人生の達人?
 


おばあちゃん アクト 24 ..−お風呂に入る−


ある日、おばあちゃんが言いました。


「自分ちのお風呂に入ろうかねえ〜」


え!!


お風呂屋さんでなくていいの?

具合でも悪いの?



などなど周りの憶測は飛び交います。


なんといってもおばあちゃんは、何十年ものお風呂屋さん通い。


お風呂仲間とのなが〜い歴史があるんですから・・

それを急にやめるなんて誰も信じられませんでした。


でもおばあちゃんは、すっきり決めたらしく
なにも言いません。


では、ということで

ガス器具の工事から始まり・・

お風呂の準備は進みます。

おばあちゃん、こだわりの懐かしい木の椅子も探しました。


準備OK!!

すべてOK!



後は入るだけっと!

張り切ってお風呂を沸かしたけれど

なぜかおばあちゃんは入ってくれません。

服を途中までは、脱いだけど・・・

湯船の前に立ち・・

ジーッと立ち尽くし・・


「ん〜・・まぁ、いいや・・」
と・・・


脱いだ服を、ゆっくり着て部屋に戻ってしまいました。


いろいろ聞いたけど、
なんにも教えてくれないし・・

やっぱり銭湯がいいのかな〜・・

そのまま話はうやむやに・・


ところが!!!!


忘れたころに、おばあちゃんが言いました。


「お風呂に入ろうかねえ〜」


え〜!!???

どうしたの〜?おばあちゃん?


ただ、驚いただけで

だ〜れもおばあちゃんの心に気がつきもせず・・

気がつこうともせずに・・


ある日
おばあちゃんが
ヘルパーさんに言ったそうです。


足元が危ないから
今まで空のお風呂に、木の椅子を置き
またいで湯船に入る練習をしていたんですよ。



そうだったの〜おばあちゃん!!


誰もそんなことは、思いもしない・・

おばあちゃんの気ままなのか・・?

な〜んて、みんな納得していたのに・・

なんと一ヶ月近く練習をしていたなんて!


私たちは、無意識に
手をかして支えて
お風呂に入ればいいと思っていたんですね。



おばあちゃんは、人に頼らない心がけ



ごめんね〜〜おばあちゃん。

気がつかなかった。


やっぱり、おばあちゃん!


さすが明治の女!



昭和の私たちは、足元にも及びませんよ〜〜

一同、心から・・

参りました。





    
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