KUMA'S iMPRESSIONS
EIZO FlexScan T761

 外観写真
更新情報

はじめに
 ディスプレイというものはPC本体よりも性能面での寿命が長いし、毎日目にするものだから多少無理をしてでもいい物を買って長く使う。…というのが持論でした。しかしいくら長く使うと言っても私の場合いささか無理をし過ぎたようです。
 その昔、17インチモニタがまだ10万円以上した時代、まだNANAO神話が健在だったころ、評価も高いが値段もびっくりするほど高かったNANAO製の17インチモニタがありました。その名をT560iJと言い、定価はなんと39万8千円でした。私はなにを血迷ったかそのモニタをボーナスをはたいて買ったのです。実際、評判に違わぬ素晴らしい性能で当時は「10年は使おう」と、堅く決意したものです。しかし毎日使っているせいか5年もしたあたりからフォーカスが甘くなり、輝度の落ち込みも目立ってきました。でもそんなアラは見て見ぬフリして「高かったんだ!長く使うんだ!」と念仏のように唱えながら、だましだまし使ってきました。最近では、もはや実売3万円程度の17インチモニタにも完敗してるのに薄々気がついてはいました。フォーカスのボケも着実に進行し、「プ」と「ブ」の違いさえも見分けられなくなってしまいました。一時は三十路にしてもう老眼が始まったのかとあせりましたよ(笑)。
 結局10年は使えなかったけど、もうここらで買い換えてもいいんじゃないかなと自分を納得させて、一回り大きな19インチモニタに買い換えることにしました。いつのまにか、19インチモニタも実売5〜7万円と手頃な価格帯に降りてきてるのですね。これならそれほど気合いをいれずに買えそうです。もう背伸びはしません(笑)。 

選んだ理由
 私の場合、Windows機とMacintoshの2台のPCを用途の応じて使い分けているで、2系統入力は必須です。ここで三菱は脱落です。さらに入力切り替えはフロント部の専用スイッチでワンアクションで切り替えられることが重要です。ここで飯山も脱落しました。残るはNANAO(EIZO)、SONY、TOTOKUですが、TOTOKUは高い、SONYは前面のコーティングに一抹の不安があり(剥離することがあるとの書き込みをネットで複数見かけた)結局NANAOに決めました。まだNANAO信仰が抜け切れていないせいもあるかもしれません。日本橋の現金問屋では6万円台前半で売られていましたが、初期不良時などの対応を考えて大手量販店のJ&Pで値切って6万6000円で買いました(2000年12月購入)。

外観
 独特のデザインの筐体は大柄に見えますが、奥行きはそれほどでもなくて今までの17インチモニタより1cmほど大きいだけです。奥行き70cmの標準的な事務机の上に置いていますが窮屈になった感じはしません。管面は完全な平面ですが、真ん中が凹んで見えるといった違和感もなく、1日で慣れました。今ではフラット以外のモニタに違和感を感じるようになってしまいました。

 背面にはD-SUBとBNCの2系統の入力端子が並びます。また本機はUSBハブ機能も内蔵しているので、アップストリーム1ポート/ダウンストリーム3ポート分のUSB端子が用意されています。他にメンテナンスポート(オプション品を接続)と複数のディスプレイを直列接続する時のための終端抵抗切り替えスイッチが配されています。

背面インターフェース部
背面の端子部。D-SUBとBNCの2系統入力。USBポートも3つ装備
 
前面USBポート
前面の格納式USB端子

 本機に関する雑誌の記事に、「USBポートはフロントにも装備」と書かれていて、「またウソ書いて!そんなものどこにもないぞ」などと思いつつ念のためよ〜く調べると、なにやら底面につまみ状のものがあります、それををひっぱると、USBポートが「にょきっ」と顔を出しました。わかりやすく言うと、お菓子のチョコボールの箱のフタ式構造ですね(笑)。こんなところに隠れているなんて、あやうく活用せずに終わるところでした。マニュアルをよく読まないとこういうことになります。この前面USB端子はデジカメにケーブル直結して転送するのに重宝しそうです。

付属品
 本体以外に付属しているのは、電源ケーブルとVGAケーブルがそれぞれ1本、Windows/Macintoshのドライバとユーティリティーが収録されたフロッピーディスクが1枚、それと取り扱い説明書です。付属品だけでとりあえず接続して使い始めることができますが、ユーティリティーソフトはUSBポート経由でコントロールするので同ソフトを使いたい場合は汎用のUSBケーブルを別途用意しておく必用があります。

 
十字ボタン 入力切り替え・オートサイジングボタン
十字ボタンの操作性はイマイチ? 入力切り替えボタンとオートサイジングボタン
スクリーンマネージャ画面
インポーズされる調整画面

ボタンによる各種調整機能
 表示位置やサイズといった各種調整は前面のボタンを使ったスクリーンマネージャで行う方法と、パソコンのメニュー画面からUSB経由でコントロールして調整する方法の2通りあります。
 前面の十字ボタンによる操作性はいいとは言えないところですが、そう頻繁にさわる部分でもないので許容範囲でしょうか。また左側には2系統の入力切り替えボタンと画面のサイズと位置を自動的に設定してくれるオートサイジングボタンが並びます。ボタンは大きくて押しやすいのですが、似たような形状のボタンで文字も目立たないので視認性がいいとは言えません。
 オートサイジングボタンによる自動位置・サイズあわせ機能は、完璧とは言えませんがなかなか便利な機能です。
 調整項目は多岐にわたり、設置する方角によって生じる地磁気の影響による色むら補正や部分的に調整可能な色ずれ補正などかなり追い込んだ調整が可能です。詳しくは下表をご覧ください。

メインメニュー サブメニュー 調整/設定内容
コントラスト・ブライトネス コントラスト・明るさ
サイズ 水平/垂直サイズ
ポジション 水平/垂直位置
ピクチャー調整 サイドピン歪み 弓形・糸巻き歪み
四辺形歪み 平行四辺形・台形歪み
傾き 傾き
ユニフォミティ 色むらを補正する
コンバージェンス 色ずれを補正する
モアレ補正 モアレを補正する
ファインコントラスト テキスト/静止画/ムービーに合った画像に切り替える
信号フィルタ1 画像に見える影を補正する
信号フィルタ2 2重3重に見える画像の重なりを補正する
カラー調整 「スタンダード」
色温度 色温度を選択する
カラー補正 グラフィックスボードに影響されない色や明るさにする
「カスタム」 色(赤・緑・青)をそれぞれ調整する
その他 PowerManager 節電設定(コンピュータの節電機能を使う方法)
オフタイマー 節電設定(ディスプレイのタイマー機能を使う方法)
消磁 消磁する
ボタンセッティング オートサイジングボタンで動作する機能を割り当てる
ビープ音 ビープ音の有無を設定する
メニューポジション ScreenManager画面位置を移動する
言語選択 ScreenManagerの言語を設定する
入力選択 優先的に表示される信号を選択する(2系統入力時)
リセット 初期設定に戻す


 DVDで映画等を鑑賞する場合には派手な色調とコントラストで、ワープロなどの事務作業を行うときは目が疲れないように落ち着いた明るさでというように切り替えが可能は「ファインコントラスト」機能は結構重宝しますがメニューの階層の下の方にあるので切り替えが面倒です。そこで「ボタンセッティング」を切り替えると、オートサイジングボタンに「ファインコントラスト」機能を割り当てることが可能です。オートサイジング機能がボタンから使えなくなりますが、パソコンのメニューから簡単にオートサイジング機能は実行可能なので特に困ることはないと思います。できればもう一つ専用ボタンを用意してほしかったですが…。

ユーティリティーソフトウェアによる調整機能
タスクトレイアイコン 付属のフロッピーよりユーティリティーソフトウェアをインストールすると、起動時にタスクトレイにアイコンが追加されます。左クリックでコントラスト・ブライトネスの調整、右クリックでオートサイジングや2系統入力の切り替えが行えます。オートサイジングと2系統入力の切り替えはホットキーの設定も可能で、キーボードの自分の好みキーを割り当てておけばキーボードから手を離すことなくダイレクトに2系統入力の切り替えやオートサイジングを実行することが可能です。

 またディスプレイのプロパティには「EIZO」タブが追加され、ここから全ての調整機能をパソコン上からコントロールすることが可能となります。(USBケーブル経由でコントロールされます)

EIZOタブ

歪み等の調整には画面に表示されたアイコンをマウスでドラッグして調整する「アイコン」と、各項目のスライドバーを動かして調整する「スライドバー」の2通りが用意されています。以下に調整画面例を示しますね。
▼「アイコン」メニューによる調整画面
アイコン調整画面 右のような格子模様とアイコンが画面いっぱいに配置されるので、直接マウスでアイコン付近をマウスでドラッグすると、リアルタイムに画面もぐりぐりと動いて調整できます。直感的に素早く調整できますが、マウスの動きが悪いと思うように微調整できないこともあります。
 
▼スライドバーメニューによる調整画面
スライドバー調整画面 各項目のスライドバーをマウスでドラッグするかキーボードの←→キーで調整します。細かい操作はこちらのほうが得意かも。
 
ユニフォミティ調整画面 ユニフォミティ調整画面では設置した方角に合わせて調整することにより、画面隅の色むら・輝度むらを均一にすることが可能です。


文句なしの画質
 とにかくシャープな画質に驚きました。文字のラインがやたらと細く感じます(ビデオカードはMatrox Millennium G450DH使用)。ドットのギザギザまでくっきりよく見えます。1600×1200でも十分実用になりますが、文字が小さくなりすぎるので、常用するなら1280×1024がちょうどいい感じです。ただし1280×1024は4:3ではない変則的な解像度なので、正しい縦横比で表示させるためには左右1cmずつぐらい余白を設ける必用があるので、なんだかもったいない感じです(T761に限らず全ての4:3モニタにあてはまることです)ここは1408×1024が設定できるカノープスのビデオカードが欲しくなります。現在は妥協して1280×960モードで使用しています。2001.1.23追記:Millennium G450でも純正ユーティリティーの Matrox Technical Support Tweak Utility で縦・横とも任意の解像度設定を追加できました。とりあえず 4:3 の 1400×1050 に設定してみましたが、19インチだとこのくらいの解像度がちょうどいい感じです。)
 歪み等は出荷状態でほぼ完璧に調整されていました。調整不可能ないやらしい歪みもなくほぼ完璧に調整することができました。また、画面隅の余白が全くないぐらいまでぎりぎりまで表示サイズを大きくしても色むらもなくフォーカスの劣化も目立ちません。
 ディスプレイはまだまだ個体差が大きいと言われます。この製品全てがこのような最高のレベルであるとは言えませんが、前回のT560iJに続いて「当たり」を引き当てたというのは、NANAOの製品の平均レベルが高いのかもしれません(単に運がいいのかもしれませんが…)。いずれにせよ、私的にはNANAO神話健在です。


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