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「ねえ。ナルが手編みのマフラーとかもらったら、どうすると思う?」 「はぁ?!」 「・・・・・・・どうしたのよ、麻衣・・・??」 唐突な質問、しかもこれまで話していた話しとは全然関係無いことに、ぼーさんと綾子は「何を言い出すんだ?!」という顔で彼女を見た。 「えっ。いや・・・。この前のバレンタインの時、真砂子とナルが手編みの物をもらったらどうする?っていう話しをしてたの」 「ぶはっ・・・・・」 「うわっ。ぼーさんっ!!」 「ちょっとぼーず、汚いじゃない。いきなり吹き出さないでくれるっ」 麻衣の言葉にぼーさんは思わず飲みかけていたお茶を吹き出してしまった。 「しょうがないじゃないか。だってあのナルに手編みだぜ?思わず想像してしまった自分の想像力が嫌になる・・・」 「たしかにナルに手編みは怖いわね・・・。いろんな意味で」 2人の真剣な言葉に麻衣は無邪気に言う。 「そうそう。あたしも真砂子と話してたときはそう思ったの。でもさ、想像すると怖いけど、なんとなく見てみたくない?ナルが手編みのマフラーしてるの。それで2人に手伝ってもらおうかなってvvv」 無邪気な、あまりにも無邪気な言葉故に2人は思わず机につっぷつしそうになる。 (・・・・・・・・ちょっと、何よこの穏やかじゃない話しは?) (おいおい、マジかよ・・・。いったい麻衣は俺達に何をさせる気なんだ?) (俺達?!あたしはイヤよっ。怖いもの見たさはあるけど、でもリスクが大きすぎる事には乗らないことにしてるの) (毒を食らわば皿までっていうだろ?なあ、俺を一人にしないでくれよ〜) 「なに見つめあってるの?」 2人の顔をのぞきこんできた麻衣に綾子とぼーさんははじかれたように顔を上げ、ひきつった笑みを浮かべた。 「い・・・、いやなにも」 「え〜〜。何もないってことはないデショ?」 挙動不審な態度に疑問を投げかける彼女に綾子は深いため息をついた。 「ああ、もう。しょうがないから、手伝ってあげるわよ。もちろんそこのぼーずも一緒に」 「綾子っ」 ぼーさんの抗議の声はしっかり無視して 「・・・・で、何をすればいいの?」 「ありがとう!!綾子、ぼーさんvvあのね、実は・・・・」 「ああ、なんでこんなことになったんだ?!いったい俺がなにをしたって言うんだよ・・・」 「それはこっちのセリフ!ほら、さっさとノックしちゃいなさい」 ぼーさん、綾子は仲良く2人ならんで所長室の扉の前にいた。 彼らの使命はただ一つ、この中でもくもくと仕事をしているこのオフィスの所長を外に連れ出すこと。ただそれだけだった。 しかし仕事第一のナルは、仕事を中断されることをなによりも嫌う。 そんな彼を外に連れ出すこと。それはすなわち彼の皮肉やブリザードを一身に浴びることを意味するのだった。 (がんばれ、俺) ぼーさんは可愛い娘のために覚悟を決め、扉を叩いた。 「・・・・・・麻衣?お茶ならもう少し後にしてくれと・・・」 すぐに中から返事が返ってきた。 「いや、麻衣じゃなくて俺、滝川だ。悪いがちょっと出てきてくれないか?」 「仕事中です」 ナルのにべも無い言葉にぼーさんは隣にいる綾子に助けを求める視線を向けた。 「どうするよ・・・。こんなんじゃ、とてもナルを外に連れ出せないぜ・・・」 「頭を使いなさいよ」 「使えって言ったってなぁ・・・」 なんとも情けないぼーさんに綾子はこれではらちがあかないと思ったのであろう、今度は彼女が果敢にもナルに挑戦した。 「ナル、麻衣が大変なのよ!出てこないと知らないわよ?」 その言葉の数秒後、麻衣の名が効いたのだろうか、ナルが所長室の扉を開け出てきた。 「麻衣が大変とは?」 厳しい視線で問う。 「このぼーずが麻衣を怒らせて・・・。それであの子外に出て行っちゃったのよ。今ならまだそんなに遠くに行ってないと思うの。だから・・」 「連れ戻して来いと、そうおっしゃりたいのでしょう?ですが、どして僕がそんなことをしてあげないといけないのでしょうか」 冷ややかな言葉と視線に、しかし綾子は怯まない。 「麻衣の恋人でしょう。あの子コートも着ないで出て行ったのよ。風邪をひかれると困るでしょ?本当ならこっちが行くべきなんでしょうけど、麻衣は怒って素直に戻ってきてくれないと思うの」 「・・・・・・・・・・・・しょうがないですね」 いかにも不本意だという顔で、それでもナルは足早にオフィスの外へと向かった。 「あー。ナル!」 外で彼を待っていた麻衣は、こちらにやってくるナルの姿を見つけて嬉しそうににっこりと笑った。 可愛らしい笑顔にナルは訝しげな表情をし、 「怒っていたんじゃないのか?」 「??なんのこと?」 いかにも不思議そうに首を傾げる麻衣に、ナルは自分がはめられたことを知る。 「ナル、コートも着てないじゃんか。風邪ひくよ」 「そういう麻衣こそ、コートも着ないで何をやっているんだ」 えへへ。と少し恥ずかしそうにはにかみながら麻衣はナルにかがんでと頼んだ。 「どうして僕が・・・・」 「いいから、すぐ終わるし。ナルだって早くオフィスに戻りたいでしょ?」 仕方なく少しかがんだナルに背伸びをして、麻衣は彼の首に隠し持っていたマフラーをふんわりと掛けた。 「これは・・・・?」 「プレゼント!だってナル、コートも着ないで寒そうじゃん」 真っ黒で暖かいそのマフラーをしばらく見つめ、次に頬を赤く染め自分の反応をうかがっている麻衣を見た。 「もしかして、これは手編みですか?」 「・・・・・・・・・・そうだよ。本当は自分のために作ってたの。でも長くなっ ちゃったから、ナルにあげるのっ」 へたくそな嘘にナルは綺麗な形をした唇をほんの少し和らげた。 「こんなまどろっこしいことをしなくても、いいんじゃないんですか?」 ぼーさん、綾子を使い自分を寒い外に連れ出し、マフラーをせざるをえない状況にしなくても。 「だって、ナルに手編みのマフラーだよ。あたしだって最初は怖かったもん。でもバレンタインのとき友達がカレシにマフラーあげて、すごく喜んでくれたって言うのを聞くと、ナルも喜ぶかな・・・って思って。でもでも、ナルは普通にマフラーあげるって言ってもしないでしょ・・?」 だから・・・・。 必死にいい訳をしようとする唇をナルは己のそれで塞いだ。 「ん・・・っ」 深く甘い口づけを交わした後、ナルは自分の胸に体を預ける麻衣にそっと呟いた。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ささやかれた言葉に麻衣は、にっこりと微笑みナルの体を抱きしめた。 一方、ナルを外に連れ出すことに成功した2人はというと・・・ ぐったりと、オフィスのソファにもたれかかっていた。 「ナルは無事に外に連れ出せたが、いつ俺が麻衣を怒らせたんだよ・・」 「しょうがないでしょ。ああでも言わないとナルは外に出て行かないんだし」 「しかしこの嘘がばれたらどうなるんだろうな・・・・・」 「言わないで。考えないようにしているんだから」 この後、ぼーさんと綾子がどうなったのかは誰も知らない・・・・。 to be contenued....? |
chessさまからのコメントvナルには苦労させられました(><) 彼がもう全然動かなくて・・・・。 がんばって動かしたんですけど・・・・、ああ、GHファンにケンカを売っているよう なものを作ってしまいごめんなさいです。 (頂いたメールから抜粋vv←管理人注) |
管理人の御礼 管理人のへたれss「バレンタイン前哨戦」から妄想を飛ばしてくださいましたvv とても可愛いお話をありがとうございます!! タイトルは「付けてください」ということでしたので、ない知恵を絞りました(滅) イメージ壊してたらごめんなさい(涙) また何かあったらおねーさんに下さいね(笑)お待ちしてますvv |
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