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墓地の中を少し歩いてみることにした。

広大な墓地だけれどもどういうわけか全く陰鬱な雰囲気がない。

秋晴れのせいか、目のさめるような木々の色と地を埋め尽くす落ち葉のせいか。

いずれにせよ墓場という所にこれほどの親しみを覚えたことはない。

ちょっとそこまでお墓参り、とタクシーが着く。日常と非日常が交錯し、当たり前のものが揺らいでいく。

ビルが一瞬、墓石に見えた。

墓地の端にはシキミを売る店。少しすると店先の椅子におじいさんが座ってシキミを切りはじめた。

これも、変わることない日常の一コマなのだろう。

ゴミ収集リアカーさえも紅葉に映える。

谷中霊園と秋はすべての生活を呑みこんでいく。

墓地の中でも比較的にぎやかな一角が徳川慶喜公の墓所。

案内のおばさんまでいる。といっても、見るからに休日の趣味でやっているといった雰囲気だ.。

こんなところにも墓場と当たり前に付き合う人たちがいる。

墓所を柵越しに覗く。幾度の季節がこの場所に吸い込まれていくのだろう。

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