しばし静まり返る教室。
「えええええーーっ!?」
立ち上がって叫ぶアスカ。
「ちょっとアスカ落ち着きなさいよ」
やっぱりね〜という顔のミサト。
「これが落ち着いていられるの!? 公用って事は…」
「アスカそこまで!!」
シンジが止める。
「シンジ!?」
無表情にシンジが告げる。
「保安条項に引っかかるよ」
「でも!」
公用…ネルフに二人で行くって事は当然エヴァがらみかつ状況から見てやばい事態なわけで、ということは放課後の予定はキャンセルとなる公算が高いということになる。
(…なんでわかってくれないのよ!?)
頭に血が上ってうまく頭が回っていないアスカ。
久しぶりに爆発しそうである。
さすがに放っておけないと見たのかシンジはアスカの耳元に口を寄せ囁く。
「ぼそぼそ」
「!!」
何事かと見守る一同。
アスカは赤くなり、うつむき、上目遣いでシンジを見て、再びうつむき、もじもじとなにか言いたそうにして、そしておとなしく席に戻った。
クラス全員何がおこったのかわからずぽかんとアスカを見て次にシンジを見る。
素知らぬ顔でとぼけるシンジ。
後に何を言ったのかミサトに問いつめられたシンジは『最高機密です』の一言で逃げ切った。
どうアクションしていいかわからない一同であったが、トウジの一言で我に返る、
「ふぅ、しゃーないな。委員長、悪いが今日は弁当箱返せそうにないわ」
「ごめんアスカ。僕も同じだと思う」
「気、気にしないで」
「し、仕方ないわね」
そういって弁当を受け取ると二人は荷物をまとめだした。
「じゃ二人は本部へ行って。着いたら日向君から指示があると思うから」
「わかりました」
「あ、アスカ…」
思い出したようにシンジが言った。
「何?」
「たぶん誰かのを借りることになると思うんだ」
何を借りるかとは言わない。アスカにもわかっている。
「…それで?」
「アスカのを借りたいんだけど駄目かな?」
「………し、仕方ないわね。今回だけ特別よ」
実はちょっぴり嬉しいアスカ。
これで渚なんかに頼んでいたらどうしてくれようかと言うところだ。
「うん。ありがとう。トウジ行こう」
「おう」
そうやって二人は席を立つ。
「がんばれよ二人とも」
「がんばれよー!」
「無理しないでね!」
ケンスケが言うとクラス全員が応援を始めた。
「がんばってきなさい」
ミサトがそうしめると二人は教室を出た。