性病について


T. 現在は性行為感染症(STD; Sexually Transmitted Diseases)ともいいます。(以後、STDと略して話します。)昔は、梅毒、淋病、軟性下疳、性病性リンパ肉芽腫をさしていましたが、現在はこの他にクラミジア、ウイルス-性器ヘルペス、尖圭コンジローム、肝炎ウイルス<B型、C型>、HIV<AIDS>、真菌(いわゆるカビ)、寄生虫(毛ジラミ、疥癬)などがあげられます。

U. 現在、流行しているSTDは
男性:
尿道炎(3種類:淋病性、クラミジア、淋菌やクラミジア以外)、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、毛ジラミ、疥癬など
女性:
クラミジア性尿道炎・子宮頚管炎・ヘルペス、トリコモナス、尖圭コンジローマ、梅毒、毛ジラミなどです。
V.STDはどうやってうつるのか
 異性間のSEXでうつります。性器と性器の接触以外に、性器と口(オーラルセックス、フェ ラチオ)や、性器と肛門(アナルセックス)でもうつります。
 STDの感染源:素人から感染する患者さんが当科では約7割です。つまり風俗以外のかたが多いということです。

W.STDの診察、治療と予防について
@治療と診察
 患者さんの症状を聞き(問診が重要です)ベッドの上で診察します。尿検査(尿道分泌物検査)、採血(感染症のチェックのため)などを行います。尿道から綿棒でグリグリすることはほとんどありません。
 尿道炎は、排尿するときに痛み、尿道から膿が出ている、ペニスがムズムズするなどの症状が出ます。治療は抗生物質(抗菌剤)を飲んで、約1,2週間後に再診してもらい治ったかどうか判断します。なお最初に処方した内服薬が効果がない例が1-3割あり、特に淋病性尿道炎(淋病)では、それは3-4割あるのではないかと思われます。飲み薬で治らない時は、注射をします。
 尖圭コンジロームはペニスの溝や皮(包皮)に、クリスマスツリー上のブツブツやかたまりができます。外科的治療(当科では麻酔をして電気メスで焼くか切除しています)。または、軟膏による治療を行っています。
 性器ヘルペスは、ペニスに潰瘍上のブツブツができてかなりイタガユイです。これは単純ヘルペスウイルスによる感染です。治療は飲み薬と軟膏です。ただしこれは、一度治っても体調がよくないときに再発します。
 ケジラミは吸血性の昆虫です。性行為によって感染して陰毛に寄生します。陰部が非常にかゆくなります。ケジラミは体長1.0〜1.2mmです。多量の卵を産みます。治療は陰毛をそってしまうことと、補助的に0.4%フエノトリンパウダーやシャンプーをかけます。
 なお、治療の原則として素人さんから感染したときは、疑わしいパートナーの方の検査、治療が必要です。
 自覚症状がでる性病以外に、症状がしばらく現れないものがあります。梅毒、HIV(AIDS)、B型、C型肝炎などです。そのチェックは病気をもらったSEXから約2,3ヶ月後に採血したほうが望ましいです。
A予防と補足:
  1. STDを予防するために、コンドームを性行為中(避妊目的以外にも)に使用したほうがよいでしょう。
  2. 女性は性病(淋病、クラミジアなど)に感染しても、症状が出る人は2-3割です。つまり感染していても無症状が多いということです。放っておくといずれ子宮頚管炎、尿道炎、卵管炎、腹膜炎となって不妊の原因になったり、感染したのを知らずに妊娠して赤ちゃんが結膜炎、肺炎を起こすことがあります。
  3. セックスは本番以外、つまりオーラルでもうつります。ピンサロ、エステなどのホステスさんの口からのサービスで十分うつります。
文責  佐々木クリニック  泌尿器科  佐々木 明     2011/10/5


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