<S−119のリペア>2003年

S−119が手に入りましたので紹介します
本機は1961年発売のシングルスーパーですが、ハリクラフターズ社のデザイン系列と異なるためOEM製品ではないかと言われています


リペア後です


<初期状態>
送られてきたS−119は想像以上にキレイな状態でした
前面パネルに目立った傷もありませんし内部も実にキレイです ケースに若干の擦り傷はありますが問題にはなりません
ANTを繋いで電源を入れると3バンドともちゃんと受信できます
トラッキングが取れていませんので、調整するのが楽しみです!
コンデンサー類はマイカとセラミックが主ですので交換の必要はなさそうです
電解コンの容量をチェックしましたが問題ありません
真空管は新品に交換しましたが、ハリクラブランドの球が付いていたので大事に保管しています

  
開梱した状態です                    キレイな内部です

  
左の青いのはセレン整流器です            ハリクラブランドの球です


<清掃/調整>
恒例行事の清掃ですが、あまり汚れていないので簡単に終わりました
1) IF調整
まずIF周波数のチェックですが、概ね460Kcでピークになっています
455Kcに合せますが、全てスムーズに調整できました
2) トラッキング調整
バンド1から調整して行きますが、マニュアルの手順どおりで苦労もなく3バンド共ピッタリに収まりました
SR−100で苦労したのがウソみたいです

  
懐かしいバーニアバリコンです             6BA6のカソード電圧を見ながら調整します


<スターSR−100の思い出>
私が最初に手にいれた通信型受信機は「スターSR−100」で1966年でした
BCL/SWLを始めたころで、手当たり次第に夢中で受信していました
バンドスプレッドも付いていない「ただの5球スーパー」ですが、思い出深い懐かしいものです
今回S−119を入手したのも、懐かしさとOEMの実際を確かめたかったからです


<S−119とSR−100の比較>

機 種 S−119 SR−100
写 真
(他のHPからのダウンロードです)
受信方式 シングルスーパー シングルスーパー
回路構成 6BE6 CONV、6BA6 IF/BFO
6CM8 AF/PAの3球式
DETとRECは半導体
6BE6 CONV、6BA6 IF/BFO
6AV6 DET/AF、6AR5 PAの4球式
RECは半導体
受信レンジ 3バンド 535〜1640Kc
2.0〜5.5Mc 6.0〜16.4Mc
2バンド 535〜1606Kc
3.5〜10.0Mc
サイズ <マニュアル>W267×H127×D191
<実測値>W250×H120×D190
W250×H120×D190
重 量 3.6Kg 3.1Kg
発売時期 1959年〜1964年 1963年〜

上記のように回路構成や受信レンジに違いはありますが、外観やサイズは全く同じです
マニュアルデータと実測値に差があるのは、インチとメートルの換算誤差みたいです
発売時期はS−119の方が4年程早くなっています


<OEMの考察>
S−119のバリコンやコイルの作りはSR−100と同じと思いますが、日本製とは断定できません (大昔の記憶ですが!)
IFTはS−38CやS−85に使われている物と同じですし、電源トランスはシールド付縦型が使われているなど日米のパーツが混在しているのでしょうか?
某輸入業者のお話ですが、この頃の日本メーカーはOEMがあればもちろん受注するし、その製品が売れるとなればコピーして国内販売するなんてよくある事だったそうです
米国向けの生産が終息するのに合せ、国内向けに仕様変更して発売したと考えられます
S−119がスター製との確証はありませんが、OEM製品でSR−100の兄貴分なのは間違いなさそうです
いずれにせよ大好きなハリクラフターズが増え、懐かしいSR−100が戻ってきたようで「目出度し目出度し!」です

  
SR−100のバリコンと同じようです         S−38CやS−85のと同じです


シールド付きの電源トランスです


<本機の使用感>
本機の特徴はバーニアダイアルを組込んだ一体型のバリコンですが、1対5の減速比で現在でもスムーズな操作感を維持しています
SR−100の短波帯は3.5〜10Mのみですが、S−119は2〜5.5Mと6〜16.4Mの2バンドですので、3.5M帯での使い勝手が良くなっています
1960年当時は自作送信機にXtalを何個か用意して運用しているスタイルが多かったようですので、このままでも3.5MのA3運用なら使えたでしょう
現在でも短波放送を聞くには十分なので楽しく使っています


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