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解説
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複製権者(著作権法21条の権利を有する者)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができます(79条1項)。
「出版権」とは、ひと言でいうと、著作物を出版(複製頒布)することに関する「排他的権利」(一種の物権的権利)のことです。ライセンス契約によって複製権者から「出版することの許諾を受けた者が有する、著作物を出版できる権利」とは違います。こちらは債権です。物権と債権とは法律上大きく異なります。物権の方が権利として強い、といえます。
次に述べますように、業界関係者の中ですら、「出版権設定契約」と「出版(許諾)契約」の違いを知らないか、もしくはその違いをあまり意識していない方も時折見受けられます。注意の要するところです。
この出版権の「設定」は、「複製権者」とその著作物を「文書又は図画として出版することを引き受ける者」との「出版権設定契約」によってなされます。ここで「文書又は図画として出版することを引き受ける者」とは、自ら著作物を文書又は図画として出版(複製して、これを公衆に頒布する一連の行為)することを予定し、かつ、その能力を有する者をいうと解されます。従って、単に出版に関する「仲介」や「代理」のみを行っている者、あるいは単に「印刷」だけを請け負う者は、ここにいう「出版することを引き受ける者」には該当しません。
出版権を「設定」するためには、単に「出版契約」(利用許諾契約(ライセンス契約)の一種)を結んだだけでは足りません。契約書中に「複製権者は、他の出版者に同一の著作物を使用させてはならない」とか、「複製権者は、出版者に対し独占的に出版することを許諾する」旨の文言を用いている場合であっても、この契約は、一般に「出版権設定契約」とは解されません。「(排他的)出版許諾契約」と解されます。出版権を設定するのであれば、その旨の意思表示を契約書中に明確に定めておくことが重要です(下記の「重要判例」を参照してください)。
出版権を設定できる者は「複製権者」に限られます(複製権に質権が設定されているときは質権者の同意が必要(79条2項))が、当該複製権(21条)の内容は、「文書又は図画として」印刷・出版するという出版権の内容に対応するものでなければなりません。従って、複製権であっても、「録音権」や「録画権」を有するに過ぎない者は、ここにいう「複製権者」には当たらず、出版権の設定当事者になることはできません。
上記に関連して、書籍や画集、図鑑、写真集、音譜集などが「文書又は図画」の典型と考えられるため、ビデオやカセット、CDなどの録音物・録画物は、これに含まれないと解されます。
なお、以上のような出版権を設定した場合、その旨を第三者に「対抗」(主張)するためには、文化庁に「登録」しておかなければなりません(88条1項1号)。例えば、複製権者AがBとCに対し二重に出版権を設定した場合、BとCとの間の優劣は、この登録の有無によって決せられます。かりにCが先に登録したときは、Bは(たとえ設定契約がCより先であっても)、Cに対して自己の出版権を主張することはできず、Bがあえて出版行為をすればそれはCの出版権を侵害することになります。このように「二重設定」のおそれがあるような場合には、リスクマネジメントの観点から設定登録を備えておくことが賢明といえるでしょう。
なお、出版権を侵害した不法行為者はここにいう「第三者」には当たらず、従って、侵害者に対しては、出版権の登録がなくても、損害賠償等の請求ができるものと解されます。
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