ホーム リスト << 重要判例要旨 最終更新 '08/5/26

インタビュー記事の共同著作物性

「『SMAP』インタビュー記事事件」

平成101029日東京地方裁判所(平成7()19455


【ポイント・論点】

・インタビュー記事は、インタビューを受けた者(口述者)と、そのインタビューを行い、それをもとに記事を書いた者(執筆者)の共同著作物に該当するか。


【判決文】

(注) 下線がある場合、それは筆者によるものです。


1 著作者とは「著作物を創作する者」をいい(著作権法212号)、現実に当該著作物の創作活動に携わった者が著作者となるのであって、作成に当たり単にアイデアや素材を提供した者、補助的な役割を果たしたにすぎない者など、その関与の程度、態様からして当該著作物につき自己の思想又は感情を創作的に表現したと評価できない者は著作者に当たらない。そして、本件において原告らがその著作物であると主張する原告記事のように、文書として表現された言語の著作物の場合は、実際に文書の作成に創作的に携わり、文書としての表現を創作した者がその著作者であるというべきである。

―以下、略


(二) 右以外の原告記事は、その体裁上、原告個人ら(筆者注:スマップの各メンバーのこと)の発言を主たる内容として構成されているところ、インタビュー等の口述を基に作成された雑誌記事等の文書については、文書作成への関与の態様及び程度により、口述者が、文書の執筆者とともに共同著作者となる場合、当該文書を二次的著作物とする原著作物の著作者であると解すべき場合、文書作成のための素材を提供したにすぎず著作者とはいえない場合などがあると考えられる。すなわち、口述した言葉を逐語的にそのまま文書化した場合や、口述内容に基づいて作成された原稿を口述者が閲読し表現を加除訂正して文書を完成させた場合など、文書としての表現の作成に口述者が創作的に関与したといえる場合には、口述者が単独又は文書執筆者と共同で当該文書の著作者になるものと解すべきである。これに対し、あらかじめ用意された質問に口述者が回答した内容が執筆者側の企画、方針等に応じて取捨選択され、執筆者により更に表現上の加除訂正等が加えられて文書が作成され、その過程において口述者が手を加えていない場合には、口述者は、文書表現の作成に創作的に関与したということはできず、単に文書作成のための素材を提供したにとどまるものであるから、文書の著作者とはならないと解すべきである。

これを本件についてみるに、原告個人らが、発言がそのまま文書化されることを予定してインタビューに応じたり、記事の原稿を閲読してその内容、表現に加除訂正を加えたことをうかがわせる証拠はなく、かえって、前記認定の原告記事の作成経過からすれば、原告個人らに対するインタビューは、原告出版社らの企画に沿った原告記事を作成するに際して、素材収集のために行われたにすぎないものと認められる。
(三) したがって、原告個人らを原告記事の著作者ということはできない。