さゆりの願い

ここでは原作において、太助の母・さゆりの心情を中心に書き表そうと思っています。
七梨さゆりのこれまで・・・
  • 人助けをしていないと生きていけない性格の持ち主。
  • ずっとアフリカなど世界各地で恵まれない子供たちの世話、ボランティア活動に従事していた。
  • 偶然にも世界を放浪している豪傑画家・七梨太郎助に出逢い、結婚して日本に一時帰国する。
  • 太郎助との間に那奈、太助を授かる。
  • 太助が1歳の時に再び世界中に受け取った“愛”をふりまくために旅立つ。
さゆりの信条
  • 世界中の人々に愛を与えることで分かち合えること
  • 月に祈れば想いも愛も届けてくれるもの
世界各地でのさゆりのウワサ(七梨那奈、旅日記より)
フランスにて、
「サユーリという名の天使を知っているか?」
ギリシャにて、
「天使サユーリは我らが女神さー」
モンゴルにて、
「天使サユーリのウワサを知ってるかい?」
つまり至るところで『人助け』をしているらしい天使サユーリの名は、どこに行っても知らぬ者はなく
助けられた人の間ではさゆりのことを“天使”“女神”と呼ばれていた。
また人助けをしながら“タスーケタスーケ”と呪文のように唱えるという。
十数年ぶりに日本に戻ってきた理由
タイにてボランティア活動をしていたさゆりは高熱を出して寝ていた。
さゆりは“う〜〜〜太助〜〜〜太助〜〜〜愛よ届いてぇぇ”とうなされるように寝ている。

そこに現れたのが太助の姉・那奈であった。
那奈は熱が下がって体調がよくなったさゆりを無理矢理日本に連れて帰ることにした。

日本行きの機内にて
さゆりは那奈から太助の暮らしぶりたくさん聞くことが出来た。
太助がシャオやルーアンという女性と一緒に暮らしていること。

さゆりにとっては驚きでいっぱいであった。
自分の唯一の息子である太助、どんな感じで成長しているのか楽しみであった。

久しぶりに戻ってきた我が家にて
我が家の前にて買い物帰りのシャオが那奈を見つけて駆け寄り久しぶりの再会に会話を弾ませると
那奈の後ろにいたさゆりがひょこっと出てきて、

「ま〜、あなたがシャオちゃんね、こんにちはぁ」

と笑顔で挨拶するとそこで意気投合し、リビングにてテレビのリモコン操作によるチャンネル変更で
さらに気が合うことになるシャオとさゆり。

と、さゆりはふと、ほふく前進して近づいてきているルーアンとキリュウの存在に気づき、
不思議そうにルーアンとキリュウを見つめる。

太助が戻ってきてリビングにてお茶することになり、さゆりは

「ねぇねぇシャオちゃん、後でお部屋を案内してもらえるかしら」

と話し出す・・・さゆりの心の中では、

“ひさしぶり過ぎて忘れちゃった

しかしその言葉は表には出さず、また太助には“自分が母親なのよ”と一言も言い出さない。
太助には笑顔でニコッと見つめるだけのさゆりであった。

想いが届いていなかった現実(その1)
太助はさゆりがシャオの母親であると勘違いしてキリュウの部屋を訪れる。

「おかあさん!いや〜〜〜お義母さん、僕の部屋も案内しますよぉ」

さゆりは驚きとともにうれしそうな表情で、微笑ましく答える。

「ありがとう」

太助は自分の部屋の前に立ってにこやかに、

「ささっ、おかあさん、ここが僕の部屋ですぅ」

さゆりは太助の部屋に入って一番最初に目が行ったのはベッドであった。

「ずいぶん年季の入ったベッドねぇ、小さい時から使ってるの?」

さゆりがそう尋ねたのは、さゆりが太助のために買って上げたベッドであったからだった。

「俺の母親が買ってくれたんだそうです、まだ小さかったから覚えてないけど」

太助がそう答えると、さゆりは太助を見つめ少し間をおいて、

「・・・・・・そうなの」

リビングに戻り那奈はシャオ、ルーアン、キリュウたちと麻雀をし始めた。
その様子を見守るさゆりと太助。

さゆりは太助を覗き込むようにして話し始めた。

「ねっ、教えてもらえば出来るかも!あなたもやらない?、太助」

太助が少し戸惑う表情をしているときにさゆりは思っていた。

“私はね・・・太助、願っていたの届くように、私の愛が届くように、届くように、届くように”
“どんなに遠く離れていても、月はきっと私とこの子を繋いでくれる”
“想いもきっと届けてくれる”
“そして逢わなくても、私のことを忘れないでいてくれると・・・”

「あの・・・俺は、いいや、自分の部屋で本でも読んでるから・・・」

と、太助はうつむき加減に話して自分の部屋に閉じこもってしまった。
さゆりの心の中では“太助、太助、太助、太助・・・”と叫び続けたままであった。

想いが届いていなかった現実(その2)
午後11時10分、さゆりは支度をしていたところに寝巻姿の那奈がやってきた。
何してんの?と尋ねられるとさゆりは、

「だって那奈ちゃん、私の愛は届いてなかったんだもの」
「月に祈れば届くと思っていたの、なんだかバカみたい」

那奈が少し呆気に取られ、アホらしく思っているときにさゆりは続けた。

「私、決めたの、わかったのよ、このままじゃダメなの・・・だから・・・」
「今度は月じゃなくて直接日本がある方角に向かって祈ってみるわ!」

っと少し涙を浮かべて話すさゆりであった。
そしてさゆりはカバンを持って窓に向かって外に走り去ろうとしながら、

「別れは言わないわ、辛くなるから、シャオちゃんによろしくね〜〜〜」

っと、スリッパを履き変えて靴で走ろうした・・・までは良かったが、転んでしまった。
足がもつれる程に太助に忘れられていたことがすごくショックであったようだ。

「う"う"ーーー太助〜〜〜太助ぇぇぇぇぇたーすーけーぇぇ」

想いはやはり届くもの
シャオの部屋(元はさゆりの部屋)で布団に横になっていたさゆりが起き上がった。
そばにはシャオが付き添っていた。
さゆりは布団の中で窓の外に見える空をじっと見つめて、

「・・・・・・月が見えないわね」

少しさみしげな口調であったのでシャオは軒轅に乗ってさゆりを夜空に連れ出した。
さゆりは上空からの街並みの夜景にすこぶる興奮していたようだった。
そこでシャオの口から発せられた言葉に・・・

私は守護月天、月の精霊です

「え・・・・・・」

シャオが月が見えてきたと伝えてくれたときに、さゆりは大きな満月を目前にし、
機内での那奈との会話を思い出しながらこう思った。

ああ愛は本当に月まで届いていたのかもしれない・・・・・・
私の支え、私のたから
「私の太助」をちゃんと守ってくれていたのね

七梨家に戻ったさゆりは月を眺めながら帰る準備を始めていた。
そこに那奈が現れて帰ってしまうのかと尋ねると、

「だってぇ私を待ってる人達がいるんだもの・・・・・・」
「ねぇ那奈ちゃん、知ってた?」
「シャオちゃんって。守護月天、月の精霊さんなんだって!」
「私ねぇ、またわかっちゃったの」
「やっぱり私の想いは太助に届いていたのよ

「シャオちゃんが届けてくれてたの!」

そう 私の思いも 私の愛も 月はちゃんと届けてくれた
たとえそれを太助がそうだと気づかなくても 私はそう思いたいの
想いはちゃんとあなたに届いていたと・・・

翌朝、さゆりは荷物を持って家の外に出ると太助が待っていった。
さゆりは太助の側を横切るときに、

「離れていても伝わる気持ちはあると思わない?」
「太助!!」

さゆりの表情は清々しい。
太助は少し戸惑いながらも意味を理解したのか、こう答えた。

「シャオも似たようなこと、言ってた」

「そう!!や〜〜〜っぱり」
「私とシャオちゃんは繋がってるのね〜〜〜

「そしてその想いは太助に届くのよ〜〜〜!!」

さゆりは太助の返答がよっぽどうれしかったのか、歌を歌う感じでリズムに乗り
スキップをしながら太助との別れを惜しむことなく済ませた。


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