IKEUE FAMILY薪ストーブ・プロジェクト


数年前、友人宅に薪ストーブが設置された

薪ストーブから身体に直接熱が伝わる遠赤外線の暖かさが、古い記憶を甦らせた。35年前、私が通った三原小学校東分校では、12月になると全校児童で裏山へ薪拾いにいくのが冬支度の行事だった。木を切るのではなく、枯れて落ちている木の枝を拾うのである。教室では、茶色に錆びたダルマストーブを倉庫から出して設置し、窓のガラスを一枚はずし、煙突を外に出し点火の準備をした。児童の各家庭では学校へ持っていく薪の束を父親に作ってもらうのが決まりだった。一人何束持っていったのか忘れたが、一冬を暖かく過ごすだけの薪が用意されたのだろう。授業中も背中にストーブからの赤外線を感じながら、居心地よく過ごした。昼には、アルマイトの弁当缶を替わりばんこでストーブの上で温め、時にはイモを入れて焼きイモを作り、モチを焼いた時もあった。

ストーブの周りには囲いも無く、みんなくっつくように集まって、小さい手をストーブにかざしていた。木のこげた匂いと共に木造校舎の教室が2つしかない小さな小学校で過ごした冬の場面が、懐かしく思い浮かんできた。

ウチにも欲しい

でもその時はすぐに無理だとあきらめる気持ちがあったように思う。金額のこと、家の構造やスペースのことなど、条件が揃っていないと思っていた。しかし昨年ジョー・コーポレーションのログハウスツアーに参加し、ログハウスに似合う薪ストーブを見て、案内の方から具体的なストーブの話を聞いたり、触れたり、燃やしたりする中で、設置設備は手作りでもできるような、漠然とではあるが見通しがついてきた。

きっかけは庭の手入れで出る木の枝の処分

家を建てたときに植えた数本の木が、電線に触れるほど高くなり、仕方なく軒の高さくらいで切り取った。その時出た木の枝はかなりの量であった。しばらく空き地にそのまま置いていたが、嵩張るので薪にしてみた。細い枝がほとんどだが、軽トラックに半分ほどできた。これをキャンプの焚き火に使っていたが、ただ燃やすのももったいない気がして、やっぱり暖房用の薪ストーブで使いたいと思った。だからといって、庭の木を毎年切って、一冬燃やすだけの量があるわけではない。でも、薪は実家が山村なので、何とかなるという甘い考えもあり、薪ストーブの導入を家族には秘密で決意した。


インターネットで薪ストーブ注文

早速。インターネットで、薪ストーブを検索。

たくさんの情報の中、山梨県の http://www.renaissancephoto.com/

「ルネサンスフォト社」Mountain-SP

80,850(本体 75,000 送料 2,000 消費税3,850)を選定する。

10月の末、ついにストーブ代金を送金した。入金を確認後の商品発送ということで、多少は不安だったが、2日後には運送屋さんが4人がかりで配送してきた。100kg以上あり一人では運べない。友人に手伝ってもらって何とか家の中に運び込んだ。家族には秘密だったが、ついにストーブが目の前に配送されて、「薪ストーブ・プロジェクト」のプレゼンテーションをすることとなった。娘は喜んだものの、妻はらかににあきれている様子だった。

日曜日、朝からいよいよ薪ストーブ設置工事開始

まず、床に12mmのコンパネを、ストーブ置き場の形に切って敷き、木ネジで数箇所固定した。その上にレンガをタイル用の接着剤でくっつけて並べる。コーナーや端のレンガをディスクカッターで加工する。レンガを切る時はものすごい音と煙のような埃がでるのにはためらったが、近所に気兼ねしながらの作業となった。ほぼ1日がかりでストーブの耐熱床ができた。(休みながらの作業です。)心残りはコンパネの下に防水シートを敷けばよかったことであるが、後の祭り。まぁトラブルが出たらその時考えるとしよう。

次の日曜日の作業は壁の耐熱加工

床から1mほどレンガを積み上げる。これは左官工事で、垂直面にレンガを張るのであるが、セメントだけでの固定が素人には無理なようだ。そこで、例の強力接着剤で下から順に固定し、モルタルで1cmの目地を作っていった。プロの左官さんなら半日もかからないのだろうが、丸一日費やしてしまった。出来上がったら、うれしくて、すぐストーブを設置したくなり、隣家の友人を駆出して2人で設置した。2人では重過ぎるので、ストーブの扉やロストルをはずして何とか運んだ。これで部屋のインテリアにはなったが、薪を焚くためには、一番大事な煙突工事が必要である。煙突の付いていないストーブは、やはり間の抜けた感じでインテリアとしても物足りない。

いよいよ煙突工事

専用の煙突は値段が高いので、近所のホームセンターで購入した。ステンレス製で直径15cm。直径が12cmまでなら在庫があるのだが15cmは注文扱いとなり納品までに1週間がかかった。その上、煙突のトップの部品が欠品で更にしばらく待つことになった。

この煙突を外に出すための穴を壁に開けることになるが、障害物のない、しかもストーブの真上になる壁は、限られる。ドリルにホールソーを取り付けて壁に穴を開ける。ナントこれが筋交いにぶつかってしまった。仕方なく筋交いを避けて20cmほど上に穴を開けなおしたが、壁には穴が二つ空くこととなってしまった。おまけに20cm上にずらしたためにストーブ上の煙突ユニットの高さが足りなくなってしまった。仕方なくその分の煙突をディスクカッターで切り取って継ぎ足さなければいけなかった。


壁に空いた2つの穴は煙突が仕上がるまでしばらく空いたままだった。貫通している1つの穴からは朝日が差し込んで何とも不思議な景色で、光の帯の美しさにしばし浸りながらも、妻と娘からは不安の声が聞こえた。

くいで煙突と壁の隙間をうめる

やっと煙突が組みあがったので、次は無駄に空いた穴と煙突周りをくいで埋める作業だ。くいはセメントと違って、水だけ混ぜればよいので楽だった。粘着性も強く、塗りやすい。しかし、平らに仕上げるのは難しいので、わざとコテあとを付けるように仕上げてみた。部屋の内部は穴が2つ分なので、かなりの面積となったものの、まずまずの出来である。業者の仕上げだと、煙突の縁には真鋳製の丸い飾りが付いているのだが、調べてみると1万円するのでやめた。妻と娘は買った方が良いと言うのだが、手作りの失敗痕も逆にいいのではないかと思う。来客との話題の一つにもなっている。

オプション工事

出来上がって早速火入れをしてみた。炊きつけ時の煙が家の中に入ってきてひどい状態となった。窓をあけて換気扇を回しながらの点火だったが、火が大きくなると煙も煙突に吸い込まれるようになった。

しかし、火が小さくなると、薪を継ぎ足す時、また煙が部屋に入ってきた。娘と妻の冷たい視線の中、煙突工事のミスかと思ってマニュアルを読み直すと、煙突の長さが長いほど煙の引き込みが良いと言う事が書かれてあった。2人に、これはストーブのせいではなく煙突の長さが足りないからである事を説明して煙突を追加注文したのであった。

 煙突を長くした甲斐があって、多少は点火時に煙るものの、ストーブの扉を開けて暖炉状態でも快適に燃焼するようになった。

 更に追加オプション

 二週間ほど過ぎたある夜。この季節には珍しい豪雨が降った。このときの豪雨で黒潮鉄道は崖くずれが起きて、以後、列車の運行に支障が続いている。が、我が家にも被害が出たのである。

 豪雨の翌朝。ストーブの上の煙突から水滴がポタポタと落ちているのを発見した。よく観察してみると煙突を伝わって、昨夜の雨が家の中に侵入していたのである。ストーブの扉を開けると、灰を受ける部分が水浸し、もう少しで外にあふれる状態で、ストーブの側面や背面の継ぎ目から、少しずつ水が沁み出していた。出勤の時間も迫っていたので、水を排除した後、とりあえず煙突の継ぎ目を外し、ストーブと煙突の間にバケツを置いて、まだポタポタ落ちる水滴を受ける事にした。

 雨はその後も一日降り続き、家に帰って驚いた。バケツは雨水で、もうすぐ溢れる状態なのだった。

対策を考えなければいけないが、その前に原因を究明する必要がある。友人宅の業者の仕上げた煙突は屋外の縦煙突の下部分が横煙突よりも更に10cmほど下がっていて、点検できる穴が用意され、その隙間から、排水できるようになっていた。我が家の煙突は,くの字に曲がった蛇腹のエルボーで縦と横の煙突を繋いでいるので、トップから侵入した雨はそのままストーブまで入ってしまうのだった。横殴りの強い雨だと1日でバケツ一杯も侵入するということだった。

 急遽の追加オプションは、くの字に曲がったエルボーにディスクカッターで幅1cmの切り込みを入れ、水を抜くようにし、更に空気が抜けないように円筒形のキャップを針金で固定するというもの。簡単に書いたが、作業は半日かかってしまった。

 追加オプションはこれからも続く

 この他にも煙突にはまだ、改良が必要になりそうだ。風が強い日は火力が弱いと煙が抜けなくなり家の中に入って来ることがある。この対策としては、煙突を囲むカバーを煙突よりも高く作ればいいと思う。それは外見上、レンガの角煙突のイメージで屋根まで突き出すのである。これが出来るのはいつのことか・・・・・・??

 とにかく、我が家のストーブ・プロジェクトはまだまだ続くということである。手作りを楽しみながら試行錯誤しながら、これからも薪ストーブライフを快適なものにするため、完成はしないのであった。

2004年1月6日