<S−38Cのリペア>2002年
深夜にYahooオクを眺めていると、非常に程度の良さそうな「S−38C」を見つけました
希望落札価格が設定されていたので躊躇なく落札しました オークション開始から20分程の出来事です
送られてきたS−38Cは、想像どおりキレイな状態でした
受信動作もさほど問題ありません これからのリペア段階(リペアとはいわないかも?)を楽しく考えました
<初期状態>
1) 外装、パーツ類
内外装ともほぼオリジナルの状態で、PAカソードのバイパス電解コン他数点が換えられているだけです
真空管はIFの12SG7がRCAに換えられている以外は、1952年製ハリクラブランドの球がついています
2)受信動作
4バンドとも問題なく受信できていますが、BFOは動作していません
メイン/バンドスプレッドダイアルともスムーズに回ります
VRにガリはありませんが、軸にガタがあります
スライドSWは3個とも動作がかたくなっています
3) 仮調整
シャーシを引っ張りだして点検を始めました
BFOが動作しないのは、グリッドへのカップリングを外しているからでした
カップリングをS−38Bと同じくらいかけてみたら、BFO発振しますがAM受信時にも発振気味になります
38BのIF球は「12SK7」ですが、38Cは「12SG7」になっています
12SG7のgmは4000μモーと、12SK7の倍近くありますので納得です
ほんの僅かなカップリング量になるよう調整して、固定してしまいました
IF周波数とトラッキングのチェックをしましたが概ねOKです 又、全ての部分が調整可能なことを確認しました
左上の丸く太い線がカップリングを外している状態です
<分解清掃>
まずは分解してクリーニングです
キャビネット、各部のパーツに分けて、マイペットの希釈液に漬けて洗います
(あらかじめダイアルのネジ等は外しておきます)
シャーシはエアダスターで埃を吹き飛ばしました
溝の間までピカピカになったダイアルは気持ちの良いものです!
<パーツ交換>
ピカピカになった各部を組み立て、可動部分にミシン油を注油します
(私は注射器を使っています)
1)VRはガタがありますので交換することにしました
2)スライドSWも経年変化で動作がかたくなっていますので交換です
シルバーハンマートーンのキャビネットには黒が似合うので、今回は黒を使いました
38Bの予備部品が共通に使えるので好都合です
3)キャパシターは特に問題があるわけではありませんが、精神衛生のためマイカコンを除いて交換しました
リキャップ後です
4) 真空管はエミッションの落ちているものもありますが、ハリクラブランドの球を残したいのでこのま使います
<再調整>
IF周波数を455Kに再調整しますが、あまりズレはありません
トラッキングも同様です
38Bもそうでしたがトリマの調整だけで、スケールがほぼピッタリになります
本機は1953年頃の製造と思われますが、ハリクラのコイルは作りが良いので感心させられます
(1960年代の国産受信機スターSR−100やトリオ9R−42Jにはずいぶん苦労しました!)
<38Bと38Cの比較>
38Bと38Cはキャビネット等のカラーリングは違っていますが、基本構成は同じです
<CONV:12SA7 IF:12SG7 DET/AUDIO1:12SQ7 AUDIO2:50L6 RECT:35Z5>
(IF球だけは38Bが12SK7で変更されています)
IF球を12SG7にすることによりIFゲインが増加しますので、受信感度が上がっているようです
(38CのIFTは高gm球用でしょうが、タップダウンはしていません トリオT−21という中間タップのあるIFTの手持ちがあるので、いずれ試そうと考えています)
他にもCONV:12SA7のカソードにRFCを入れ直接アースにしたり、ANTコイル周りの回路も見直されています
(38BはAVCを直列き電方式でかけていますが、38Cは並列き電方式になりましたので、短波帯での性能がアップします)
38Cは38Bの「コストダウンバージョン」との評価もありますが、実際は多くの改良がされて性能が向上していますね!
<Sメータユニットの製作>
パーツBOXの隅から「Sメーター」が出てきました
ほとんど記憶にないのですが、1970年代に使ったVHF受信機の残骸かもしれません
正確にはSメーターというより、ラジケーターにS目盛が振ってある程度です
チェックしたところ動作するので、「Sメーターユニット」を作ることにしました
逆目盛ではないのでカソード電流を直接見るのには向きませんから、+Bを分圧してIFのカソード間に接続することにしました
メーター感度は数百μAでしょうから、500ΩのVRを分流器として抱かせ感度調整しましょう
カソード電圧は数Vですので、2KΩVRに20〜30KΩの分圧でちょうどいいかなと実験したところ、30KΩでピッタリでした
短波放送を聞くとき、フェージングでゆっくり動くSメーターを眺めるのはいいものです!
(自己満足もありますが、便利ですよ)
<Home>