著作権等管理事業


解説

 「著作権等管理事業」を行おうとする者は、文化庁長官の登録を受けなければなりません(著作権等管理事業法3条)。そして、この登録を受けて「著作権等管理事業」を行う者を「著作権等管理事業者」といいます(同法2条3項)。
 
 いわゆる著作権管理ビジネスには様々な形態が考えられますが、法に規定する「著作権等管理事業」に該当するビジネスを企図している方は、法に基づく登録を受けなければなりません。一方、「著作権等管理事業」に該当しないビジネス形態であれば、この登録を受けなくても、法の規制を受けることなく当該ビジネスを展開することが可能です。
 それでは、文化庁長官の登録を受けなければ行うことができない「著作権等管理事業」とはどのようなビジネス形態をいうのでしょうか?ここでは、この点について解説します。

 「著作権等管理事業」とは、「管理委託契約に基づき著作物等の利用の許諾その他の著作権等の管理を行う行為であって、業として行うもの」をいいます(2条2項)。
(注)ここで、「著作物等」とは、「著作物、実演、レコード、放送又は有線放送」をいいます。また、「著作権等」とは、「著作権又は著作隣接権」をいいます。

@ 「著作権等管理事業」は、「著作物等」すなわち「著作物、実演、レコード、放送又は有線放送」のいずれかに関する権利を対象としていなければなりません。
 「著作物」とは何か、等については、著作権法によって解釈されます。

A 「著作権等管理事業」は、対象物の「利用の許諾」その他の権利の「管理」行為を目的としていなければなりません。
 これは、管理委託契約のなかで、少なくとも受託者(著作権等の管理を委託された者)が著作物等の利用を他人に許諾する権限を付与されることを要件とするものです。従って、受託者の管理権のなかに許諾権(他人に著作物等の利用の許諾を与えることができる権利)が含まれていない場合には、法の規制を受けません。利用許諾権以外の管理行為(例えば、著作物等の無断利用の監視行為や使用料の徴収分配行為など)のみを目的としている場合には、「著作権等管理事業」には該当しないことになります。

B 「著作権等管理事業」は、「管理委託契約」に基づき管理行為を行うものでなければなりません。
 ここで、「管理委託契約」とは、次の(a)「信託契約」又は(b)「委任契約」のいずれかの契約であって、受託者による著作物等の利用の許諾に際して「委託者が使用料の額を決定することとされている以外のもの」 をいいます。
  従って、契約書において、使用料の額を委託者自らがが決定することになっている場合(いわゆる非一任型の管理)には、自己の権利を自分で自ら管理する「自己管理」と同視でき、委託者の経済的利益が害される可能性が低いと考えられるため、法の規制を受けません。この点は特に重要ですので、契約書の記載等には十分に注意してください。
 なお、非一任型と一任型の管理を併用する事業形態では、一任型の管理の部分は登録を受ける必要があります。

 (a)「信託契約」とは、「委託者が受託者に著作権等を移転し、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする契約」をいいます(2条1項1号)。
 (b)「委任契約」とは、「委託者が受託者に著作物等の利用の許諾の取次ぎ又は代理をさせ、併せて当該取次ぎ又は代理に伴う著作権等の管理を行わせることを目的とする契約」をいいます(2条1項2号)。

 少々わかりづらい規定ですが、いぜれにしても、著作権等管理事業は、受託者が、自らの意思により委託者の経済的利益を左右する権限(他人に対する利用許諾権限・使用料額の決定)を有することを内容とする契約に基づく事業であるという点に留意してください。

C 上記の「管理委託契約」に該当する場合であっても、その「委託者が人的関係、資本関係等において受託者と密接な関係を有する者として文部科学省令で定める者」だけである場合には、法の適用を受けません(2条2項かっこ書)。
 委託者が人的関係・資本関係等において受託者と一定の密接な関係を有する者(例えば、配偶者や親族、親会社・子会社・関連会社、受託者が役員をしている会社など)である場合、受託者が委託者の経済的利益を害する管理が行われる可能性が低いと考えられることから、管理委託契約に基づくものであっても、法の規制の対象外になります。すなわち、このような密接関係者のみの管理を行う場合には、登録の必要はありませんが、密接関係者だけでなく一般の権利者からも委託を受ける場合には、法に基づく登録を行う必要があります。

D 「著作権等管理事業」は、管理行為を「業として」行うものでなければなりません。
 ここで、「業として」とは、その営利性の有無は問わないものの、「反復継続して」事業を行うことと解されるため、管理行為を反復継続して行う予定がなければ、法の規制を受けないことになります。

 以上で解説してきました「著作権等管理事業」に該当して、当該管理事業を開始するために登録を受ける必要が生じても、法に基づく一定の登録拒否事由(例えば、申請者が「法人でない」など)に該当する場合には、委託者保護ないし利用者保護の見地から管理事業者としての適格性を欠くとみなされ、結局登録を拒否されます(6条)。