共同著作物
著作権法2条1項12号
共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
【対訳】
"work
of joint authorship" means a work collaboratively created by two or more
persons with respect to which the contribution of each person cannot be severed
and separately exploited;
著作権法64条(共同著作物の著作者人格権の行使)
1.
共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。
2.
共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない。
3.
共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができる。
4.
前項の権利を代表して行使する者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
1.
共同著作物の意義
「共同著作物」とは、「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」をいいます(2条1項12号)。
以上の定義から、著作権法上「共同著作物」といえるためには、次の@及びAの要件を満たしていなければなりません。
@ 「二人以上の者が共同して創作した著作物」であること。
「二人以上の者」とは、自然人(生身の人間のことです)同士の組み合わせに限らず、自然人と法人、法人と法人の組み合わせ等であっても構いません。
「共同著作物」も「著作物」ですから、その一人ひとりが「著作物を創作する者」すなわち「著作者」(2条1項2号)でなければなりません。つまり、共同著作物の各主体がその作成に創作的に関与することが必要になります。従って、例えば、一人の構想・指揮監督の下で、他の者が「補助者」として創作に携わるに過ぎない場合(例えば、原稿を清書したり、データを整理したりするだけの場合)、当該補助者は共同著作者とはいえません(その構想・指揮監督をした者が著作者となります)。また、原案やアイディアを提供したに過ぎない者も、出来上がった作品が二次的著作物に該当するかどうかの問題は残りますが、一般的には、その出来上がった著作物の共同著作者とはいえません。
A 「その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」であること。
例えば、複数の者による座談会や会議を思い浮かべてください。そこでの出席者の発言内容の全体は、通常、「共同著作物」(口述著作物)であると考えられます。出席者の個々の発言だけを取り上げても、結局のところ、個別的に利用することはできないと評価されるからです。
なお、「共同著作物」とは別に、「結合著作物」(学者が名づけた用語で、著作権法上の用語ではありません。)というものがあります。これは、見かけは一体的な著作物として作られているように見えますが、それぞれの寄与分を「分離して個別的に利用することができる」著作物をいいます。例えば、歌謡曲・オペラなど歌詞と楽曲によって構成されている著作物、文章と挿絵によって構成されている著作物、解説付きの絵画や写真などがこれに該当すると考えられます。このような結合著作物は、「共同著作物」ではありません。また、一つの題号の下に書かれた作品であっても、第1章はA氏、第2章はB氏、第3章はC氏の執筆というように、各章を切り離して個別的に利用できるもの(いわゆる集合著作物)も、「共同著作物」ではありません。
2.
共同著作物の著作権法上の取扱い
以上に解説しました共同著作物は、その著作物としての一体性や、共同著作者間の密接な結合関係のため、著作権及び著作者人格権の行使や保護期間について特別な扱いがなされています(64条、65条、51条2項)。一方、結合著作物及び集合著作物には、そのような共同著作物に関する特則は適用されません。
ここでは、共同著作物の著作者人格権の行使について、簡単に触れておきます。
共同著作物の著作者人格権は、原則として、「著作者全員の合意」によらなければ、行使することができないとされています(64条1項)。共同著作物における著作者の一体性を考慮した規定です。もっとも、各共同著作者は、嫌がらせのような信義に反する行為によってその合意の成立を妨げることはできません(同条2項)。
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