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今日は、エリーナの誕生日だ。 青い空を見上げ、クレイは少し思いにふける。 彼女が生きていたなら、今ごろは何をしているのだろう? ニーナと三人で誕生日を祝っていたのだろうか? 見上げた空の先では、小鳥が楽しそうに舞っていた。エリーナを思わせる綺麗な白い羽を持ったその鳥を、彼は無意識の内に目で追っていた事に気付く。 やはりまだ、忘れられない。 そう考え、クレイは小さくため息をつく。 忘れられない事が悪い事なのでは無い。むしろ、彼はこれからもエリーナの事を忘れる事などないだろうとさえ思ってもいる。だが、ただ忘れられないという事と、思い出になるという事はまた違うのでは無いだろうかとも思っているのである。そしてそれは、きっと間違ってはいないのだろうとも。 こんなに、忘れられないのなら。 いっその事、エリーナの願いを聞いてやらなければ良かったのだろうか? ふと考え、それは違うと首を振る。 それでは彼女を裏切る事になる。 彼女が、エリーナが、自分を選んだのだ。 あの時、彼女の願いを聞いた後。 どうしても、ニーナに告げる事が出来なかった。 自分が、エリーナを、殺したのだという事を。 ニーナはきっと、それは違うというかもしれない。姉様の望みだったのだから、聞いてくれてありがとう、と言うかもしれない。 自分も、最初はそう思っていたのだ、とクレイは思う。 そう思わなければ、どうしようも無かったのだろう。 ……だけど。 どんな理由があろうとも、彼が彼女に手を下したのだという事実は変わらない。日が経つにつれ、その事実がクレイに重くのしかかってくるのだった。 そう。 それが、彼がエリーナを忘れられない、理由。 それが分かっていても、彼にはどうしようも無かった。 一体どうしたら、自分を許す事が出来るのか、分からなかったから。 「……兄様?」 ニーナだった。心配そうにクレイの顔を覗き込んでいる。 「……ニーナ……。どうした?」 「今日は姉様の誕生日だから、兄様とお祝いしようと思って」 ニーナは手に小さな白い花を束ねた花束を持っていた。 「……これ、姉様が好きだったお花なんです……」 そう言って、クレイに手渡す。クレイは困惑しながらもその花束を受け取った。花束から甘い良い香りが漂ってくる。 「……姉様は、兄様の事、好きだったんですよね……」 今更、何を言い出すのだろう。 ニーナはそんなクレイの思いを知ってか知らずか、台詞を続ける。 「あのね、今日、久しぶりに姉様が夢に出てきたんです」 「……夢……」 そういえば、自分はそんな事もあまり無いなと少しだけ考える。 「最後に、姉様に会った場所でした。姉様もあの時のままで、私たちもあの時のままで……。私、最初はすごく怖かったんです。出来る事なら、すぐ目が覚めてしまいたかった」 「…………」 いまいち、ニーナの言いたい事が分からない。特に相槌をうつ事も出来ず、ただ黙って彼女の話を聞いていた。 「でもね、一つだけ違っていた事があったんです。姉様、笑ってました。すごく優しい、いつも通りの姉様の笑顔でした」 そこで目が覚めたんです、とニーナは言う。 「兄様。姉様の事、忘れないであげてくださいね」 ふと真剣に、言ったニーナの言葉。 「姉様は、兄様の事が好きだったんです。憶えていてあげて、くださいね」 にっこりと、エリーナにそっくりな笑顔で言ったニーナの言葉が、クレイの心に突き刺さる。 自分は、何を悩んでいたのだろう。 エリーナを忘れないでいる事。 彼女を覚えているという事。 自分が認める事が出来ていなかったのは、彼女に手を下してしまったという事では無く、それによって彼女がいなくなってしまったという事。 今までと、変わってしまったと言う、事実。 許せなかったのは、日常を変えてしまった自分自身。 日常を変えてしまった自分自身が許せなくて、何故エリーナの頼みを聞いてしまったのかと考えるようになっていた。 彼女はあの時、笑っていた。最期の瞬間まで、見慣れた優しい笑みを浮かべていたのだ。 一体何故、あんな笑みが浮かべられたのだろう。 ……それはきっと、彼女は後悔なんてしていなかったから。 エリーナが最期に浮かべた透明な笑みはとても綺麗だったと、クレイは思う。 彼女の、思い出になる前の笑みを、今の今までクレイは忘れていた。何故?と自分に問うばかりで、結局は彼女の事を忘れていってしまっていたのだ。 忘れられなかったのは、あの時の感触だったのだ。 それに固執し過ぎて、エリーナの事を忘れかけているとは気付かずに。 ……それでも。 心配そうに覗き込んでくるエリーナの妹を見ながら、クレイは思う。 理由が分かったからといって、事実が変わるわけでは決して無い。もちろん、彼女が戻ってくるわけも無い。 でも、これからは彼女の事を思い出に出来そうな気がする。 その理由を教えに来てくれたのは、彼女の妹。 エリーナにそっくりな瞳と心を持った、彼女の妹。 ニーナが気付かせてくれたと言うのも、不思議な縁なのだろうか。 また空を見上げると、小鳥達が空の彼方へ飛んで行くのが見えた。 エリーナと同じ、羽を持つ鳥達は自由に空へと飛び立って行く。 |
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何があったか書いてみました、クレイ小説(汗)。自分の中では一番好きなイベントだったので(クレイエリーナね)、何気に書くのは敬遠してたのですが(イメージぶち壊しそうで……)。何か、見事に壊した予感……(汗)。 題名で分かる方いたら嬉しいんだけど(笑)、これ、題名と同じ曲を聴いてて浮かんだのですバイ。むしろ、イラストの構図が浮かんだのだけど、チャットの合間に書いてたので(苦笑)、文章になりました。「君が想い出になる前に、もう一度笑って見せて」という歌詞のところなんですがね〜(苦笑)。あとは「忘れないで、二人重ねた日々はこの世に生きた意味を超えていた事を」とかね〜。しかし何かよく分からないモノになりましたね……。自分、ショートショート書くとどうにも一人語りになってしまうらしく、ホントはこれしっかりとクレイエリーナにしようと思ってたのに、いつの間にやらクレイ心情を語るになっちまいました……(苦笑)。 結論として、やはりキャラ小説は難しいです。どーにも自分の文章力ではキャラクターイメージをぶち壊しそうでおっかないです……。夜中か徹夜明けでもないと書けないよ、きっと(笑)。ある意味ハイになってないと書けなさそうです。でも、こういう心情で終わる話なら、文章みっしりしてないから読みやすいですね(笑)。 そして今回も文字サイズとかこういうタイプので書いてみましたが、こっちの方が見やすそうですね、何となく。これからはこういったデザインで書いてみようかなと思う次第。文字が黒い方が自分自身好きなので、色つきは敬遠してたのですよね〜(苦笑)。バックはともかく、行間はこちらの方が読み易いですね、確実に。 |