ビジネス契約書作成に対する当事務所の基本的な考え方
以前、都内の某広告デザイン会社の経営者の方から次のような依頼が持ち込まれたことがありました。
その広告デザイン会社は自社が管理するキャラクターについて「ライセンスビジネス(商品化権ビジネス)」を企画していて、そのビジネスを今後迅速に展開していくために「キャラクター商品化権契約書」を必要としていました。そこで、自社の顧問弁護士さん(その方は著作権を専門とはしていないようでした)に当該契約書を作成してもらうことになりました。出来上がった契約書を見てその経営者の方は「ちょっと・・・」と思ったらしく、当事務所にその契約書の修正を依頼されてきました。
見せられたその契約書はA4版片面3枚の分量で、私には、非常のなじみのある文面でした。というのは、契約書の作成を専門に扱っている行政書士や弁護士は、大抵、1冊が非常に分厚くてそれが何巻もある加除式の契約書専門の雛形集(これは一般の書店では販売されていません)を持っているのですが、私が見せられたその契約書は、その雛形集のなかに収録されているものと全く同じ文面だったからです。
専門家が持っているこういった雛形集の中には非常に良くできているものもあり、具体的事案に応じて少々条項の手直しをすれば済むものもあります。しかしながら、専門的な立場からすると、雛形に「名前」や「金額」、「日付」だけを書き込めばそれで「安全安心な契約書」を作成できる、ともしお考えになっていらっしゃる方があれば、それは危険な考えです。
将来起こりうるビジネス上のリスクは実に多種多様です。ビジネスの中身や相手方当事者によって当然予想しうるリスクの中身も変化します。従って、かりに同じ表題(タイトル)の契約書であっても、リスクが異なれば、すなわちビジネスの中身が異なれば、そのリスク・ビジネスを管理する契約書の条項も当然に違ったものになります。
当事務所では、専門家なら誰でも入手できるような一般的な雛形をそのままお客様に提示するようなことはしておりません。というより、これは、上述したとおり、お客様1人1人のビジネスの中身を考慮すれば実質上不可能であると考えるからです。
ご承知のとおり、アメリカは、日本と比較にならないほどの、日本人の感覚からすると「冷淡」と言えるほどの「契約社会」であり、そこでは何をするにも「契約」が幅を利かせています。多民族の移民国家であるアメリカと日本を単純に比較することはもちろんできませんが、米国社会のように、さまざまな社会的・文化的背景を背負った者同士がビジネスを行う国際ビジネスの場面でも、契約書の出来不出来が後々の会社の存亡に関わることは珍しいことではありません。
「契約書」は、将来起こりうるリスクを可能な限り分析・予測し、これを極力軽減して、ビジネスを迅速・的確に遂行するために作成するものである―これが、ビジネス契約書作成に対する当事務所の基本的な考え方です。
当事務所では、ビジネス契約書作成に関してお客様よりご相談・ご依頼があると、まず、お客様の考えていらっしゃるビジネスの中身を「じっくり」伺うことからはじめます。もちろんすべてのビジネスリスクを事前に100%予測することは不可能ですが、このステップをなおざりにすると当該ビジネスの遂行の妨げとなりうる「リスク」を正確に分析・予測できないからです。
はじめにお客様のビジネスのお話をじっくり聞かせていただくこと―当事務所はこの段階を非常に重視し、大切にしています。
最初の話に戻りますが、経営者の方からお考えになっているキャラクタービジネスの中身をじっくり伺った上で、最終的に、当事務所が1から契約書を作成し直すことになりました。出来上がった契約書はA4版片面8枚(プラス付属書面1枚)になりました。当事務所のオリジナルの契約書です。
「(最初の契約書と)全然違いますね!ありがとうございました」―そう言って頂けたときは、満足していただいてありがたいという思いと同時に、身が締まる思いにもなります。
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