少年は


少年は夢見た

そのとき、彼は自由だった

天かける天馬に乗って宇宙を駆け巡り
煌く星ぼしをあつめた

草原を馬にまたがり疾風のごとく
駆け巡った

地に潜りどこまでも突き進み

地球の真中で
煮えたぎるマグマをみた

いつも少年は自由を楽しんでいた

長い年月が経ち
少年は大人になった

がっちりした体は
深いしわを刻み

少年の生きてきた歳月を
物語っている

地に深く根ざす根のごとく
困難を乗り越え

大きな岩さえ
ものともせずに大地に生きた

草原を駆け抜ける風のごとく
あらゆるものと出会ってきた

宇宙を駆け巡る天馬のごとく
どんなときも 自由な心を失わなかった

多くの悲しみと喜びを知った

多くの苦しみも知った

希望を失うこともあった


でも いつしか またあのころの
少年が彼のなかに甦る

今、彼は
本当の自由を知った

少年は天かける
少年は風になる
少年は大地に生きる

少年こそ 自由そのもの



●
きりばん


写真は 884 Photo Museumさんのところからお借りしました。