(5)海野格子(こうし)と卯建(うだつ)
 
 普通の格子は上から下まで1本通しで、間隔を置いているが、「海野格子」と呼ばれているのは、2本通しの間に、少し上部が開いて2本間隔で横木がくっついて上部に2本あるのが特徴である。
 

 青森県の高槁家(重文)の格子は1本間隔で太く、横木は1本桟(さん)。長野県塩尻の小野家の格子は細く、横木が2本。大阪の奥家(重文)の格子は親格子の間に上部が半分開けて子格子が2本、横木2本が離れている。千葉の平野家の格子は親格子2本の間に子格子1本間隔、横木2本がくっついている。新潟県の渡辺家(重文)の格子は上から下まで親格子が1本通し間隔で横木が3本。群馬県の生方家(重文)の格子は横木が4本と、それぞれ地域によって違っている。

 宇立・宇太知・卯建などとも書かれ、梁上(りょうじょう)の短柱、つまり束(つか)を指す。

 
 近世の民家での卯建(うだつ)は高塀造の妻壁上に一段高く葺(ふ)いた瓦葺(かわらぶき)のところや、町屋の2階の袖壁様の部分をいう。近世後半の塗屋造では防火の役にたったであろうが、近世初期には防火のために発生したのではなく、家の格を示すためにできたのであろう。「うだつが上がる上がらぬ」という言葉はこれに起因する。
 
 上小地方(上田市と小県郡内)に4戸のうだつが残っており、長門町と和田村に1戸づつと、この海野宿には2戸もある。
 
 
本卯建を持つ江戸時代の旅籠屋
 
(本海野宿)海野格子
(長野県塩尻市)小野家
 
(青森県)高槁家
(大阪府)奥家
 
(千葉県)平野家
(新潟県)渡辺家
(群馬県)生方家
 
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