プラグスーツ姿の二人は静かに満月を見上げていた。
レイは何も言わなかった。
シンジも何も聞かなかった。
たぶんそれでいいのだろう。
「時間よ」
レイがエントリープラグに向かう。
シンジはレイが続きを言うより先に言った。
「じゃ、またね綾波」
「!?」
レイがはっと振り返る。
シンジは優しい微笑みを浮かべると繰り返した。
「じゃ、また会おうね綾波」
「…………………」
シンジはレイが消えるまで待っていた。
「………………………………………………………………………………………じゃ、また」
レイはそう言うとかすかに赤くなってうつむく。
それを優しく見守るシンジ。
しばらくして顔を上げたレイは微笑んでいた。
そのままゆっくりと消えていく。
シンジは最後まで見送っていた。
「………ありがとう」