CD-RWドライブ YAMAHA CRW4260tx-VK


更新情報


始めに

CD-Rドライブは1年ほど前からSONY CDU526Rを活用してきました。このドライブはDisc at onceに対応していないため、ごく限られた一部の特殊フォーマットのCD-ROMのバックアップ等が苦手で、これらの機能を重視する一部マニア(笑)の間では「これだけは買ってはいけない」とまで言われる代物でした。とは言え、日常のほとんどの用途(HDDデータのバックアップ等)では特に支障はないので、それなりに重宝してきました。しかし、書き込みが遅い(2倍速)、キャディ式は何かと面倒、冷却ファンがかなりうるさい、やっぱりDisk at onceモードも欲しい、などの不満がたまってついに買い換えてしまいました。CD-RWドライブにしたのは、「せっかく買い換えるのだから、ついでにCD-RW機能も」という単純な理由からです。

買い換えにあたって、メーカー別や機種別の細かいスペックの比較に関しては「CD-R Maniacs」という素晴らしいホームページがあるので大いに参考にさせてもらいました。CD-R(W)の購入を検討されている方は、この続きを読むより、CD-R Manicacsを先にご覧になったほうがいいと思います(^_^;)

Macに接続して利用するにもかかわらず、Windows用のパッケージを購入し、ライティングソフトも他メーカーのものを使うなど、今回の事例はあまりみなさんの参考にならないかもしれませんのであしからず。


値段は

私が購入したのはWindowsマシン用として販売されているタイプ(CRW4260tx-VK 定価90,000円)のものです。Mac/Win両用のパッケージとしてCRW4260tx-BB(ライティングソフトB's Recorder ProとMac/Win用SCSIケーブルを添付)という製品も存在しますが、定価が98,000円と高い上に、Mac関連のショップにしか置いてないため値引きが少ないというダブルパンチで、実売価格にすると15,000円以上の差が開いていまいます。MAC用ライティングソフトはCDU526Rに付属していたAplixのMacCDRや別途入手したAdaptec Toast(どちらも最新バージョンはCRW4260対応です)を既に所有しているので安いWindowsマシン用を選択しました。

私が購入した'98/2末時点で日本橋での最低価格はP.C.Sの68,000円(税込み!)でした。ただしその店は在庫切れで、次回入荷日未定とのことだったので、パルテックで69,800円(税抜き)で購入しました。

余談ですが、最近のCD-Rメディアの価格低下にはびっくりさせられます。国産一流メーカー品でも1枚あたり200円以下で買えるんですから。これなら書き換えできなくてもあまり苦になりませんね。


接続に関して

CRW4260tx-VKのSCSIコネクタは最近多くなってきたピンタイプのハーフピッチ50ピンタイプです、同じハーフピッチでも、昔からあるハーフピッチ50ピンタイプとは外観は似ていますが、ピン形状が全然違うので注意が必要です。「D-SUB25ピンコネクタ(MAC側)←→ピンタイプハーフピッチ50」というタイプのケーブルは「SCSIケーブル(MAC-ZIPドライブ用)」などの名称で発売されています。


動作音は静か

CDU526Rは冷却ファンの音が非常にうるさかったのですが、CRW4260は聞こえないぐらい静かです。書き込み時等も特に耳障りな音はしません。


トレイに関して

YAMAHAの先代モデルのCDR400txシリーズはトレイの品位に問題がありユーザーに不評だったという話を何度かWEB上で目にしたことがあります。CRW4260のプレスリリースでは「安定性を高めた新開発のメディアローディング装置などの採用」などと記載されていることから、何らかの対策が施されているのでしょうか、特に不安定な部分はないというか、ごく普通のCD-ROMドライブのトレイと同じという感じです。ただ、トレイを出すときに、停止寸前でスローダウンして停止するのは芸が細かくていいのですが、減速用のセンサーとトレイを手で押し込む時の検出センサーが同じためか、トレイを手で押し込む際は2センチぐらいも押し込まないとローディングを開始してくれません。今までのドライブの感覚で「ちょん!」と押し込んで手を放すと、少し押し込まれた状態で止まってるという悲しい事態になります。反発して戻ってくるわけでもないというその投げやりな態度が気に入りません(笑)。まぁ手で押し込むという乱暴なことをせずにOPEN/CLOSEスイッチを使えば問題ないのですが...。


4倍速書き込みは使えるか?

「安定して焼くためには、書き込み速度を落としましょう」これはCD-Rの書き込み失敗に関するトラブル相談やライティングソフトの説明書等でよく見るアドバイスです。もちろん正論です。遅いHDDやCPUのマシンを利用している人には唯一の解決方法でしょう。でも、もし十分な環境が整っているにもかかわらず2倍速や1倍速でしか安定して焼けないのでは、何のために高価な4倍速ドライブにしたかかわかりません。というわけで、そのあたりの実力を検証するために購入以来全て4倍速モードで書き込みを行っています。現段階でApple HFS,ISO9660,プレイステーション,音楽CDといった様々なフォーマットで10数枚の書き込みを行ってきましたが、失敗は皆無です。使用しているメディアは全てソニー製(CD-R Maniacsの情報によると太陽誘電のOEMとのこと)です。今後もし失敗したら直ちに報告します。

で、当然ながら4倍速はやっぱり速いですね。全容量焼いても20分かからないというのは快適です。書き込み中は他の作業が一切できないので、速度は重要な要素だと思います。


ファームウェアのバージョンアップ

購入時のファームウェア(内部制御ソフトウェア)のバージョンは1.0eでした。梱包箱の上面のシリアルナンバーのところにもファームウェアを表す大きなスタンプが押されています。私の購入したものはDのスタンプの横に後からEのスタンプが押されていました。恐らく出荷前にバージョンがあがったのでしょう。その後バージョンは1.0f(1998.2.10付)にあがっています。1.0fでは一部車載CDプレーヤーで音楽CDが正常に再生できない場合があるという不具合を解消したとのことです。ファームウェアのバージョンアップ作業は簡単で、Macintosh及びWindows用のそれぞれ個別にアップデートユーティリティーと最新ファームウェアがYAMAHAのサイトで提供されています。用意されたユーティリティーで特に問題なくバージョンアップすることができました。


MacCDRかToastか?

どちらのライティングソフトも、CRW4260に付属しているわけではないので、CRW4260の製品の評価とは全く関係ありませんが、ついでに書いておきます。(なお、ロジテック製LCW-RW848Mは使用ドライブがCRW4260でライティングソフトにMacCDRとCDR-FSが付属しているようです)

MacCDRは「CD-R Manicacs」でライティングソフトのベストチョイスに選ばれたWinCDRのMac版で、機能も同等だと思います。最新バージョンの3.10aの売りは、簡単な操作でCDをまるごとCD-Rにコピーする「CDのバックアップ」機能がDisc At Once書き込みに対応したことです。これにより、ほとんどの種類のフォーマットのディスクの忠実な複製(バックアップ元とトラックのレイアウトが同じ)が可能になりました。単純に複製をする場合はこの「CDのバックアップ」機能がとにかく簡単です。一方、ハードディスクのファイルのバックアップ等でマック標準のHFSフォーマットで焼く場合は、焼きたいサイズでパーテーションを切ったボリュームをあらかじめ用意して、そこにファイルを置いておかないといけないので手間がかかります(あくまでもパーテーションで区切られたドライブを丸ごと焼くので、「このファイル(フォルダ)だけを焼く」ということが出来ません)また、オリジナルベスト版といった音楽CDを作ろうとして、音楽CDから吸い出したAIFFファイルを好きな順番で配置する際、合計時間が表示されないので、あと何曲入るかというのをいちいち計算しなくてはなりません。

Toast(Ver3.5.4)は、丸ごとコピーの機能では劣りますが(ただし、CD-Copy2.0.1とToastとを組み合わせて使用すればOK)、HFSフォーマットに関する操作では断然有利です。ファイル毎、フォルダ毎の書き込みもできますし、仮想ボリュームを作成できるので、いちいちパーテーションを切り直す必要もありません。起動ディスク(Bootable CD)も作成できます。また、音楽データの組み合わせ時の総時間もリアルタイムで表示されます。操作性等や機能等、全体的に見てもMacに最適化してあるという印象をうけます。

両者とも一長一短があり、結局両方使いわけるのがいいのかもしれません。なお、CRW4260tx-BBに付属のB's Recorder Proは所有していないのでなんとも言えません。

('98/3/30追加)MacCDR3.10aですが、プリギャップの自動算出が正確に行われないときがあるようです。特定の音楽CDで、プリギャップ2分などという異常な値を平気で表示します。おかげで、バックアップしたCD-R側では、途中で曲が終わったりする結果となります。なお、この症状はCRW4260tx-VK標準添付のWindows版WinCDR3.10bでも発生しているようで、メーカー(Aplix)で対策バージョンの作成が行われているようです。(なお、MacCDRは別途購入したものであり、この問題はCRW4260のドライブ自体の評価とは全く関係ありませんのであしからず)

現在、音楽CDのバックアップの際はAudioデータの吸い出しにCD-Copy2.0.1を用い、書き込みにMacCDRまたはToast3.5.4 を使うという方法で対処しています。(Toast単体だけでも音楽CDのバックアップはできますが、プリギャップをオリジナルCDと正確にあわせることができません)

('98/5/14追加)MacCDR3.10cへの無償アップデーターがリリースされました。前回指摘した、音楽CDの曲の長さを間違えて検出してしまう不具合が修正されました。これで安心して使えます。

('98/5/20追加)MacCDR3.10dへの無償アップデーターがリリースされました。YAMAHA製CD-RWドライブでの消去機能の不具合の修正や、YAMAHA製CD-R/RWドライブでのオンザフライ書き込みの不具合を修正したとあります。


CD-Rメディアとの相性

購入以来使用したメディアは太陽誘電製とソニー製(中身は太陽誘電のOEM)だけなので、実質1社のメディアしか使用していないことになります。使用量は両者あわせて50枚ほどですが、記録エラーは経験していません。こうやって実績を積み重ねると、他社のメディアをテストする勇気がなくなってしまい、ついつい同じメーカーを選んでしまいます。

そうこうするうちに、日経バイトの8月号に「CD-Rメディアとドライブの相性」という実験記事が掲載されました。主なCD-Rドライブ4製品とメディア9製品の総当たり書き込みテストという素晴らしい内容です。CRW4260もテスト機種に選ばれています。書き込んだメディアはメディア検査装置で検査して、通常気が付かないレベルのエラー(ECCで訂正できる範囲のエラー)もチェックしていました。どの組み合わせでも、訂正不能なエラーは発生しなかったようですが、軽微なエラーは特定の組み合わせで検出されていました。

実験結果はエラー発生率を縦軸にとったグラフで示されているのですが、最初ざっと見たときCRW4260だけがどのグラフも飛び抜けて悪い(笑)ので、頭がクラクラしました。しかしよく注釈を読むと、グラフはエラーが検出された組み合わせのみの掲載であることがわかりました。CRW4260に関してはMr.DATA(台湾CMC製)のメディアとの組み合わせのみでエラーが検出され、他の8社のメディアとの組み合わせでは全くエラーが検出されなかったということなのですね。一安心。その唯一エラーの発生したMr.DATAとの相性が他社のドライブに比べて目立って悪かっただけということです。

Mr.DATAは他社のドライブ(ティアック・プレクスター・リコー)との組み合わせでも全てエラーが検出されており、国産メディアに比べて価格は安いのですが、信頼性もそれなりということでしょうか。なお、ヤマハ以外のドライブではMr.DATA以外の国内メディアとの組み合わせでも訂正可能な軽微なエラーが1〜3組検出されていました。それを考えるとMr.DATA以外はエラーが皆無のCRW4260は優秀だと言っちゃっていいんですか?(いいんです)(笑)


総評

今のところ4倍速での書き込み失敗もありませんし、特殊なフォーマットのディスクの複製も完璧です。よって欠点といっても「トレイの態度が悪い(笑)」といった、しょうもない突っ込みしかできません。特に何も言うことがないというのは、いいことだとも言えます。また、CD-RWディスクはまだ使っていません。もう少し使い込んで、各メーカーのメディアとの相性とか色々見えてきたらまた更新していきます。


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