第一発行・公表年月日登録


解説

 「第一発行・公表年月日登録」とは、著作物を最初に発行又は公表した年月日を文化庁に登録する制度です。著作権法は、本登録について、次のように規定しています。

 「著作権者又は無名若しくは変名の著作物の発行者は、その著作物について第一発行年月日又は第一公表年月日の登録を受けることができる」(76条1項)

 それでは、以上のような第一発行・公表年月日登録を受けることによってどのような利点があるのでしょうか。注目すべき点として、「最初の発行・公表の推定」と「著作権の実質的公示」を挙げることができます。

1.第一発行・公表の推定

 本登録を受けることによって、当該登録にかかる著作物については、第一発行年月日又は第一公表年月日として登録された年月日に最初の発行又は公表があったものと法律上推定されます(76条2項)。このため、公表時を起算点として著作権の保護期間が定められている著作物―無名・変名の著作物(52条1項本文)、団体名義の著作物(53条1項)、映画の著作物(54条1項)―については、本登録にかかる第一発行年月日又は第一公表年月日の翌年から保護期間の終期が計算されることになります。この結果、訴訟等の場面で、本登録にかかる著作物についてその保護期間の終期の起算点を争う者がある場合には、その者は反証を挙げてこの推定を覆さなければなりません。これは、本登録を受けている者にとって有利です。

2.著作権の実質的公示

 本登録においては、著作物が最初に発行・公表された地域や著作権者名、著作者名、さらには著作物の内容(概要)等が、文化庁という国家機関に登録されます。そのため、本登録は、著作物・著作権を実質的に公示する機能を持ち、これに伴う副次的な効果は決して少なくありません。すなわち、本登録を受けておけば、例えば、登録にかかる著作物が登録にかかる著作者によって登録にかかる年月日以前にはすでに創作されていたという事実を立証することが容易になりますし、また、登録にかかる著作物やその著作権を取引する際に、相手方に登録証(著作権登録原簿謄本)を提示すること等によって、円滑な取引が期待できます。

第一発行・公表年月日登録を受けるに当たっての留意点

 ・ 本登録を受けることができる者は、「著作権者(無名・変名の著作物については、著作権者又は発行者)」です(76条1項)。著作権を有しなくなった著作者は、本登録を受けることができません。なお、無名・変名著作物にあっては必ずしも著作権者を特定できるとは限らないことから、「発行者」(出版者等)が登録を受けられる道も開いています。

 ・ 「変名」の著作物の著作権者又は発行者は、その変名の「周知性」の程度如何にかかわらず、本登録を受けることができます。

 ・ 著作権法上、著作物の「公表」は、著作物の「発行」よりも広い概念です(3条・4条参照)。著作物が未だ「発行」されていない場合でも法上の「公表」に該当している場合には、「第一公表年月日」の登録が可能です。著作権法上の「発行」・「公表」に該当するかどうかの判断は少々面倒ですので、疑義がある場合には当事務所にお尋ねください。


関連項目

>> キーワード:著作権の保護期間