著作権を「知って」・「学んで」・「上手に活用」するための情報が満載!

ホーム << キーワード解説 最終更新 '08/5/29

法人著作(職務著作)

参照条文

著作権法15条(職務上作成する著作物の著作者)

1法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

2法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。


【対訳】

Article 15. (Authorship of a work made by an employee in the course of his duties)

(1) The authorship of a work (except a computer program work) which, on the initiative of a juridical person or other employer (hereinafter in this Article referred to as "juridical person, etc."), is made by an employee in the course of the performance of his duties in connection with the juridical person, etc.'s business and is made pubic by such juridical person, etc. as a work under its own name, shall be attributed to such juridical person, etc., unless otherwise stipulated by contract, work regulations or the like at the time of the making of the work.

(2) The authorship of a computer program work which, on the initiative of a juridical person, etc., is made by an employee in the course of his duties in connection with the juridical person, etc.'s business, shall be attributed to such juridical person, etc., unless otherwise stipulated by contract, work regulations or the like at the time of the making of the work.

著作権法26

この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。


【対訳】

As used in this Act, "juridical person" includes associations and foundations that do not have juridical personality but have representatives or managers.


解説

著作者となりうる者は、実際に創作活動を行った「自然人」(生身の人間のことです。)であることが原則です。

しかし、以下の@〜Dのすべての要件を満たした著作物については、著作物を利用する際の便宜等を考慮して、会社などの「法人等」が著作者とみなされます(15条)。


@ 法人その他使用者(以下、「法人等」といいます。)の発意に基づき作成される著作物であること。


「法人」には、「法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」(例えば、自治会やPTA)が含まれます(26項)。

「法人等の発意に基づき」とは、著作物を作成するという意思が、直接又は間接に、法人等の判断によることを意味しています。つまり、直接的にも間接的にも、ある著作物の作成を企画するのが法人等であることを要求しています。


A 法人等の業務に従事する者により作成される著作物であること。

「法人等の業務に従事する者」に該当するか否かは、法人等と著作物を作成した者との間に「実質的な指揮監督関係」があるか否かによって判断すべきである、とするのが判例の立場です。法人等と著作物を作成した者との間に「雇用契約(雇用関係)」があればこの「実質的な指揮監督関係」がある、と言っていいでしょう。さらに、この判例の立場に従えば、両者間に明確な雇用関係がなくても、諸般の具体的事情を総合的に考慮・判断して法人等の実質的な指揮監督下に服する関係があれば、委任契約や請負契約に基づく場合であっても「法人等の業務に従事する者」に該当しうる場合があると思われます。例えば、フリーのライターが出版社の指揮監督下で他の従業員と同様な立場で雑誌記事の作成業務に関与した場合の当該フリーライターは、一般的に「法人等の業務に従事する者」といえるでしょう。


B 業務に従事する者が職務上作成する著作物であること。


従って、会社の従業員であっても余暇を利用して職務に関係のない著作物を独自に作成した場合勤務時間内であっても職務とは全く関係のない著作物を私的に作成した場合には、そのような著作物について会社が著作者になることはありません。

一方、職務上作成するものであれば、必ずしも勤務時間内に職場で作成する必要はありません。勤務時間外に自宅に持ち帰って作成したものであっても、それが職務に基づいて作成されたものである限り、当該著作物は「職務上作成する著作物」といえます。


C 法人等が自己の名義の下に公表する著作物であること。


この要件に関してはさまざまな考え方がありますが、一般的には、「創作時に当該法人名義で公表することが予定されている場合」又は「公表を予定していないが、公表するとすれば当然に当該法人名義で公表されるべきものである場合」にはこの要件を満たすと考え、この公表名義の要件を広く捉えています。この考え方に立つと、そもそも公表を予定していない著作物、特に企業防衛上機密扱いとすることが妥当なものについても法人著作が認められる余地があることになり、本規定は企業防衛としての機能をも果たしうるものになります。

一方、従業員が職務上作成した著作物であっても、その作成者(従業員)本人の名義で公表することが予定されている場合や作成者本人の名義で実際に公表された場合には、その著作物に関して法人等はもはや著作者とはいえないでしょう。
 なお、プログラム著作物については、この公表名義の要件は不要です(152項)。


D 作成時における契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと。


つまり、著作物を作成する契約等で「被用者を著作者とする」とか、「著作権は被用者に帰属する」といった別段の定めがあれば、以上の@〜Cの要件をすべて満たす著作物であっても、当該著作物について法人等は著作者にはなりえません。当事者の意思を尊重したものです。


関連キーワード

>> 著作者