写鏡(ワイドミラー)条件の場合、札幌運転免許試験場にて学科試験を受けるにあたって以下の注意事項があります。
札幌運転免許試験場が実施している手話通訳者の派遣は、以下の通りです。(概要)
実 施 日 毎月 第4水曜日(祝日の場合は翌日以降の最初の平日)
手話通訳料 無料
申込 方法 各自動車学校を通して申し込んで下さい
申込 締切 毎月 第3水曜日(祝日の場合は翌日以降の最初の平日)の午後5時(試験場必着)
※なお、これは学科受験日を指定するものではありません。
※第4水曜日以外に受験を希望する場合は、聴覚障害者個人、又は、教習所等が個別に手話通訳者の派遣を依頼して受検することは可能です。この場合は、その旨を札幌運転免許試験場へ連絡してください。
但し、札幌市の手話通訳制度は利用できません。今回の道交法改正に伴い、札幌市の手話通訳派遣は第4水曜日のみの派遣となりました。(札聴協から連絡がありました。)
※無条件、及び、補聴器条件の方でも、札幌市の手話通訳制度を利用される方は、できるだけ第4水曜日に受験して下さい。第4水曜日以外の依頼は、派遣出来ない事があります。(札聴協から連絡がありました。)
| 無条件/補聴器条件 と 特定後写鏡(ワイドミラー)条件 との比較 | ||
|---|---|---|
| 免許の条件 | 無条件/補聴器条件 | 特定後写鏡(ワイドミラー)条件 |
| 現状 |
・手話通訳者の同行は自由 −手話通訳者が居なくても受験可能 −手話通訳者が居なくても免許が交付される ・試験場への連絡は不要 |
・手話通訳者の同行が必要 −手話通訳者が居なくても受験可能 −手話通訳者が居いないと免許が交付されない ・試験場への連絡が必要 |
| 注意事項など | ・手話通訳者が同行する場合は、試験場への連絡が必要 |
・試験場への連絡が必要 ・手話通訳者の同行がなく合格した場合は、別途、手話通訳者を同行して取得時講習を受講すれば、免許が交付されます。 |
学科では、標識の意味とか、右左折の方法とか、合図の出し方とか、色々と車の運転に必要な知識を学びます。学科教本には分かりやすくイラストで書かれていたりしますが、実はこの大半が道交法や施行令などの法律です。それを学ぶことになります。
普段、何気なく「車」「自動車」などと言っていますよね。意味はどちらも同じですし、手話も何種類かあるとは思いますが区別なく表現していると思います。
ところが学科になるとそうは行きません。学科の内容は法律がもとになっていますので、「車」と「自動車」では意味が異なるんです。手話が同じでも意味が違う。という事に注意してください。
| 自動車 |
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| 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車及び身体障害者用の車いす以外のものをいう。 |
| 車(車両) |
|---|
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| 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。 |
| 軽車両 |
|---|
| 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす及び小児用の車以外のものをいう。 |
| 普通免許 |
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| (秀水メモ:「普通免許の方は〜」を、手話で「普通」+「免許」と通訳したら、「私はオートマ車だよ」とろう者に言われました。(^^) マニュアルもオートマも普通免許になります。オートマ車で免許を取る場合は、普通免許(AT限定)となります。) |
| 車両通行帯 |
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| 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。 |
| 路肩 |
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| 車道や歩道の効用を保つため、車道又は歩道に接続して、路端寄りに設けられる帯状の道路の部分をいう。(教本調べ) |
| 路側帯 |
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| 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。 |
| 車道外側線 |
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| 歩道のある道路で、車道の外側の縁線を示す白線のこと。(教本調べ) |
| 道路 |
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| 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第九項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。 |
| 車道 |
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| 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。 |
| 歩道 |
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| 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。 |
| 車両横断禁止 |
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| 車は横断してはいけません。(道路外の施設または場所に出入りするための左折をともなう横断はできます。)(インターネット調べ) (秀水メモ:右折を伴う横断はできない、とか、交差点は右折できるとか出来ないとかの説明になると更に手話表現が難しくなります。涙) |
| 死角 |
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| ある角度から見ることができない範囲。ある位置・立場からは観察できない箇所。(辞書調べ) |
と、このように文章で書くと訳わかりません。。。用語集なのに! 汗
なお、車道、歩道、死角は「新しい手話IV」に載っています。特に車道、歩道の表現は、工作物によって区画された様子がよく表現出来ていると思います。(^^;;
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