動力機械的燃焼工学

空燃比と排気ガスの関係とは?

結論を先に言うと

⇒空燃比の値によって排気ガス中の成分は変わってくる.

 

では,どのように変わってくるのでしょう・・・

    ここでは均一予混合燃焼をモデルに話をします.直噴(Direct Injection)などでは,燃焼室内の空燃比が一定でないため,ここでの話がそのまま適応できるか疑問なので・・・ 理屈は同じだと思いますが (^^;

 

それではまず,空燃比のコーナーで出てきた式を見てみます.

CH1.91.475O2=CO20.95H2O+熱・・・@

この@式は理想的な反応を示しています.しかしながら実際の燃焼では,ニュースでよく聞くような

一酸化炭素       CO        (Carbon monoxide)

炭化水素           HC        (Hydrocarbon)

窒素酸化物       NOX  (Nitrogen oxide)

といったものが出てきてしまいます.

では,これらの物質と空燃比の間にはどのような関係があるのかというと,おおよそ下の図のような関係があります.

この図は横軸に空燃比,縦軸に各物質の濃度を示しています.

それでは,この図を基に各物質の特性を考察してみましょう.

 

    一酸化炭素(Carbon monoxide)

一酸化炭素は燃料がRich(濃く)になるほど多く発生します.これは@式を見ていただくと分かるのですが,燃料が多いとそれに対して酸素が不足してしまうのです.なので,本当であれば理論空燃比よりLean(薄い)の領域では発生しないはずですが,実際は微量残ってしまいます(理論空燃比では約0.7%発生).これについてのはっきりした原因は不明ですが,燃え残り説や熱解離説などがあるようです.

 

    炭化水素(Hydrocarbon)

一般的に「ハイドロカーボン」などとも言われています.炭化水素は構成されている成分が燃料と同じです.つまり,生ガスや未燃焼炭化水素ともいえます.発生状況はRich(濃い)の領域ではRichになるほど増加します.Leanの領域ではある点よりも薄くなると増加します.これは,空燃比が薄いためにミスファイヤが発生するためです.

 

    窒素酸化物(Nitrogen oxide)

一般的に「ノックス」と呼ばれるものです.この窒素酸化物の発生する特性は燃焼温度が高いほど多く発生するという特性があり,一番多く発生するのは理論空燃比よりも少しLean寄りで空燃比15.5くらいの点です.ここでは燃焼温度が高いうえに酸素が多く存在するためです.この,NOXを減らすためにEGR(Exhaust Gas Recirculation)といって,排気ガスを吸気に混ぜてやって燃焼温度を下げる方法などがあります.

 

以上のような特性があります.炭化水素(HC)や窒素酸化物(NOX)は太陽の紫外線と合わさって過酸化物(PAN)になり,光化学スモッグ(ロサンゼルス型)の原因となります.

次回以降で,これらの有害物質の無害化の方法をお伝えしたいと思います.

おわり

 

2003年12月01日更新