明日は お母さんの誕生日です

うさぎの子は、お母さんに聞きました。

「ね、 おかあさん。お誕生日のプレゼント・・なにがほしい?」

「な〜んもいらないよ。あなたがいるだけで、おかあさんは幸せだからね。」

と にっこりとお母さんは微笑みました。

「じゃあ・・・ おかあさん。お誕生日に食べたいものは なあ〜に?」

「そうね〜・・。どんぐりのスコーンに・・・ 美味しいクローバーのはちみつをつけて食べたいな・・・。」

「それから、バラの花のお茶があったら、もっといいわねえ・・・。」


と おかあさんは 嬉しそうに言いました。

「じゃあ、おかあさん。私が捜してくるね。そしたら、美味しいスコーンを焼いてね。」


うさぎの子は 嬉しくなって外に飛び出していきました。

急いで飛び出したけれど、外にはなんにもありません。

新緑の葉を飾って きらきら光っている樫の木に聞きました。

「こんにちは 樫の木さん。ねぇ、どんぐりはないの?」

「こんにちは うさぎの子。元気だねぇ。残念だけど、いまはないんだよ。」

「秋においで。いっぱいあげるよ。」


と、樫の木は答えました。


がっかりして、うさぎの子はミツバチのところに行きました。

「こんにちは。みつばちさん。はちみつを少しわけてくださいな。」

「こんにちは うさぎの子。いまは、それどころじゃあないんだよ。まだまだ、花も少ないしね。」

「夏においで。いっぱいあげるよ。」


と みつばちは、答えました。


バラの木にも聞きました。

「こんにちは バラさん。お花を分けてくださいな。」

でも、バラの花は言いました。

「こんにちは うさぎの子。もう少ししないと咲かないんだよ。今度おいでね。いっぱい分けてあげるよ。」

うさぎの子は がっかりしたけど、森じゅう捜しまわりました。


くたくたに疲れて、家に帰りました。

悲しくなって お母さんに言いました。

「おかあさん ごめんね。森じゅう捜したけれど、な〜んも見つからなかったの。」

「いいのよ。お母さんは嬉しいわ。こ〜んなに 私のことを思ってくれるあなたがいるなんて!」

といって、 しっかりと うさぎの子を抱きしめてくれました。


うさぎの子は、明日は早く起きて また捜しに行こう・・。と

思いながら眠りました。


その時 うさぎの子は

あの樫の木の枝に座って話を聞いていた

リスがいたことを知りませんでした。


ミツバチと話しているときに

そばで冬眠から覚めたクマが 話を聞いていたことを知りませんでした。


バラの木と話しているときに

そばを飛んでいる小鳥がいたことを知りませんでした。


気持ちのいい朝がきました。

うさぎの子は元気よく起きました。

とその時

「トン トン・・」

と、ドアをたたく音が・・・。

ドアを開けてみると

リスとクマ そしてクマの肩には 小鳥がとまっていました。

リスが言いました。

「私が冬のためにとっておいたどんぐりをあげるわ。」

クマが言いました。

「ぼくが冬のためにとっておいたはちみつをあげるよ。」

小鳥が言いました。

「私が、赤ちゃんのベッドように集めておいたバラの花びらをあげるわ。」



おかあさんが 驚いて言いました。

「さあさあ、みなさんお入りくださいな。」

「ゆっくりして行ってくださいね。」

うさぎの子は、嬉しくて嬉しくて

飛び跳ねていいました。

「みなさん、ありがとう!」



テーブルには おかあさんが、焼いた

美味しいどんぐりのスコーン 

クローバーのはちみつ

 バラのお茶が並びました。

お母さんが作った こけもものジャムも並びました。

楽しいお誕生日が始まります。

みんなで

「おかあさん お誕生日おめでとう!」

といって食べました。

うさぎの子は なんて美味しいご馳走かしら!!

と思いました。

楽しいお話とみんなの笑顔で部屋中が

いっぱいになりました。

さわやかな風が 部屋の中を通り抜けていきます。



童話館