遅れ馳せながら、明けましておめでとうございます。・・・って、この文章を皆さんがご覧になるのは、もうお正月ではないのかな?旧正月(今年は2月9日)の頃かもしれませんね。明けましてと言っても、昨年は大事な恩師を亡くしたし、暮れも押し迫った頃にスマトラの大地震・大津波はあったし、気分的には何だか喪中な感じです。けれども一昨年、父を亡くした私としては、「やっと喪が明けたか・・・」といった心境でもあります。 やっぱり人間には、身に起こる出来事を納得したり、気持ちを整えたり、あるいは具体的に生活を建て直したり、体を変えたりすることに、それなりの時間というのが必要なのだなと実感しています。最近お母様を亡くした友人が、「四十九日とはさすが、心の落ち着きを取り戻すのに必要な、大きな力のようだった。」と言っていましたが、こうした日数や儀式といったものも、単に形式的なものではなく、人々の経験から来ていることなのだと思います。身内を亡くした者が、丸一年は喪に服す、というのはそれなりに意味があるのでしょう。私もこれは、経験してみてわかった気がします。
・・・のっけからこんな話題になってしまいましたが、難病を発症した自分が、そのことを納得するのにもやはり時間がかかりました。今もまだ、本当には納得できていまん。 病気になって何が辛いかといえば、ご飯が食べられないとか、しゃべりづらいとか、腕が重いとかすぐ疲れるといった体の症状は勿論だけれども、むしろそのことによって起こってくる社会との関りのむずかしさだとか、友人とのコミュニケーションのズレだとか、二次的・三次的にあらわれる社会的障害によって精神的苦痛を感じ、心が不安や孤独に陥ることであると、この「トロトロ」にさんざん書かせてもらってきました。これは病気になって一年や二年そこらでは解決しない問題なのでした。 そんな中で良かったのは、ほんの些細なことが大きな喜びに感じられるようになったこと。これは病を体験した私だからこそ味わえるわけで、「みんなにはわからないだろうな、ふふふ・・・」と一人ほくそ笑んでしまうことがあるのです。まわりは何でもなく通り過ぎてしまうことに、いちいち自分が喜んでいるのもしゃくだったりするのですが、自分が一筋縄ではいかない難病を持ったことを、「病を得た」というように思えるようになれたら、素敵だよな、と時々思います。 でも実際は自分の感情に振り回されてばかりいて、体力が回復し体調が安定している今でさえ、心はぐちゃぐちゃ、バラバラです。
・・・そう、このところ体調が良く、一年半飲みつづけていた薬を、この年末からやめています。この通信でも紹介したことのある、あの薬です。3錠だった薬を昨春には2錠、秋で1錠、・・・そしてようやく0!これもとびあがって喜びたいことのひとつです。 暮れの血液検査の結果では、昨春とたいして体の中身は変っていないようだったのですが、 (病気の原因である、神経から筋肉への伝達を阻害している抗体の数値には変化なし。) なぜか表に出ている症状は落ち着いていて、薬の服用前と服用後で、あまり変化が見られなくなったので、毎日飲まなくても良いということになりました。朝一番でまず薬を飲まなければ、着替えもままならなかった頃のことを思うと、ウソのようです。 何が功を奏したのか、よくわかりません。私の場合、一時的に自覚症状を抑える対症療法的な薬しか飲んでおらず、筋無力症に一般的なステロイド等の治療はやっていません。これといった民間療法も続けたものはありません。食事療法、漢方やハーブティー、鍼灸、整体、アロママッサージ、中国式体操、どれもこれもまともに続けたものはないし、ヒーリングや宗教といったものもはまりませんでした。自ら日課としていた父への供養やお祈りも、おろそかになってきているし・・・。考えられるのは、発症から診断がつくまでが比較的早く、早い段階で胸腺の摘出手術を受けたこともあると思うのですが、とにかく自分の好きな事をやめないでいたことは大きいような気がします。ある意味自分を甘やかし、楽しい、気持ちがいいと思える事に貪欲でいたことは、体や心を解きほぐし、細胞を活性化させたのかもしれません。 しかし本当には安心できません。この病気は、良くなったと思っていた人がある日突然悪くなったり、完治と思われた人が何年か後に症状を再発したり・・・ということがあるのです。実際私も、この一年半の間にさまざまな波がありましたし、良くも悪くも体が変化する妊娠や出産は、MG患者にとってはかなり大きな賭けであり、リスクを伴うことはまちがいありません。・・・とにかく、仕事をするにしても家庭生活を送るにしても、何をするにも普通の人と同じ様には考えられない体であるということ、どんなに症状がおさまって元気になったように思えても、病気と一生つきあうくらいの自覚を持って暮らさなければならないことは確かだと思います。
それにしても、薬を飲まなくてよくなったのは喜ばしいことであり、これからは少しずつ、仕事を増やしたり興味のあることを始めたいと思っているのですが、今まで受けていた保険の期限が切れることもあり、今一度、自分の生活を建て直す時期にきています。 ・・・ということで、突然ですが、一年半続けてきた「日々是トロトロ」を、今回で一旦終了させていただくことにしました。予告もなく急で申し訳ありませんが、しばらくの間お時間を頂いて、またどこかで、私の勝手気ままなつぶやき(叫び?)を、読んでいただくことができたらなあと考えております。・・・連載当初は、もう少し田畑や房総の自然の豊かさなどに触れたいと思っていたのですが、書き始めるとどうしても自分の病気ネタばかりになってしまい、みなさんにご感想をいただいてもお返事することもできず、申し訳ありませんでした。しかし、自分の思いを書いて発表する、このような場をいただいて、私にとってはとても自分の励みになりました。葱坊主さんをはじめ、みなさまに感謝しています。どうもありがとう。
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デン : 毎回読ませていただきました。中野で絵も見せていただきました。スガヤンの感想や意見は,今まで知らなかった,気づきもしなかったも多くありました。一年半で「日々是トロトロ」のコーナーを閉じてしまうのは残念に思います。今後とも別のかたちで「風の頁」とのお付き合いを続け,素晴らしい絵やご意見・日々の感想等をご披露していただけるよう期待しています。 ♪♪♪ (2005/03/29 10:36:15)
かみ : 同じMG患者です。おまけにリウマチもあります。病気になったからこそ得たもの…私もあります。同病の仲間たちかな。この病気にならなかったら、知り合えなかった人たちだもの。こういう出会いも大事にしたいです。終了されるということで残念ですが、また気が向いたら再開してくださいね。 (2005/04/15 22:41:11)
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