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櫃の外で。 ヨーク伯爵家、ロンドン邸。 上流階級のマンション(念のため、日本語の「マンション」とは意味が違う)の集まる超高級住宅地の一角を占めるそこは、ビクトリア時代に大改修されて以来ほとんど手が入れられていないため、大英帝国の佇まいを色濃く残している。ただ、十分な手入れと最新の必要設備は目立たないように導入されているから、生活に不便をきたすようなことはまずない。 前置きが長くなったが、そこに、館の主は四人の友人に加えて遠来の客を招いていた。もうひとり、婚約者もいたが、彼女は既に客のうちにも入らないので数えないことにする。 「久しぶりだね!オリヴァー、スクールを卒業して以来じゃないか?」 「おいこらロバート、主人より先に挨拶するな」 ブラウンの髪の青年が苦笑混じりに悪友を押しのけて、遠路はるばるやってきたばかりの漆黒の青年に目をやった。 「私も直接会うのは五年ぶりか、オリヴァー」 「ユージーンの葬儀以来です、アンドリュー」 「そうか………もうそんなになるのか………」 穏やかな、と評されるブラウンの瞳に、一瞬影が落ちる。無表情の白背機を見直し、彼は表情と口調を切り替えた。 「来てくれて嬉しいよ、ありがとう」 にこりと笑った青年に、闇色の瞳が向けられる。その、秀麗な唇に皮肉な笑みが浮かんだ。 「航空券を頂きましたので、来ないわけにはいかないでしょう」 いきなり国際宅配で航空券が送りつけられてきたのだ。断れる筋ならともかく、そうでない場合拒否権はない。 ───最近この手口で呼び出されるのが多いのが気に障るが、最初に考案した上司に今更クレームをつけても意味がない。 「アンドリュー、そんな無茶苦茶をしたのか、きみは」 灰色の瞳に穏やかな苦笑を浮かべて、一人が立ち上がる。 「久しぶりだね、彼の強引さに振り回されるのには同情するよ、オリヴァー。私もスクール以来だね、おぼえている?」 「ええ、ウィリアム」 「あいかわらずの天才ぶりだな。当然僕のことも覚えてくれているだろうね?」 「僕でなくても、あなたのことを忘れられた同窓生がいるとは思えませんが。クリスティアン」 緑がかった青い瞳をきらめかせた青年に、ナルは苦笑して答えた。スクール時代から、下級生の間でも彼の「個性的」すぎる言動はきわめて有名だったのだ。彼でなくても忘れられないだろう。 「オックスフォードを抜けてデザイン業界に転身したと聞きましたが」 「君にまで伝わってるのか」 「いろいろと情報は来るものですから」 笑ったクリスティアンに、きわめて平坦なテノールが応える。 そのとき、部屋の扉が遠慮がちにノックされた。 「入れ」 アンドリューの低い声が命じて、重厚な扉が開かれる。 「旦那様。お茶をおもちしました」 「ああ、ありがとう。…………立たせたままで悪かったね、オリヴァー。そこに座ってくれ。皆も適当に座って」 主人らしく客を座らせると、彫刻の美しい年代物のワゴンに茶器を並べたメイドを振り返る。 「ジェイン。お客様にお茶をお配りしてくれ。ああ、この彼にはミルクも砂糖もいらないよ。スクール時代と思考が変わっていなければ、だが」 「覚えて頂いていて光栄です、アンドリュー」 社交辞令に限りなく近く、頭を下げた美貌の青年に、アンドリューは笑った。 「だってそうだろう?普通は、11や12の子どもは砂糖やミルクをたっぷり入れたがるものだ。そうでなくても砂糖は必須だろう?ところが君はいらないときてる。片割れはたっぷり入れていたのに」 「あの頃は、あれが唯一の識別方法だったね」 くすくすと笑ったウィリアムは、ちょうど自分の前に慎重にカップをおいたメイドに笑みを向ける。 「ありがとう」 温厚な声にぺこりと頭を下げて、彼女は次に回った。こんなにお客が集まるのは久しぶりで、緊張して手が震えそうになっている。 「それにしても!当時もまれにみる美少年ぶりだったが、君の美貌ときたら一段と凄みを増したね」 「…………あなたに言われても、どうしようもありませんが」 「いや、そうじゃないよ。ジュリアが感心していたから、どんなものかと期待してたんだ。期待以上で驚いたよ」 「ジュリア嬢がどうかしたのか?」 「どうもしないさ、ロバート。この前の遺産相続のごたごたでね。日本にもうちの別邸があったものだから調べたら、彼向きの事件が起こったから依頼をしたんだ。私は動けなかったから、ジュリアに行ってもらったわけだ」 「………本当に同情するよオリヴァー。彼の強引さと来たら……」 クリスティアンが言ったが、くすくす笑いながら、ではまったく説得力はない。 「それにしてもなんでまたジュリア嬢を?秘書で足りなかったのか?」 「いろいろね。無茶かと思ったが、収穫もあったからいいんだよ」 くすくす笑ったアンドリューに、ウィリアムは溜息をつく。 「アンドリュー。本当に君は……。私はジュリア嬢にも同情するよ」 「ああ、ジュリアに同情は要らない。彼女は今幸せいっぱいのはずだからね」 くすりと笑ったアンドリューに、ちょうどお茶を配り終わったジェインが、あの、と遠慮がちに声をかける。 「旦那様」 「………ああ。なにかあったかい?」 「ジュリア様からご伝言をお預かりしてきました」 「なんて言っていた?」 「もうすぐ行くから楽しみに待っていて、というご伝言です。……………あの。あちらのお客様は大変こまっていらっしゃいましたが………お止めした方がよかったでしょうか…………」 「ああ、止めなくていいよ。楽しみにしているとジュリアに伝えてくれ」 「かしこまりました、旦那様。では、失礼いたします」 あらためて深々と一礼し、ワゴンを押して出て行ったメイドを見送ってから、ナルは鋭い瞳をアンドリューに向けた。 「アンドリュー。あれで遊ぶのはやめてくださいと事前に申し上げたはずですが?」 「遊んではいないよ、オリヴァー、もちろん。ただ、ジュリアが趣味にいそしんでいるだけだ」 「ジュリア嬢の趣味?………ってあれか?あちらのお客って、ジュリア嬢のお客だろう?」 「いや、正確にはうちのお客様だ。彼の連れだからね」 笑ったアンドリューは、ナルの強い視線の制止を無視して爆弾を落とした。 「オリヴァーの恋人だよ。一緒に来てもらった」 穏やかな茶褐色の瞳。 友人たちの間に落ちた沈黙と困惑した瞳、それに、剣呑な闇色の瞳を、面白そうに見渡す。 「…………………オリヴァーの、恋人?恋人って恋人か?」 「馬鹿になったような言い方はやめたほうがいいよ、ロバート」 「オリヴァー。日本で、恋人を作っていたのか?」 クリスティアンの問いに、ナルは特大の溜息をついた。 「誤解を招くような言い方はやめてください、クリスティアン。日本には研究のためにいるのであって、他の目的はありません。彼女はオフィスの研究員です。────当然、仕事とプライベートは関係ない」 「つまりプライベートでは恋人なんだろう?いいじゃないか、今回は完全にプライベートで来ているんだからそれで」 「アンドリュー…………」 「オリヴァー、別に否定する必要はないと思うよ。恋人ができるのは悪いことじゃないし、君が公私混同するような人物じゃないことはよくわかっているから」 善良きわまりないウィリアムの微笑に、ナルは溜息をついた。 そこに、ひどく楽しげなクリスティアンの声が重なる。 「それにしても。ジュリア嬢が気に入るようなお嬢さんか。楽しみだな」 「ジュリアが嬉々として連れてくるよ。そのうちね。……………ああ、ほら」 廊下の向こうの声を聞きつけて、アンドリューがくすりと笑う。ナルは深く溜息をついて、華奢なカップに手を伸ばした。 † 邸につくなり、ナルとは逆方向に案内された麻衣は、開かれた扉の向こうでジュリアが手を振っているのを見て驚いた。ここは確かヨーク家のはずだ。少なくとも、そう聞いてここまで来た。 「ジュリアさん?」 「マイ!よく来たわね、いらっしゃい。またあえてとても嬉しいわ」 「あの。ここ、ヨーク家のお邸って聞いたんですけど」 麻衣の素朴な疑問に、ジュリアは肩をすくめた。 「そうよ。うちの実家は三軒向こう。でも最近はこっちにいる方が多いのよ私。いろいろ覚えなきゃならないこともあるし、そうなると行ったり来たりは面倒でしょ。だからここは、私の部屋」 「そうなんですか」 麻衣はあっさり納得し、そしてジュリアはにっこりと笑った。 「さあマイ、お着替えしましょ」 「はい?」 麻衣は自分の聞き間違えかと一瞬疑ったが、幸か不幸かそうではなかった。 「あのね、オリヴァーは向こうに行ったでしょう?あっちにはアンドリューのスクール時代のお友達が、3人だったかしら?とにかく来てるの。だからね、あなたはこっちで着替えてから行きましょ?」 「ええと。ジュリアさん、ご挨拶ならこの服でも大丈夫だと、思うんですけど………」 服装は、それなりにきちんとしている。ナルもそう保証したし、失礼にはならないはずだ。 麻衣の問いには、ジュリアは全く動じず、古風な真鍮のベルを鳴らしてから、にこりと笑った。 「もちろん今の服もかわいいわ。でもね、私はあなたが来てくれるのを、楽しみに、いろいろと準備していたの。服もたくさんあるわ。だから着てくれると嬉しいの。…………それとも、どうしても嫌?それなら諦めるわ」 明るいヘイゼルの瞳。美しい顔に、笑みが広がる。二人のメイドが部屋に入ってきたのにも気付かずに、麻衣は、気をのまれて頷いた。 抵抗する間もなく数枚の服を当てられ、似合うだの似合わないだのとメイドと言い合いながらやたらとひらひらした服を着せられ(メイドたちの手際は、やはりプロだった)、ほとんど呆然としているうちに薄く化粧までされて(その間に靴も履き替えさせられた)、麻衣は何が何だかわからないままジュリアを見上げた。 少し落ちついたモーヴピンクの布地(多分シルクだ)の、フリルが上品に、けれどふんだんに使われ、リボンやレースがあちこちにあしらわれている。胸元の芸術的なまでに細かいピンタックは、美しいドレープとなって流れ落ち、ローウエストで一度ふんわりと撓むようにリボンで絞られてからスカートが膝下まで流れ落ちている。控えめなパフスリーブはシルクサテンの広幅リボンで結ばれ、広がった袖口にも細いフリルがにじゅうにあしらわれ、その中から純白の細かいレースが豪奢な姿を覗かせている。 靴もピンクの布製で、頭にはヘッドドレスまでつけられた。鏡がないのでそのデザインまでは知る由もない。 「白もいいとおもったんだけどね、それはウェディングまでとっておくことにするわ」 極上の笑顔で言われても、返す言葉がない。 「ジュリア様、こちらの水色も黄色もお似合いでしたけど、やはりピンクもお似合いですわ」 「あとでもう一度全部着てみていただきましょうか、ジュリア様」 「いい考えねアンナ。そうするわ」 「えっとあのですね、ジュリアさん。もしかして、この格好で、アンドリューさんたちのところに行くとかって…………言いますか?」 「ええもちろんそうよ。だいじょうぶ、私に捕まったって時点で予想しているはずだから。それにしても期待以上にかわいくて嬉しいわ、マイ。オリヴァーの反応が楽しみね?」 嬉々として、という言葉がこのうえなくぴったりくるジュリアの様子に、麻衣は半ば諦めて溜息をついた。これは、抵抗するだけ時間と気力の無駄だ。 「呆れるだけだと思いますけど………」 「あら。そんなことはないわよ、自信ないのね?」 「いえ、そういう問題じゃないんですけど」 「まあいいわ。行きましょう。あっちも待ってるでしょうからね。………アンナ、スーザン、ここ片付けておいてね」 「かしこまりました、ジュリア様」 メイドの声を後ろに聞きながら、ジュリアは歩きにくそうな麻衣の手をとって、部屋を出た。 広い廊下は絨毯が敷き詰められていて、足音を吸い込んでいく。 「あの、ジュリアさん。ほんとにこんな……」 「まだ言ってるの?大丈夫よマイ、十分に可愛いから」 「そういう問題じゃないです。私、アンドリューさんや、お友達の方々とは初対面なんですけど!」 ドレスの質はこの際問題ではない。 第一印象が、こんな、それこそあのプリマヴェーラのようなひらひら衣装というのは、かなり切実に遠慮したかった。 「大丈夫大丈夫、その色、黒とも映えるから、並んでもお似合いよ」 「だからそういう問題じゃ」 「さあ着いたわよ、マイ」 麻衣の必死の抗議をむしろ楽しげに聴いていたジュリアは、扉の一つの前で立ち止まった。軽くノックして、言う。 「ジュリアです。お姫様を連れてきたわよ、アンドリュー」 扉の向こうで笑う気配がして、入って、という穏やかな声が聞こえた。ジュリアは遠慮会釈なく重厚な扉を開き、後ずさりそうになった麻衣の手を引いて中に入る。 小ぶりの応接室には、どっしりとした低い大理石の円卓の周りに、ヴィクトリア様式の椅子やソファがいくつか置かれ、男性が四人と、見慣れた白皙の青年が座っている。 一斉に視線が集中するのを感じて、麻衣はいたたまれずに俯いた。 「紹介しますわね、こちら、ミス・マイ・タニヤマ。彼女が気にしているから一応申し上げておきますけど、ここにいらしたときはとても品のいいトラッドなスタイルでしたのよ」 「そうだろうね」 アンドリューは穏やかに笑って立ち上がる。 「はじめまして、ミス・タニヤマ。私がアンドリューです。ジュリアの趣味につきあわせて申し訳なかった。それから、先日はどうもありがとう」 「いえあの…………こちらこそ、ありがとうございました」 「紹介するよ。左から、ロバート、ウィリアム、クリスティアン。そして君のオリヴァー。皆スクールの同窓なんだよ」 「………皆さんはじめまして、マイ・タニヤマです。………ええと、あの…………」 本当ならもう少し出てくるはずの言葉が出て来なくて、ほとんど無意識に、救いを求めて琥珀色の瞳がナルに向かう。縋るようなその視線に、ナルは溜息をついて立ち上がると、ジュリアから麻衣の手を受け取った。 「普段はこんな格好はしませんので、少々緊張しているようです。麻衣、こっちへ」 ワンピースすら着るのは稀な彼女を、ナルはエスコートする形で手を引き、開いていた二人がけのソファに座らせ、自分もその隣に腰を下ろした。 いつもなら完全無視して彼女の自主性に任せるところだが、ここは「紳士の国」だ。特に上流階級で、仮にも恋人と紹介された女性が困っているのを放置するのは、いくらナルのすることでも非難の対象になる。無駄な批判は避けたいし、余計な詮索も受けたくないなら、礼儀にかなった行動をした方がいい。 半ば目を見張ってみていたロバートが、一番最初に口を開いた。 「驚いた。本当に君は僕たちが持っている日本人に対する常識を覆してくれるなあ」 「最初に覆したのは、僕ではなく森女史だと思いますし、僕は日本人ではありませんが」 「まあ確かにね。森女史に最初に会った時には驚いたよ。でも、今日はそれ以上だ。こんなに可愛いお嬢さんが出てくるとは思わなかった」 「ジュリア嬢が気に入ったという時点で、可愛らしいお嬢さんだということは予想するべきだよ、ロバート。………初めまして、ミス・タニヤマ。僕はクリスティアン・チェンバレン。よくオリヴァーには負かされましたよ。オックスフォードに行ってはいたんですが、今はデザイナーをしています。お嬢さん、もしよければ今度僕のコレクションを着てみる気はない?ウェディングに挑戦してみようとも思っているんだけれど、君とオリヴァーならぴったりですよ」 「クリスティアン。巻き込まないでください」 麻衣の前に、冷たい声が「先輩」の勧誘を遮る。 「いや僕は本気だよオリヴァー。正式にオファーを出そう。別にショーに出てくれとは言わない。写真だけでいいんだ。まさに彼女はイメージぴったりだよ」 「いくら君でも、他の男に花婿役はさせたくないだろう?」 ロバートがくすくすと笑って、麻衣はどんな表情をしていいか分からず固まり、ナルは溜息をついた。 「それこそそういう問題ではありません。マネキンにでも着せておいてください」 「そんなことよりオリヴァー。彼女を見て何か言うことないの?こーんなに可愛いのに、コメント一つなしなんて、ちょっと冷たいんじゃない?」 さっさとアンドリューの隣に腰掛けていたジュリアがクリスティアンの勧誘攻勢に割り込んだ。 確かに、と、好奇心を含んだ視線が二人に集中する。 「ジュリアさん!」 「いいじゃないの。オリヴァー、コメントは?」 「特にありませんね」 「大人げないなあ。照れているのかいオリヴァー」 「子どもじみているのは君たちの方じゃないか、からかうようなことじゃないだろう」 どうやら唯一の「良識派」らしいウィリアムがたしなめるように言い、その言葉を引き取るように、静かなテノールが、響いた。 「どんな姿をしていようと、麻衣は麻衣ですので。服装についてコメントしようとは特に思いません。デザイナーでも服飾関係者でもありませんから」 応接間に、一瞬、沈黙が落ちる。 驚いたような、唖然としたような視線が交錯し、まあ、と呟いて目を見張ったジュリアが笑う。その婚約者の横で、アンドリューが溜息と一緒に述懐した。 「…………変わらないと思ったが、人間というものは変わるものだな」 「随分哲学的じゃないか?アンドリュー。結局のところ、魅力的な女性の前では男は所詮かなわないってことだ」 ロバートが笑って、クリスティアンが頷く。 「やっぱりモデルの件、真剣に頼みたいな。それに、このオリヴァーが捕まった女性だよ。ぜひとも話をしてみたいな、私としては。外見も魅力的だけれど中身も興味深いよ」 「そういう言い方は失礼じゃないかクリスティアン」 話を始めた三人を見ながら、麻衣はそっとナルの袖を引いて、他の誰にも聞こえないように、言った。 「…………ナルってさ。スクール時代口上手かったの?」 「さあ。話す方はほとんどあいつがやっていたからな。知らない」 「なのに違和感ないのはなんで?」 「あの頃はよく入れ替わっていたし、ほとんど二人でいたからな。どっちが話していようと関係なかったんだろう」 「ふうん………。で、この服。本当のとこ、どう思う?」 「布の無駄遣い」 一言で返ってきて、麻衣は思わず吹き出しそうになって表情を変えないように顔を無理やり引き締めた。 「うん。それでこそナルだよね」 「それでも麻衣は麻衣だと思うが?」 思わず見上げた先に深い漆黒の瞳があって、麻衣は息をのむ。 「僕は、思いもしないことは言わない」 「………………………だよね。…………ありがと」 麻衣は小さく笑って。 未だに議論の続いている────話題が脱線しつつある四人とジュリアに、視線を戻した。 |
| 幻日の櫃、後日談です。アンドリューに招かれて渡英、というくらいの設定。2004年の冬コミの時くばったペーパーに載せたSSをちょっとだけ直しつつ、直しようもないのでそのまんま(………)二年ってけっこー痛いですね(遠い目) 2007.2.11 HP初掲載
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