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ホーム << キーワード解説 最終更新 '08/09/04

著作物の利用許諾(ライセンス供与)

>> 著作権法63条

1.著作権行使の基本的な態様

  著作権者が自己の著作権を行使する最も基本的で普通のやり方は、自己の著作権に係る著作物を経済的に利用する権限を他人に付与することです。

  この点、現在、著作権の国際的な枠組みを支えている最も重要な条約の1つである「ベルヌ条約」では、そこで認めている各種の権利(著作権)について、「著作者は、・・・(著作物を他人に)許諾する排他独占的権利を有する[享受する]」(“Authors…shall have[enjoy] the exclusive right of authorizing”)と規定しています(例えば、ベルヌ条約9参照)。つまり、著作権とは、他人に一定の(経済的な)利用行為を許諾することをその中心的な権利行使の態様としている、と言えそうです。著作権者は、現実には、著作権のこの基本的な権利行使の態様である「許諾」によって、「ライセンス料」や「ロイヤリティー収入」を得ています。著作権が、「著作財産権」と呼ばれるのは、まさにこのような事情が背景にあるからです。


以上のような理由で、著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾する(ライセンスを供与する)ことができます(631項)。第三者の立場から言うと、保護期間の経過していない他人の著作物の利用を欲する者は、著作物の自由利用が許される場合を除き、著作権者から当該著作物の利用についての許諾を受けておかなければなりません。この許諾を得ておかないと、著作権を侵害することになります。許諾契約(ライセンス契約)の際には、「許諾料(ライセンス料)」や「使用料(ロイヤリティー)」の名目で、著作権者(ライセンサー)が一定額の金銭を当該第三者(ライセンシー)に要求するのが通常です。これによって著作権者の経済的収益が図られることになります。この点は、上述したとおりです。


  「許諾(ライセンス供与)」は、著作権者と著作物の利用を求める者との間の「許諾(ライセンス)契約」(出版契約、放送契約、映画化契約等)によってなされます。許諾によるこの利用権は「債権的効力」しか有さないため、著作権者が同一範囲内での著作物の利用の許諾を誰か別の者に与えることに文句をつけることは原則としてできません。また、実際に自分が許諾を受けている利用行為と同一の範囲で第三者に許諾が行われた場合に、そのような第三者の当該著作物の利用行為に対して文句をつけることもできません。
 以上のような事態は、許諾を受ける者(ライセンシー)にとってはあまりおもしろいことではありません。そこで、ライセンス契約において、「著作権者は当該著作物を同一の利用方法で第三者に許諾を与えることはできない」旨の特約がなされる場合があります(このような特約を一般に「排他的許諾」とか「独占的許諾」と言って、かかる特約の付されていない一般的な許諾(「単純許諾」などと呼んでいます。)と区別する場合があります)。

  両者の違いを簡単に解説すると、例えば、ある小説家Aが出版社Bに対して出版の許諾を与える場合に、
  @その許諾が「排他的(独占的)許諾」であるときは、AB以外のCDE…の出版社に対して同一の著作物の出版許諾を与えることは許されず、あえてこれを行えば、Bより契約違反を理由として損害賠償などの責任を追及されることになります。一方、
  Aその許諾が「単純許諾」であるときは、AB以外のCDE…の出版社に対して同一著作物の出版許諾を与えることが可能であり、Bはそれに対して何ら異議を述べることはできません。


2.許諾を受けた者(ライセンシー)の権利義務

  著作権者から許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において当該著作物を適法に利用することができます(632項)。その許諾の範囲を超えた利用は当然にはできません。当たり前の話です。

例えば、ある小説家Aからその小説(著作物)の「朗読」(口述権に属する)についての許諾を得た者は、その小説を公の場で朗読することはできますが、これを、例えば「出版」することは許されず、あえて出版行為を行えば小説家Aの著作権(複製権・譲渡権)を侵害することになり、Aより発行差止や損害賠償の請求を受ける可能性があります。

  ここで「利用方法」とは、複製や演奏、上映、公衆送信等といった著作物の利用態様、著作物の複製部数・利用回数・利用時間(期間)などをいい、「条件」とは、著作物利用の対価の額やその支払方法、独占的な利用か・非独占的な利用か等の条件をいいます。

  許諾に係る利用権は、著作権者の承諾を得ない限り、勝手に他人に譲渡することはできません633項)。契約当事者間の信頼関係に配慮した規定です。従って、ある利用権が著作権者の承諾を得ずに第三者に勝手に譲渡された場合、当該譲渡はその譲渡契約の当事者(譲渡人と譲受人)の間では有効ですが、当該第三者(譲受人)は、自己が当該利用権を取得したことを著作権者に対抗することができないため、結局、その第三者(譲受人)の当該利用行為は、著作権者に対する関係では当該著作権の侵害に当たります。


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