EPSON PM-700Cの紙選び

EPSONの720dpiインクジェットプリンター、特にPM-700Cというのは、他のインクジェットプリンターと比べて異様にインク噴出量が多く、用紙メーカー泣かせのプリンターとして知られているのだそうだ。では紙を選ぶプリンターPM-700Cに、純正以外の紙を使ったらどうなるのか試してみた。予算の都合もあって、試したのは全て光沢ハガキだ。

印刷に使ったイメージ
Test Image 1 Test Image 2 左のイメージをPM-700Cで300dpiで印刷した。実際の出力サイズは下段のイメージで3.5x1.5cm程度なので、3倍以上に拡大表示されていると思って欲しい。

出力時のプリンタモードはエプソンの専用光沢フィルム以外は専用光沢紙モードに設定したが、コニカ、コダック、フジの3社の紙については専用光沢フィルムモードでも印刷した。

印刷結果をGT-9500を使い600dpiでスキャンした。スキャンの際は画質調整等は一切使っていない。スキャン結果をPicture Publisher 7.0を使い、ガウスぼかし(度数2)、50%にリサイズ(補完付)して、Jpeg(高解像度、圧縮率10)で保存した。

Test Image 3


EPSON カラリオPhoto!!出力用紙
MJA6CP1実売価格 27円/枚 変な名前だが、これはエプソン純正の専用光沢フィルムだ。サイズはA6なので、105x147mmと幅がハガキより5mm広い。PM-700Cの印字品質のリファレンスとなるのは、この純正フィルムだろう。

発色、コントラスト、階調性どれも非常に良く、実に奇麗だ。専用光沢紙でA5サイズで印刷したのと、このフィルムでA6サイズで印刷したのが同じ位のクォリティだと思う。

多分元々の表面の平滑度の良さと、インクを吸い込んでたわまない事が、エプソン自慢のSuper Micro Weave機構と良くマッチするため、階調性が良くなるのだろう。ただちょっと値段が高いのと、裏面に印刷できない事もあってそのままでハガキとして出せないのが欠点。

Epson film 1 Epson film 2
Epson film 3

EPSON フォト・クォリティ・カード
型番:MJHSP3実売価格 17円/枚 ハガキサイズのいわゆる専用光沢紙だ。普通の人は写真を印刷する時には、これを使っている比率が一番多いんじゃないだろうか。

発色、コントラストに関しては専用光沢フィルムを上回るくらい良好だ。価格もそこそこ安い。ただ表面の平滑度が悪いためか、階調表現で少しアラが出る。

しかしさすが純正だけあって、全ての面で標準紙と言えるだろう。確かにこれを使っておけば安心ではある。もしこの紙がなかったら、PM-700Cはこれ程は売れなかっただろう。

Epson film 1 Epson film 2
Epson film 3

Canon カラーBJ用光沢ハガキ
型番:KH-101実売価格 9円/枚 キヤノンBJプリンター用の光沢ハガキだ。最大の特徴は、何といっても1枚10円を切る低価格だ。またどこでも売っているので入手性が良い。

EPSON純正紙と比べると地味目の発色で、コントラストもちょっと低めだ。その分階調性はこっちの方が良い。これは表面の平滑度がEPSONより高いのも効いているようだ。

十分使える程度の印字結果が得られる上に、値段が純正の半分という事で、現在の私の常用紙はこれだ。

Canon 1 Canon 2
Canon 3

Sanwa Supply インクジェットプリンタ用光沢ハガキ
型番:JP-K25HK実売価格 12円/枚 サンワサプライから出ている、汎用インクジェットペーパー。

Canonより更に地味目な発色で、コントラストも低め。でも十分使えるレベルだ。値段も定価は純正なみだけど、実売価格はかなり安い。

またこの紙は表面の平滑度が高いせいか、印刷モードを専用光沢フィルムに設定すると抜群に階調が滑らかに出る。特に雪面の青から白へのなだらかなグラデーションの滑らかさは、専用光沢フィルム以上だ。ただしこの設定だと青が強く出るので、色合いの再調整が必要だ。

Sanwa 1 Sanwa 2
Sanwa 3

KOKUYO インクジェットプリンタ用 はがき用紙 光沢紙
型番:KJ-G2630実売価格 13円/枚 事務用品メーカー コクヨから出ている、汎用インクジェットペーパー。

720dpi対応を謳っており、Canon、Sanwaと比べると若干高い。表面処理はこれらと同系列のサラっとしたものだ。EPSON純正よりは落ちるが、CanonやSanwaに比べれば発色が鮮やかで、コントラストも高い。ただその分だけ、暗部の潰れは若干多くなるようだ。

EPSONの光沢ハガキは高いから使いたくないけど、Canonだとちょっと発色が地味で、と感じた人には好適だろう。

Kokuyo 1 Kokuyo 2
Kokuyo 3

ここまではイケる紙。ここからは困った紙


Fuji Film 光沢ハガキ:専用光沢紙モード
型番:IJC20B実売価格 20円/枚 フジフィルムから出ている汎用インクジェット用紙だ。

この紙は、表面の仕上げはエプソン純正紙によく似ている。同じメーカー製で仕様が違う紙なのかもしれない。またKAOのはがき光沢タイプ、HPのプレミアム・インクジェット光沢ハガキも同じ紙のようだ。

インクはそこそこ吸い込むのだが、インクの量が多いと吸い込んだ後でインクがニジむという困った性質がある。左上イメージの肩の赤い布が、黒く汚れたようになっていたり、右上イメージの木々に積もっている雪がなくなっているのはこのためだ。

Fuji P 1 Fuji P 2
Fuji P 3
Fuji Film 光沢ハガキ:専用光沢フィルムモード
型番:IJC20B実売価格 20円/枚 そこでプリンタモードをインク噴射量のより少なくなる、専用光沢フィルムモードに変更して印刷した。

このモードだと大分マシになり、エプソン純正専用光沢紙と良く似た発色、コントラストだ。ただ若干ニジむようで、純正紙に比べると細部がはっきりせず、ちょっとキレが悪い感じになる。しかし逆にこのニジミによって、ドットの粒状感が押さえられるメリットはある。

値段も純正よりも高いし、あえて買うほどの価値は無い紙だ。

Fuji F 1 Fuji F 2
Fuji F 3

Konica インクジェットプリンタ用光沢紙:専用光沢紙モード
型番:KJP-PC-GH-20実売価格 19円/枚 コニカから出ている、汎用インクジェット用紙。

こいつは表面にレジンコーティングがされており(いわゆるRCペーパー)、平滑度や白さは抜群だ。また裏面に郵便番号の枠等が印刷されていないため、人にそのままあげる時は格好がいい。

しかしRC紙のためにインクの吸い込みが極端に悪く、印刷後にインクがしばらく水滴になって残ってしまう。これによって右上イメージの木々は積っている雪が潰れているし、下イメージの女の子の顔も階調が汚くなっている。

Konica P 1 Konica P 2
Konica P 3
Konica インクジェットプリンタ用光沢紙:専用光沢フィルムモード
型番:KJP-PC-GH-20実売価格 19円/枚 そのためプリンタモードを専用光沢フィルムモードに変更して印刷したのがこれだが、顔の階調などを見ても他と比べて明らかに汚い。

またインクの吸い込みが悪いため、印刷後に重ねておいたり、クリアファイルに保存しておくとインクがドロップアウトして、下の写真のように他の紙やクリアファイルの透明カバー部をインクで汚してしまう

ただこの紙は、黒インクのみで印刷した時の美しさは群を抜いている。しかし値段も純正より高いし、それだけのために買う意味はないだろう。

Konica F 1 Konica F 2
Konica F 3
Konica dropout
インクのドロップアウトで汚れた紙
Kodak スナップショット専用光沢紙:専用光沢紙モード
型番:PWSS-36実売価格 25円/枚 世界のコダックから出ているインクジェット用紙だ。サイズはA6で、コニカ同様、裏に郵便番号枠がなく、銀塩の印画紙同様、薄い色で'Kodak Inkjet Paper'と印刷されている。格好いい!

しかし良いのはここまでで、この紙はコニカ以上にインクを全く吸わない、困った紙だ。紙の上でインクは長時間水滴のままころがっており、乾くまでの間に隣同士で混ざり合ってしまう。だから色の濃い部分はこのようにボケボケになってしまう。

Kdak P 1 Kodak P 2
Kodak P 3
Kodak スナップショット専用光沢紙:専用フィルムモード
型番:PWSS-36実売価格 25円/枚 プリンタモードを専用光沢フィルムモードにしても、これはほとんど改善されず、相変わらずボケボケの画像。

その上コニカ以上にインク吸い込みの悪い紙は、当然コニカ以上にインクのドロップアウトを起こし、重ねた紙やクリアファイルを盛大に汚してくれる

そのくせ実売価格は専用光沢フィルム並みなのだ。この紙だけは絶対に買わない方がいい

Kdak F 1 Kodak F 2
Kodak F 3
Kodak dropout
インクのドロップアウトで汚れた紙

結論

○:EPSON純正紙、キヤノン、サンワサプライ、コクヨ
△:フジフィルム、KAO、HP
×:コニカ、コダック

常用紙としては本当はEPSON純正紙がいいのだけど、やはりちと高いので単価の安いキヤノンかサンワの紙がいいと思う。エプソンの専用光沢紙より若干印刷品質は落ちるが、十分実用レベルだ。もう少し派手目な発色が欲しい時はコクヨ。そして一発キメる時にはやはり専用光沢フィルム、この2系統の使い分けがいいのではないだろうか。また私はそれ以外に、ステッカーやラベル等の作成用に花王ののり付光沢フィルム(型番:KJ KFT 010)というのも使っている。こっちも印刷品質はとてもよいし、のり付というのはなかなか便利だ。

日本での3大印画紙供給元がどれも駄目ってのも、面白い結果だ。どこも銀塩は知ってても、インクジェットプリンターの事はよくわかっていないのだろう。フジの紙(KAO、HPも同じ)は専用光沢フィルムモードだと結構使えるが、印刷クォリティが純正品より良いわけでもないのに単価が純正品より高いんでは、使う意味は全くない。

また今回のテストでは、重ねて保管したのはほんの半日の間だけで、その前に丸1日クリップで吊るして乾燥させている。これ位の条件でインクが紙から剥離してしまうコニカとコダックの紙は、完全に欠陥商品と言える。なおコニカは、インクジェット用光沢ハガキの対応機種からエプソンを外し、エプソン対応用紙はA4用紙のみにするそうだ。まあこの結果ではしょうがないだろう。この新用紙はPhotolike-QPという名前で、これをスーパーファイン専用紙(光沢無しの紙)モードで使うと、かなり良い結果が得られる。

コダックにはこの件についてカスタマーサポートという所に電話を掛けて聞いてみたのだが

「インクが弾けて滲んでしまい、エッジがボケたり色が混ざるんですが」
「PM-700Cはインク量が多いのでファイン専用紙に設定して印刷して下さい。」
「専用紙設定より少なくなる専用光沢フィルム設定にしても駄目だったんですが」
「こちらではPM-700Cでも正常に印刷できてますので...」
「インクの紙面からの剥離も出てるんですが、そういう情報入ってます?」
「そういったケースは聞いてないです」

だそうだ。駄目だこりゃ、コダックが国内セールス振るわないのも、故あるものだなぁと思った。外圧でコダックペーパーを使わざるを得ないような事態にならなければよいが。

Original Printed
Original ImageEPSON専用光沢紙
なお、これらの画像を見て「なんだ、PM-700Cってあんまし奇麗じゃねぇな」と思う人もいるだろう。これらの画像は紙の状態からサイズで比較して約3倍に拡大されており、さらにスキャナーで取り込んだため印刷ドットのモアレが出ている。また色の比較をするために画像の色調整を全く行っていないので、ハイライトがくすんでいる。印刷された現物はとにかく奇麗で、下手な銀塩のプリントを凌ぐ場合もある。今回掲載したイメージも、紙の現物サイズにリサイズしてヒストグラムを調整するとこのようになる。エプソンは実にいい仕事をしている。

最後にちょっと裏技を。最近EPSONからスーパーファイン専用光沢紙(厚口)(MJA4SP7)というのが出た。裏面に薄くEPSON photo paperと書いてあり、ほぼ普通の印画紙相当の厚さがある、とてもかっこいい紙だ。これはA4以上のサイズしかないけど、A4サイズで定価が1枚あたり¥60、実売¥50弱だ。印字品質は従来の専用光沢紙とかわらず、かなり高品位だ。これを4つに切ってハガキとして使えば、1枚あたり12円ほどなので、かなりお買い得だと思う。
TsuruZoh
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