降り続いていた雨の切れ間に
 家路に急ぐ二人乗りのバイク  

 運転するのはおじいさん  
後ろの荷台にはおばあさん

 二人ともヘルメットもかぶらず
 上り坂の途中から発進しようとしていた
   
後ろから見るととても不安定なのに
 おばあさんは平気な様子で座っている  

何十年もの間  
そこがおばあさんの指定席だった

 おじいさんは地面を足で2回蹴って
 ふらつきもせずに走り出した

 こうして二人は随分長い間  
一緒にバイクで出かけていたんだね

 田んぼの仕事に行くのにも  
夕飯のおかずを買いに行くのにも
 どこかへ出かける時にはいつもいつも  

 春の柔らかさも 夏の煌めきも  
    秋の淋しさも  冬の日溜まりも
 二人で感じながら

 二人と二人の想い出を乗せたバイクは
 暮れはじめた風景に溶け込むように
 角を曲がって見えなくなった

                                 


ぎゃらりー

                             


                    空模様 byぷらちな銀魚