<NATIONAL NC−60のリペア>2008年

知人が入手した、米国製 NATIONAL NC−60のリペアを依頼されました
トランスレス式5球スーパーでBFOやスタンバイSWは付いていますが、通信型受信機というよりBCLラジオのような受信機です


<初期状態>
ケース上面及び側面に錆が発生していますが、パネル前面は比較的綺麗な状態です

  


<リペアの記録>
裏蓋を外しケースから取り出したましたが、埃が積もったような状態ではなく比較的綺麗です
真空管を取り外し、クリーニングしました
ツマミはやや黄ばんでおり、取り外してクリーニングしても黄ばみは消えません
ダイアルコードはしっかりしており、バックラッシュも少ないです
可動部分に注油
スピーカーのコーンが数箇所ひび割れていたので、木工ボンドで補修
バンドセレクターツマミのストッパーが破損していたので、ビニールテープで応急修理等を実施しました

  


真空管のエミッションチェックを実施しましたが、一応全管ともGOODです
12BE6:OSC/CONV、12BA6:IF AMP/BFO、12AV6:DET/1st IF AMP、
50C5:POW AMP、35W4:RECTの構成です

  


整流部の電解コン及び、オーディオ部のカップリングコン数点はリキャップされていました
IF部及びRF部の調整をしましたが、近年に調整した形跡は見られません
AF部の整備は実施してあるので、前オーナーは真空管オーディオの知識のある方と思われます?
バリコンはメイン及びスプレッドが別々の良い部品が使われています

  


前面パネルはプラスティック製です
分解してクリーニングをしましたが、一部にひび割れがありますが綺麗になりました

  


再度組み立てました

  


< IF部の調整>
IF周波数は当初460KHz付近にピークがあり、各部の調整箇所毎にバラツキはあるものの大差ありません
全て455KHzに調整しました

<トラッキング調整>
バンド1及び2は単一調整のみの回路です
実用性を考慮して、バンド1:800KHz、バンド2:4MHzで最良値にしました
バンド3は局発コイルのみトラッキンッグ調整のできる回路です
ほぼスケールどおりに調整できました
ANTコイルは7MHzで最良値にしました
バンド4は局発コイル及びANTコイルともトラッキンッグ調整のできる回路です
初期状態は全くデタラメな調整で、15MHz近辺しか局発が発振していません
DMC−230Sを吸収型周波数計にして調整しましたが、ほぼスケールに近い状態まで調整できました
ANTコイルのダストコアはいくら力を加えても回らないので調整をあきらめ、パッティングコンで15MHzで最良値にしました

  


  


バンド1(中波帯)での感度は十分と思いますが、バンド3及び4では感度不足です
アマチュア無線の入門というより、BCL入門をコンセプトにしたのでしょうか?


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