購入当時は最先端を行っていたPowerMac8500/120も、気がつけば最近の入門機にスペックで負けるようになってきました。そろそろ買い換えを考えていたのですが、CPUを最新のPPC750カードに載せ換えれば最新鋭機に負けないようなので、「買い換えは止めて、今のマシンをとことんパワーアップしよう」と急に元気が出てきました。
で、手始めにCD-ROMドライブに目を付けました。併用しているPC-AT互換機の16倍速CD-ROMに比べると、4倍速のCD-ROMドライブの遅さが目立ってきたからです。
マックのHDDやCD-ROMは基本的に純正ドライブ以外はサポートしていません。Mac-OSのドライバがサポートしていないハードウェアを動かすためには、サードパーティー各社から出ているドライバソフトを使う必要があります。これらのソフトは安くても1万円前後します。また、純正CD-ROM以外では、緊急時にMac-OSのCD-ROMから直接起動するといったことが出来なくなる可能性があります。やはり純正がベストなのです。
最新機種のPowerMac8600/250や9600シリーズには24倍速のCD-ROMが内蔵されていますが、アップルからは純正ドライブユニットのみの単体販売はされていません。この純正ドライブユニットが実は松下寿製のCR-508であるという情報を入手し、さらに純正同様に使用している人をニフティのフォーラムで見て、購入を決意しました。
CR-508は、DOS/Vのパーツを扱っているショップで安価で販売されています。日本橋で\16,400でした。
交換は、あっけないほど簡単です。ただし、オーディオケーブルのコネクタの形状が違うので一工夫必要です。
なお、改造は各個人の責任において行って下さい。万が一本体が故障しても保証の対象外となります。
(1)内蔵純正CD-ROMの取り外し | |
コンセントからAC電源ケーブルを抜き、本体カバーを外したら、CD-ROMドライブがむき出しになります。ドライブ前面下部の爪を指で上に上げた状態で、手前にスライドさせると簡単に外れます。外れたら、ドライブ後面に接続されているコネクタ(3ケ)を引き抜いておきましょう。 | |
外したCD-ROMドライブを裏返します。写真の4カ所のネジを緩めて、プラスチックの取り付けブラケットを取り外して新しく交換するCD-ROMドライブに同じように取り付けておきます。 | |
(2)ジャンパーピンの設定 | |
CR-508の購入時はSCSI IDが0になっていました。このままでは、内蔵HDDのIDとぶつかってしまうので、開いているIDに設定し直します。(私の場合は取り外した純正CD-ROMのIDと同じ3に設定しました) また、ターミネーターがONになっていましたが、HDDのほうでターミネーターが設けてあるのでOFFにします。あとは購入時のままにしておきました。 | |
(3)オーディオケーブルの加工 | |
ドライブにオーディオケーブルは付属していません。また、純正で使われていたケーブルはコネクタの形状が合いません。 そこで、DOS/Vショップで売られているCD-ROM用のATAPIケーブル(4ピンタイプ)を購入して加工します。 なお、音楽CDを聞かない人は、ケーブルを接続しなくても問題ありません。 | |
白いほうのコネクタの赤い部分をカッターナイフで削り取ります。図のような順番で削れば簡単です。反対側の黒いコネクタは加工不要です。 ケーブルピン配列は偶然ピッタリでした。GNDケーブルが1本足りませんがLR共通なので問題ありません。 | |
(4)取り付け | |
本体の取り付けは、取り外しと逆の手順です。SCSIケーブルと電源ケーブルを奥までしっかり差し込みます。 オーディオケーブルは、先ほど加工した白い方をCD-ROMドライブに、黒い方をマザーボードに差し込みます。マザーボード側は向きに注意して差し込みます。 | |
(5)完成! | |
ケーブルを差し込んだら本体カバーを元通りかぶせて、完成です。まるで純正のように(実際、純正だってば)ぴったりで、違和感は全くありません。 |
さぁ、電源を入れてMacOSを起動して、CD-ROMドライブに何かCD-ROMを入れてみましょう。私の場合、見事に動きませんでした(爆)。ただし、サードパーティーのCD-ROMドライバ(CD-ROM ToolKIt)を試すとちゃんと動くので接続は問題なさそうです。
途方に暮れて、ニフティで質問したところ以下の結論に達しました。
ということで、Apple CD-ROM 5.3.1を使って無事使えるようになりました。またシステムCD-ROMからの起動もちゃんとできるので緊急時やOSのインストール時も安心です。
('98/3/17追記)PowerMac8100/80AVのユーザーの方で、CR-508に換装後、[C]キーを押してのCD-ROMからの起動ができなくなったという報告を頂きました。その方の場合、[C]キーのかわりに、[Command]+[Option]+[Shift]+[Delete]を同時に押す方法では起動できたようです。原因はよくわかりませんが、同様の症状で困っておられる方は一度試してみて下さい。
Apple CD-ROM5.3.1の件に関して、いろいろとメールで情報をいただきました。どうやら、5.3.1だけが、サードパーティーのCD-ROMをある程度サポートしていたというのが真相のようですね。つまり、CR-508に限らずサードパーティーのCD-ROMが(もちろん市販CD-ROMの全てがサポートされているわけではない)動作するようです。
('98/4/10追記)メールにて「CR-508とApple CD-ROM5.3.1ドライバの環境では音楽CDからオーディオデータを吸い出すことが出来ない、CD-ROM ToolKitドライバなら動く」との情報を頂きました。こちらでも確かにAdaptec Toastや、他のフリーウェアツールで試すとエラーが出てしまいます。ただしASTARTE CD-Copyなどのドライバに依存しないツールは正常に動作しました。Apple CD-ROMドライバを利用している一部のツールが使えないと言うのは「純正同等」を目指すという当初の目的からすると、ちょっと残念です。貴重な情報ありがとうございました。なお、CD-ROM ToolKitのドライバに変えるとエラーは出ませんでした。
メールを下さった方は、オンザフライ(HDDにイメージを作らず、直接CD-ROM → CD-Rにコピーする)の4倍速で音楽CDのバックアップをとることを目的とされていたのですが、CR-508の場合オーディオデータの吸い出し速度がDISC内周で3倍速(外周は5倍速)程度となるために内周部では読み込みが書き込みに追いつきません。ToastのRAMキャッシュを32MB程度に設定すれば、問題の内周部はなんとかしのげますが、RAMキャッシュに読み込む時間が結構かかり、なんのためのオンザフライなのかわかりませんね(イメージ用のHDDの空きが不要というメリットはありますが)。このあたりはCAV方式(回転数一定)ドライブの宿命で、純正仕様のCR-508と最新Apple CD-ROMドライバでも同じではないかと思ってます。というわけで、音楽CDのオンザフライ4倍速バックアップを目的とされている方にはCR-508はおすすめできません。
8倍速の純正CD-ROMドライブでは4倍速のオンザフライに成功しているとの情報も併せて頂きましたが、おそらくCLV方式(線速度一定)のドライブで、内周と外周の転送速度に差がないためだと思います。24倍速でCLVというドライブは存在しないので、こういった用途にはZone CLV方式やPartial CAV方式を採用したCD-ROMドライブ(パイオニア、ミツミ等)のほうが良いかもしれませんね。
私は音楽CDのバックアップの際、Toastのオンザフライではプリギャプ(曲間のポーズ)がオリジナルと変わってしまうので、MacCDRの「ディスクのバックアップ」でCD-R → CD-Rで行うか、CD-CopyでCR-508からイメージを出力してから焼いており、上記の問題に気がつきませんでした。もちろん普通のCD-ROMはオンザフライ4倍速で焼けます。
4倍速からのグレードアップなので、すぐ違いが体感できます。フォルダを開いてアイコンが表示されるスピードが全然違います。CD-ROMのゲームもアクセス待ち時間が減って快適です。
CR-508に限らず、24倍速として売られているドライブは全て、ディスク内周の速度は10倍速程度で、ディスク外周付近で初めて24倍速に達します。特にCR-508ではディスク回転速度が常に一定であるため、24倍速で使えるのは外周ぎりぎりの地点をアクセスした時に限られます(そのかわり回転数一定であるためランダムアクセスに強い)。CD-ROMは内周から記録されていくので、24倍速の真の実力を発揮する機会は少ないです。それでも、平均16倍速程度となるので、4倍速ドライブ等から比べると段違いに高速で、交換の意味はあると思います。一方12〜16倍速のドライブを使っている人は、あまり効果ないかもしれません。
ディスクの回転数はけた違いに高速になっているので、振動や騒音を心配していたのですが、独自の偏心補正バランサーのおかげか思ったより静かです。以前の4倍速のものに比べると少し回転音がするかな?といった程度なので、全く問題ありません。
('98/3/17追記)回転音がブーンとうるさいという方もおられるようです。ドライブに個体差があるのでしょうか?
完全に純正と同等というわけにはいきませんでしたが、実用上は全く問題ありません。この程度の価格でこれだけのパフォーマンスアップの効果が得られれば言うことありません。おすすめです。