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ホーム << コラム 最終更新 '08/4/9

『業界関係者必読!コンテンツビジネスと下請法』

-コンテンツ・エンターテイメント業界における適正なコンプライアンス経営のために-

>> はじめに
>> 下請法の概要
>> 下請法の対象となるコンテンツ取引の具体例
>> 親事業者の禁止行為

はじめに

 「親事業者」から「下請事業者」へ発注されるさまざまな委託業務(下請取引)では、その市場における影響力(資本力やネームバリュー等)を背景として、仕事を発注する親事業者の方が、仕事を「いただく」下請事業者よりも、さまざまな場面で優位な立場にある場合が多いといえます。例えば、親事業者の一方的な都合によって下請け代金の支払を延ばしたり、代金の不当な値下げを要求したり、納入した物品の受領を拒否したり、不当な返品をしたりと、下請事業者にしてみれば、その受ける可能性のある不利な扱いを挙げれば切りがありません。

一方、「コンプライアンス経営(法令遵守経営)」や「企業の社会的責任」が厳しく問われる昨今では、仕事を下請けに発注する親事業者にしても、いわゆる「下請けいじめ」のような行為をすれば、公正取引委員会から「勧告」等の措置を受けるだけでなく(勧告措置を受けた親事業者は、公取委のHPで公表されています)、企業イメージやブランドに対する社会的評価の著しい低下を招き、経営に対してマイナスの影響を与えることは避けられません。法令を遵守し、適正なコンプライアンス経営を遂行するためには、親事業者の社内体制の整備は不可欠であり、社内の担当者に対する遵法意識の徹底を図るとともに、経営責任者を中心とする遵法管理体制を確立することが求められるでしょう。

経済のソフト化等に対応するための平成15年法改正によって、下請法(正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といいます。)は、製造業や修理業のみならず、コンテンツ産業・エンターテイメント業界(ソフトウェア開発、ゲームソフトやアニメーション制作、映画やテレビ番組、CMの製作、雑誌広告、情報処理等)に広くかかわる法律となっています。

 下請法に対する正確な知識を身に付けることは、自らを自らの手で防衛する必要のある弱い立場の「下請事業者」にとって必須であることはもちろん、コンプライアンス経営に対する社会の厳しい目にさらされている「親事業者」にとっても避けて通ることができない課題であるといえるでしょう。




下請法の概要


下請法は、「公正な下請取引」を担保するための法律です。

 下請法は、その第1条(目的)で、次のように規定しています:

 「この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによって、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。」

 つまり、下請法は、親事業者(発注者)の下請事業者(受注者)に対する「下請取引の公正化」を図り、「下請事業者の利益を保護」することを第一の目的としています。


下請法は、その規制対象を「資本金区分」と「取引内容」によって定めています。
さらに、その対象となる下請取引は、物品の製造・修理業務から各種コンテンツ制作、情報処理までさまざまなサービス分野にも幅広く適用されます。


 まず、下請法の対象となる下請取引は、その委託される取引内容によって、「製造委託」・「修理委託」・「情報成果物作成委託」・「役務提供委託」の4つの委託取引に大別されており、その適用対象となる委託取引(下請取引)は製造業からサービス業まで多岐に渡っています。


1
.製造委託

「製造委託」とは、物品の販売や製造を営む事業者(販売業者、製造業者)が他の事業者に物品の製造を委託する等の取引をいいます(21項)。

2.修理委託

「修理委託」とは、物品の修理を営む事業者(修理業者)がその修理の全部又は一部を他の事業者に委託する等の取引をいいます(22項)。

3.情報成果物作成委託

「情報成果物作成委託」とは、プログラム(ゲームソフト、会計ソフト等)、映像コンテンツ(映画、アニメ等)、テレビ番組、CM、設計図、雑誌広告などの「情報成果物」の提供や作成を営む事業者が他の事業者にその作成を委託する等の取引をいいます。

より正確に言いますと、「事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること」をいいます(23項)。

 ここで「情報成果物」とは、次に掲げるものを指しています(261号〜3号)。

@ プログラム

例:ゲームソフト、会計ソフト、家電製品の制御プログラム、顧客管理システム

A 映画、放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの

例:テレビ番組、テレビCM、ラジオ番組、映画、アニメーション

B 文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの

例: 設計図、ポスターのデザイン、商品・容器のデザイン、コンサルティングレポート、雑誌広告

「情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する」とは、情報成果物の作成のうち、@情報成果物それ自体の作成、A当該情報成果物を構成することとなる情報成果物の作成を、他の事業者に委託することをいいます。例えば、「ゲームソフト」の場合、そこに用いられる「プログラム」・「映像データ」・「BGM等の音響データ」・「シナリオ」・「キャラクターデザイン」などが「構成することとなる情報成果物」に該当します。また、「放送番組」であれば、「コーナー番組」・「番組のタイトルCG」・「BGM等の音響データ」・「脚本」・「オリジナルテーマ曲の楽譜」などが「構成することとなる情報成果物」に該当します。「アニメーション」の場合であれば、「セル画、背景美術等」・「BGM等の音響データ」・「脚本」・「絵コンテ」・「キャラクターデザイン」・「オリジナルテーマ曲の楽譜」などが「構成することとなる情報成果物」に該当します。

4.役務提供委託

「役務提供委託」とは、運送やビルメンテナンス、顧客サポート(アフターサービスやコールセンター)など、各種サービスの提供を営む事業者がその請け負った役務(サービス)の全部又は一部を他の事業者に委託する取引をいいます(24項)。

 次に、下請法では、取引を発注(委託)する事業者の資本金、仕事を受注する事業者の資本金等によって「親事業者」・「下請事業者」を定義し、取引内容に応じて規定されている「資本金区分」(下記の図を参照)に該当する場合に、当該取引を下請法の適用対象となる下請取引としています。

1.「製造委託」・「修理委託」・「情報成果物(プログラムに限る。)作成委託」・「役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管、情報処理に限る。)」

          親事業者                             下請事業者


2.「情報成果物(プログラムを除く。)作成委託」・「役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管、情報処理を除く。)」

          親事業者                             下請事業者


下請取引に当たっては、「親事業者」には、4つの遵守義務があります。


1.発注書面(注文書)の交付義務(3条)

親事業者の違反行為の未然防止及び口頭発注によるトラブルを未然に防止するため、親事業者は、発注に当たっては、原則として、下請事業者に対し、直ちに、発注内容に関する具体的な記載事項(下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項)を記した書面(いわゆる「3条書面」)を下請事業者に交付しなければなりません。

2.取引記録の書類の作成・保存義務(5条)

下請取引が完了した場合、親事業者は、下請事業者の給付内容、支払った下請代金の額、支払った日及び支払手段など、当該下請取引に関する記録を書面として作成し、これを2年間保存しなければなりません。

3.下請代金の支払期日を定める義務(2条の2

支払期日の不当な変更や支払遅延により、下請事業者の経営が不安定になることを防止するために、親事業者は、下請事業者との合意によって、下請代金の支払期日を事前に定めることが予定されています。この場合、下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から60日内で、かつ、できる限り短い期間になるように定められなければなりません。

4.支払が遅れた場合の遅延利息の支払義務(4条の2

親事業者が下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかった場合には、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から起算して60日を経過した日から実際に支払いが行われる日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に年率14.6%を乗じた金額を遅延利息として支払わなければなりません。

 なお、3条書面を交付しなかった場合及び取引記録の書類の作成・保存義務(5条)に違反した場合には、親事業者には、50万円以下の罰金が科せられます(10条)。

 

「親事業者」には、受領拒否の禁止、下請代金の減額の禁止等、11項目にわたる禁止行為が定められています。これらについては、後述します。




下請法の対象となるコンテンツ取引の具体例


 以下に、下請法の対象となるコンテンツ取引の主要な事例を列挙します。上述しましたように、取引内容に応じて規定されている「資本金区分」に当該コンテンツ取引が該当する場合に、その取引が下請法の適用対象となります。

 なお、以下の事例はすべて、公取委から公表されています「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」(いわゆるガイドライン)に記載されているものです。もっとも、以下に掲げる事例は下請法の適用対象となる代表的・典型的なものであって、これら以外の取引は問題にならないというわけではありませんので注意してください。


● 出版社が、その販売する書籍や雑誌などの出版物の印刷を印刷業者に委託すること。


● ソフトウェア開発業者が、消費者に販売するゲームソフトのプログラムの作成を他のソフトウェア開発業者に委託すること。

● ソフトウェア開発業者が、ユーザーに提供する自社の汎用アプリケーションソフトの一部の開発を他のソフトウェア開発業者に委託すること。

● 放送事業者が、その放送するテレビ番組やラジオ番組の制作を外部の番組制作業者に委託すること。

● パッケージソフトウェアの販売業者が、その販売するソフトウェアの内容に係る企画書の作成を他のソフトウェア業者に委託すること。

● 家電製品製造業者が、消費者に販売する自社の家電製品に内蔵する制御プログラムの開発を外部のソフトウェア開発業者に委託すること。

● 広告会社が、クライアント(広告主)から受注したテレビCMを外部のCM制作業者に委託すること。

● ソフトウェア開発業者が、ユーザーから開発を請け負うソフトウェアの一部の開発を他のソフトウェア開発業者に委託すること。

● デザイン業者が、その請け負って製作するポスターデザインの一部の作成を他のデザイン業者に委託すること。

● テレビ番組制作業者が、その請け負って制作するテレビ番組のBGM等の音響データの制作を他の音響制作業者に委託すること。

● テレビ番組制作業者が、その請け負って制作するテレビ番組に係る脚本の作成を脚本家に委託すること。

● 工作機械メーカーが、ユーザーから請け負って製造する工作機械に内蔵するプログラムの開発を外部のソフトウェア開発業者に委託すること。

● 事務用ソフトウェア開発業者が、自社向けの会計用ソフトウェアの一部の開発を他のソフトウェア開発業者に委託すること。

● デザイン業者・広告会社が、コンペ(試作競技)に参加するに当たり、デザインの作成を他のデザイン業者に委託すること。

● 家電メーカーが、自社内部のシステム部門で作成する自社用経理ソフトの作成の一部を他のソフトウェア開発業者に委託すること。

● デジタルコンテンツ会社が、自社のホームページのコンテンツの作成を他のホームページ制作会社に委託すること。

● 広告会社が、広告主から請け負った商品の総合的な販売促進業務の一部の行為である商品の店頭配布を外部のイベント会社に委託すること。

● ソフトウェアを販売する事業者が、その販売するソフトウェアの顧客サポートサービス(例えば、コールセンター業務)を他の顧客サービス代行会社に委託すること。



親事業者の禁止行為


 下請法の適用対象となる委託取引(下請取引)においては、「親事業者」には、次に掲げる11項目にわたる禁止行為が定められています。

1.受領拒否の禁止(4条1項1号)

 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、親事業者が、下請事業者の給付(親事業者が発注した物品や作成物)の受領を拒むことです。

【違反行為事例】

● 親事業者が下請事業者に放送番組の制作を委託し、下請事業者は放送番組の作成を既に完了したところ、親事業者が指定した番組出演者に係る不祥事が発生したことを理由として当該番組を放送しないこととし、当該放送番組のVTRテープを受領しない場合。

● 親事業者(物品製造業者)が、下請事業者に対して設計図面の作成を委託したが、自社製品の製造計画が変更になったとして当該設計図面を受領しない場合。

● 親事業者(広告会社)が、下請事業者に対して広告の制作を委託したが、広告主の意向により、テレビ放送を用いた広告を行うことを取りやめたため、既に下請事業者が制作したテレビCMのVTRテープを受領しない場合。

2.下請代金の支払遅延の禁止(4条1項2号)

親事業者が、その発注した物品等の受領日から60日以内で定められている支払期日の経過後なお下請代金を支払わないことです。

【違反行為事例】

● 親事業者が、放送番組の制作を下請事業者に委託し、放送日を起算日とする支払制度を採っているところ、放送が当初の予定日より遅れるなどして受領日と放送日が開くことにより、納入後60日を超えて支払が行われる場合。

● 親事業者が、毎月1本ずつ放送される放送番組の作成を下請事業者に委託しているところ、下請事業者から数回分まとめて納入され、それを受領したにもかかわらず、放送された放送番組に対して下請代金の額を支払う制度を採用していたため、一部についての支払が納入後60日を超える場合。

● 親事業者は、下請事業者にプログラムの作成を委託し、検収後支払を行う制度を採用しているところ、納入されたプログラムの検査に3か月を要したため、支払が納入後60日を超える場合。

● 親事業者が、下請事業者に対してユーザー向けソフトウェアの開発を委託しているが、ユーザーからの入金が遅れていることを理由として、下請事業者に対して、あらかじめ定めた支払期日に下請代金を支払わない場合。

3.下請代金の減額の禁止(4条1項3号)

 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、親事業者が、発注時に決定した下請代金を発注後に減額することです。

【違反行為事例】

● 親事業者が、下請事業者との間で毎月の役務の提供に対して下請代金を支払うこととしているところ、契約を改定することにより、単価の引下げを行い、引き下げられた単価をさかのぼって適用し、当初の単価で計算された下請代金と新単価で計算された下請代金との差額を翌月の下請代金の支払から一括して差し引く場合。

● 親事業者が、下請事業者との間で年間の役務提供契約を締結しているところ、年度末に、年間の一定の期間についてその期間は契約の対象外であったことにする旨の通知を行い、季節協力金という名目で下請代金から差し引く場合。

● 親事業者が、下請事業者に対してプログラムの作成を委託しているところ、作業の途中で当初指示した仕様の変更を申し入れ、下請事業者は、プログラマーの都合がつかないことを理由に断ったが、親事業者は一方的に仕様を変更し、下請事業者は残業してこの変更に対応しようとしたが納期に間に合わず、親事業者が納期遅れを理由として下請代金から減額を行う場合。

● 新商品の総合的な販売促進業務を請け負った親事業者が、下請事業者に対してポスターに使用するデザインの作成を委託したが、親事業者が他の事業者に委託した他の販売促進にかかる経費に予定よりも多く出費したため、予算が無いことを理由として下請代金の減額を行った場合。

● 親事業者が、下請事業者に対してユーザーサポート業務を委託したが、問合わせ件数が少なかったことから当初の下請代金を減額する場合。

4.返品の禁止(4条1項4号)

 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、親事業者が、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせることです。

【違反行為事例】

● 親事業者が、下請事業者から受領した放送番組について、毎週継続的に放送する予定であったが、視聴率が低下したことを理由として放送を打ち切り、納入された放送番組が記録されたVTRテープを下請事業者に引き取らせる場合。

5.買いたたきの禁止(4条1項5号)

 親事業者が、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めることです。

【違反行為事例】

● 親事業者は、自ら作成・販売するゲームソフトを構成するプログラムの作成を、下請事業者に対して下請代金の額を定めずに委託したところ、当該プログラムの受領後に、下請事業者と十分に協議をすることなく、通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定める場合。

● 親事業者が、制作を委託した放送番組について、下請事業者が有する著作権を親事業者に譲渡させることとしたが、その代金は下請代金に含まれているとして、下請事業者と著作権の対価にかかる十分な協議を行わず、通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定める場合。

6.物の購入強制・役務の利用強制の禁止(4条1項6号)

 下請事業者に発注する物品の品質を維持するなど、正当な理由がないのに、親事業者が指定する物を強制して購入させたり、役務を強制して利用させることです。

【違反行為事例】

● 親事業者は、下請事業者に対して放送番組の作成を委託しているところ、自社の関連会社が制作した映画等のイベントチケットの購入を数百枚単位であらかじめ下請事業者ごとに枚数を定めて割り振り、下請事業者に購入させる場合。

● 広告会社である親事業者が、広告制作会社に年始の名刺広告への参加を要請したのに対して、名刺広告の効果を把握するために参加したが、効果が乏しく、翌年以降は参加しない旨を親事業者に伝えていたにもかかわらず、翌年から年末になると参加を前提として申込書を送付し、再三参加を要請することにより、当該名刺広告に参加することを余儀なくさせる場合。

7.報復措置の禁止(4条1項7号)

 親事業者が一定の違反行為をしている場合等に下請事業者が公正取引委員会や中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすることです。

8.有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(4条2項1号)

 親事業者が有償で支給する原材料等で下請事業者が物品の製造等を行っている場合に、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該原材料等を用いる給付に対する下請代金の支払期日より早い時期に、支払うべき下請代金の額から当該原材料等の対価の全部若しくは一部を控除したり、又は当該原材料等の対価の全部若しくは一部を支払わせることです。

9.割引困難な手形の交付の禁止(4条2項2号)

 親事業者が下請代金を手形で支払う際に、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することです。

10.不当な経済上の利益の提供要請の禁止(4条2項3号)

 親事業者が自己のために、下請事業者に金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることです。

【違反行為事例】

● ソフトウェアの作成を下請事業者に委託している親事業者が、下請事業者の従業員を親事業者の事業所に常駐させ、実際には当該下請事業者への発注とは無関係の事務を行わせている場合。

● 親事業者が、下請事業者にデザイン画の作成を委託し、下請事業者はCADシステムで作成したデザイン画を提出したが、後日、委託内容にないデザインの電磁的データについても、対価を支払わず、提出させる場合。


11.不当なやり直し等の禁止(4条2項4号)

 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、親事業者がよって生じる費用を負担することなく、下請事業者の給付の内容を変更させたり、又は下請事業者の給付を受領した後に(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした後に)給付をやり直させることです。

【違反行為事例】

● 親事業者が、テレビ番組の制作を委託していた下請事業者に対して、いったん親事業者のプロデューサーの審査を受けて受領された番組について、これの試写を見た親事業者の役員の意見により、下請事業者に撮り直しをさせたにもかかわらず、撮り直しに要した下請事業者の費用を負担しない場合。

● 親事業者が、既に一定の仕様を示して下請事業者にソフトウェアの開発を委託していたが、最終ユーザーとの打ち合わせの結果仕様が変更されたとして途中で仕様を変更し、このため下請事業者が当初の指示に基づいて行っていた作業が無駄になったが、当初の仕様に基づいて行われた作業は納入されたソフトウェアとは関係がないとして当該作業に要した費用を負担しない場合。

● 親事業者が、下請事業者に対してソフトウェアの開発を委託したが、仕様についてはユーザーを交えた打合せ会で決めることとしていたところ、決められた内容については書面で確認することをせず、下請事業者から確認を求められても明確な指示を行わなかったため、下請事業者は自分の判断に基づいて作業を行い納入をしようとしたところ、決められた仕様と異なるとして下請事業者に対して無償でやり直しを求める場合。

● 親事業者が、定期的に放送されるテレビCMの作成を下請事業者に委託したところ、完成品が納入された後、放映されたテレビCMを見た広告主の担当役員から修正するよう指示があったことを理由として、親事業者は、下請事業者に対して、いったん広告主の担当まで了解を得て納入されたテレビCMについて修正を行わせ、それに要した追加費用を負担しない場合。

● 親事業者が下請事業者に対してデザインの作成を委託したところ、親事業者の担当者が人事異動により交代し、新しい担当者の指示により委託内容が変更され追加の作業が発生したが、それに要した追加費用を親事業者が負担しない場合。

 なお、親事業者が以上の禁止行為を行った場合には、公正取引委員会から所定の「勧告」措置を受けることになり(7条)、この勧告が行われた時点で、必要に応じて、その旨が公表されます。

以上




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