C-840Lで怪しい撮影

  1. PLフィルター
  2. 月を撮る
  3. 絞り開放でマクロ撮影を
  4. スキー撮影 レタッチ編
  5. スキー撮影 防水パック編
  6. 額に汗するパノラマ・広角撮影

4: スキー撮影 レタッチ編

1998年12月〜1999年1月にかけてウィスラーでスキーをした時に、C-840Lで少し撮って来た。これらの画像の簡単なレタッチについてちょっと書いてみる。今回の画像は全てC-840LのHQモード(1280x960 標準圧縮率)、フルオートモード(補正等一切なし)にて撮影した。使うフォトレタッチソフトはフリーウェアのImageFilter

4-1  ヒストグラム補正

Ski 1
Ski 1 hist
ヒストグラム補正前
F11.0 1/143秒
Ski 2
Ski 2 hist
ヒストグラム補正後
 
スキー場はまわりが雪であるため画面のほとんどがになってしまう。カメラの自動露出機構は、基本的には画面の明るさの平均値が真っ白や真っ黒にならないように働く。雪景色を撮った場合、カメラは画面が白すぎると判断して、雪が灰色になるまで露出を下げてしまう。

右画像がその例で、何だか昭和初期に撮った銀塩写真みたいになっている。ImageFilterのFilter→Generic Filter→Tone Curveを選択してマスターのヒストグラムを見ると、明るさがほぼ半分までしか使われていない事がわかる。そこでヒストグラムの右側の黄色い線(最高輝度)を、グラフの山の始まる点まで左にドラッグしてくる。これによって灰色だった雪が白くなり、何とか見られる絵になった。

これは本来カメラの露出補正を使うってのが正しい方法なのだが、C-840Lの場合毎回ボタンを押さないと露出補正できないので面倒だ。C-900Zoom等のように露出補正値がプリセットできる機種ならば、スキー撮影時は+1.0〜1.5EV程度あらかじめ補正しておくのも手である。


4-2  ガンマ補正

Ski 3
ヒストグラム補正のみ適用
F11.0 1/531秒 フラッシュ発光
Ski 4
左+ガンマ補正1.5適用
 
周りが白で埋められているという事は、極端な逆光条件であるとも言える。逆光の場合はフラッシュを発光させるというのが定番であるが、スキー場の場合ちと難しい条件が入る。

通常のコンパクト銀塩カメラやデジカメに付いているフラッシュは、およそガイドナンバー(GN)6〜10程度の光量を持っている。ISO100のフィルムを使った場合、GNをレンズの絞り値(F値)で割れば、そのフラッシュを使って適正露光で撮れる最大距離がわかる。例えばGN9の場合だと、ISO100のフィルムを使いレンズの絞り値がF3.0という条件で、9÷3.0=3mまでの距離で適正露光が得られるフラッシュという事になる。

しかし基本的にスキー場はとても明るい場所なのである。例えば右画像の場合、撮影データーを見ると絞り値がF11.0となっており、もしCCDがISO100相当の感度で、フラッシュ光量はGN9だとすれば、9÷11.0=82cm以上の距離ではフラッシュは光量不足となる。実際はC-840LはISO64相当だから、F11.0ではせいぜい50cmまでしか届かないだろう。この画像では被写体までの距離は2m位はあるから、フラッシュは光らせないよりは若干マシだがほとんど役に立っていない。

この画像では撮影時にフラッシュは発光しており、背景の雲の1/3位が白飛びする所まで大胆にヒストグラム補正をかけたが、それでもまだ人物は暗すぎる。このような場合は、しょうがないから背景はある程度あきらめて、ガンマ補正を適用して人物を明るくするしかない。ImageFilterの場合、Tone Curveメニューの中にヒストグラムとガンマがあるので、マスターのヒストグラムを設定すると同時にマスターのガンマを変更してしまえばいい。

4-3  ホワイトバランス

Ski 5 Ski 6 Ski 7
補正前
F11.0 1/531秒
Ski 6 hist
青のヒストグラムを補正
Ski 7 hist
マスターのヒストグラムと
ガンマを補正
晴天時のスキー場は、日なたは白、日陰と空は青になり、画像のほとんどが青と白だけになる。よってカメラのオートホワイトバランス機構は、青が多すぎると判断して、青レベルを下げてしまう。晴天時の画像がくすんだ色になってしまうのは、主にこのためだ。

つまりは青のレベルを上げればいいわけだ。これにはImageFilterのFilter→Generic Filter→Tone Curveを選択する。まず青のチャンネルを選び(Bのチェックボックスをクリックする)、ヒストグラム表示の右側の黄色い線をドラッグして、青のくすみが取れる程度に色合いを合わせる。

次にMasterのチャンネルを選び(Masterのチェックボックスをクリックする)、マスターのヒストグラムとガンマを補正すれば出来上がり。

白い雪があるので、ヒストグラム補正の白点補正にスポイトツールが使えるレタッチソフトならそれを使ってもいいが、手でヒストグラム補正した方が色の微調整が効く。また上の画像を見ればわかるが、たとえ雪であっても日陰の部分は青になるという点には要注意。つまりスポイトツールで白点はピックアップできても、灰点は無理だということ。

これを見て、ホワイトバランス固定が出来れば問題ない!とか思う人もいるかもしれないが、昼光色って一体何だろうか?太陽の高さや雲の掛かり具合によって、光の色は常時変わっており、人間の目はそれを常時補正しながら見ている。例えば極端な話、黄色いゴーグルやサングラスを掛けて10分もすれば目が慣れてしまい、周りの景色をまっ黄色だとは認識しなくなる。その後ゴーグルを外すとしばらくは世界が真っ青に見える。つまり昼光色固定だからと言って、記憶に残っているのと同じ色になるとは限らない。オートホワイトバランスによってレタッチ前画像では青がくすんでいるが、逆にオートホワイトバランスのおかげでいつも簡単な補正で記憶に残っているような色が出せているのかもしれない。蛍光燈固定ってのはもっと言語道断である。近所の電気屋さんに売っているだけでも、一体何種類(何色)の蛍光管があるのだろうか?それをたった1種類のプリセットでどうやって補正するってんだ?

4-4  露光オーバー・白飛び

この撮影をしたウィスラーは北緯52度にあり、元々太陽の位置は低い。それに加えて太陽が最も低い12月末に撮影したというのに、上のサンプル画像等では、C-840Lの最大絞り値F11.0と最高シャッター速度1/500秒にまで既に達してしまっている。これが緯度が低い日本のスキー場で太陽が高くなる3月等だと、露光オーバーになって白飛びするかもしれない。一眼レフなら減光用にNDフィルターを付けるところだが、コンパクトカメラではどうしようもない。困ったものだ。



4-5  まとめ:スキー写真のレタッチ


私がフリーウェアのImageFilterを使って、C-840Lで撮ったスキーの画像をレタッチする場合の簡単な手順をまとめてみる。

1:原色エッジのジャギー除去
Filter→Digital Camera Filter→CCD131フィルターを選択する。水平・1-3-1・効果量70%位に設定する。OKを押して適用する。縦位置で撮影した画像は、回転させる前なら水平で、回転後なら垂直で適用する。この原色エッジのジャギーはC-840L/E900/CP600等に固有の現象なので、他機種だと適用量が異なるor適用しない方がいい場合もある。逆にC-840L/E900/CP600等においては、何はともあれ他のフィルター類を掛ける前に無条件でCCD131フィルターを掛ける事をお薦めする。

2:青チャンネルヒストグラムの補正(青色のくすみを除去)
Filter→Generic Filter→Tone Curveを選択する。青チャンネルを選択し(Bのチェックボックスをクリック)、ヒストグラムの右側の黄色い線をドラッグして、雪の白や空&日陰の青が素直な色になるまで青レベルを上げる。なお青レベルがおかしくなるのは晴天時なので、曇天時の画像ではこの処理はスキップする。曇天時の若干の青かぶりは、カメラのオートホワイトバランスが補正してくれる。このまま続けて3:と4:も行なうので、まだTone Curveダイアログは閉じないように。

3:マスターヒストグラムの補正(白レベル、黒レベルの補正)
2:で開いたTone Curveダイアログのままで、今度はマスターチャンネルを選択し(Masterのチェックボックスをクリック)、ヒストグラムの右側の黄色い線をドラッグし、雪の色が自分で納得がいく白さになるまで調整する。同じようにヒストグラム左側の黄色い線もドラッグして、黒い部分も調整する。

4:ガンマの補正
同じくTone Curveダイアログのまま、中間調部分の明るさをガンマのスライダーを動かして調整する。おおざっぱに言って通常だと1.15〜1.30(ImageFilterの表示だと115〜130)、強い逆光条件になっている時は1.4〜1.6くらいが適当だと思う。ここまで終わったら、OKを押して、Tone Curveダイアログを閉じる。

5:彩度の調整
私は今回の画像ではあまり使わなかったが、原色のウェアを着ている人をもっと派手にしたい等の場合は、Filter→Generic Filter→輝度・彩度を選択する。あまり掛けすぎると不自然になるので、彩度+10%程度を目安にするといいと思う。逆に彩度-100%にしてモノクロにしてしまうのもスキー画像だと結構いい感じ。

6:アンシャープマスク
画像のシャープネスを上げたい場合は、Filter→Generic Filter→アンシャープマスクを選択する。これもあまり掛けすぎると不自然になるし暗部のノイズが目立ってしまうので、画面で見るための画像ならしきい値3/ぶれの度合い2/適用率25%位でいいと思う。紙に印刷する際は、画像サイズと用紙サイズによって異なるけど、1280x960画像をハガキサイズに印刷する場合だとしきい値3/ぶれの度合い3/適用率35%位掛けてもいいと思う。

4-6  ImageFilterを使った場合の応用編

ski 8 ski 9
元画像
F11.0 1/226秒
ヒストグラム補正
上下0.25%(RGBフリー)
RGB free

ImageFilterには、RGBフリーでのヒストグラム補正という機能が付いている。これはRGBのヒストグラムを見て自動で白点・黒点補正を行うものだ。今回のスキー画像のようにホワイトバランスが迷走している際にこれを使うと、場合によってはワンタッチで非常に効果的にホワイトバランスの補正が可能だ。スキー画像の場合必ず白い雪があるので、RGBフリーでのヒストグラム補正がうまくキマる可能性がとても高いのである。

右画像は、Filter→Generic Filter→ヒストグラム補正→上下0.25%(RGBフリー)を適用した例。右上の日なた部分の雪にうまく白点がアジャストされたようである。他の部分は日陰なので、雪が少し青くて正解。このように青色のくすみとヒストグラムの眠さがワンタッチで綺麗に補正できた。つまり4-5で説明したうちの2:青チャンネル補正3:マスターヒストグラム補正が一度でできたわけだ。あとはガンマ値を調整して、人物をもう少し明るくすれば出来上がり。

ただし撮影条件によってはうまく補正ができない場合もある。例えば白飛びが発生していると、その白飛び部分を白点として認識してしまい、ホワイトバランスが補正できない。こういった場合は4-5で説明したように、手動での色バランス調整が必要だ。幸いC-840Lは白飛びが非常に少ない設定なので、およそ7〜8割の画像はこの補正が成功する。メーカーにサジェッションしてくれた伊達淳一カメラマンに感謝しよう!

撮影枚数が非常に多い場合、まずこのRGBフリーでのヒストグラム補正を全数に対して行い、うまく補正できなかったものだけを手動で補正するのもうまい手である。この際に便利なのがMulti Filterだ。これはImageFilterの持つ画像フィルター機能のうちいくつかをまとめて、現在開いている画像全て(もしくはアクティブな画像のみ)に一度に掛ける機能だ。

Multi filter まずMulti Filter→フィルターの設定→設定1を開く。右画像はスキー画像用のお薦め設定例だ。設定値は4-5で使ったものと同じだが、読みにくいかもしれないので書いておく。有効になっているのは以下のフィルター。
ガンマ補正
RGBともに130
ヒストグラム補正
高輝度側25、低輝度側25、RGBロックなし
CCD131フィルター
効果量70%、中心画素の重み3、水平のみ有効
アンシャープマスク
しきい値3、ぶれの度合2、適用率%25
ヒストグラム補正グループの中のRGBロックのチェックボックスをクリアしておくと、RGBフリーでヒストグラム補正が適用される。

注意:ImageFilter v4.4はここがBugっていて、チェックボックスをセットしておくと逆にRGBフリーになる。v4.5以降は直っている。

また一番下にある全ウィンドウに適用のチェックボックスをセットしておくと、ImageFilterで開いている全ての画像にこのマルチフィルターが適用される。設定が終わったらOKを押してダイアログを閉じ、あとはツールバーにある指一本ボタンを押せばフィルターが開始する。

スキー場で撮影してきたなら、騙されたと思って一度この設定でやってみて欲しい。下手に全部マニュアルでレタッチするより綺麗になる事もある。

なおパソコンの搭載メモリーが少ない場合、何十枚も一度に画像を開いてマルチフィルターを実行すると処理が非常に遅くなる。このような場合は、フィルター設定の中のUndoを作成しないをチェックしておくとかなり速度が向上する。


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