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  著作権法2条(定義)1項12号 

  1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

<12>
共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
 

最終内容確認日 2011/11/06

解説・重要判例 

 2条は、著作権法において重要な概念となる用語や頻繁に使用される用語の意義をあらかじめ明確に定めることにより、解釈上の疑義を極力避けることを狙った規定です。

 ある1つの著作物の創作過程に複数の者が何らかの形で関与する場合、その関与の程度にはさまざまな段階(レベル)のものがあります。創作のアイディアやヒント、助言などを提供する者、必要な素材を収集する者、必要な資料を整理する者、編集方針を決定する者、創作過程の全体を調整する者…。
 近年、特に多額の資金投下を要するソフトウェア開発や、ゲームソフト・劇場映画の製作等の現場で複数の企業や個人が1つのプロジェクトのもとに集結して、共同で1つの著作物を製作する場面が増加しています。そして、このような製作現場では、プロジェクトに参加している各人の関与(寄与)が単一の著作物の完成に向けて融合的に混じり合って収斂している場合が少なくありません。このような場合に、出来上がった著作物の「共同著作物性(共同著作者性)」が問題となります。

 
「共同著作物」といえるためには、まず第一に、「二人以上の者が共同して創作した著作物」であることが必要です。
 「二人以上の者」とは、自然人(生身の人間のこと)同士の組み合わせに限らず、自然人と法人、法人と法人の組み合わせであっても構いません。創作行為は事実行為ですので、「法人」が「創作する」ことはあり得ないのですが、例外的に、「法人著作」(15)に該当する場合には、「法人」も「著作者」と認定されますので、「自然人と法人」、「法人と法人」の「共同著作物」も考えられます。

 
共同著作物というためには,著作者と目される2人以上の者の各人につき創作的関与が認められることが必要である。」(『鉄石と千草 京城三坂小学校記念文集』引用事件
 「共同著作物」も「著作物」(211)ですから、その一人ひとりが「著作物を創作する者」すなわち「著作者」(212)でなければなりません。そして、「著作物」とは、思想又は感情の創作的表現物(211号)ですから、自己の思想又は感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をした者だけが「著作者」と認定されます。つまり、著作物の作成に創作的に関与(寄与)したとは言えない者は「著作者」としての資格がなく、従って、「共同著作物」の創作主体(共同著作者)にもなりえません
 「著作物の作成に創作的に関与(寄与)したとは言えない者」とは、一般的には、次のような者が該当すると解されます。
 ✔ 単に企画や原案を立案した者、単に創作のアイディアやヒント、助言を提供した者(ただし、その提供の程度によっては、出来上がった作品が二次的著作物(2条1項11号)に該当するかどうかの問題はあります)
 ✔ 単なる注文主(発注者や委託者など)
 ✔ 補助的な役割(単なる口述筆記、原稿の校正作業、データの収集整理・入力作業など)を果たしたに過ぎない者

 「編集著作物」(12)及び「データベースの著作物」(12条の2)については、その「素材(情報)の選択又は配列(体系的な構成)によって創作性を有するもの」が「著作物」として保護されることから、これらの共同著作者については、素材(情報)について創作性のある選択・配列(体系的構成)を行った者(編集者)は誰か、という視点からその認定が行われるべきものと解されます。

 
共同創作の意思の存在(連絡)は必要か。この点につき、原告は,本件原画の著作権者であるP4の相続人である被告P2から,P4ノートの原画に着色するよう依頼されたものではあるが,P4自身との間における共同製作の意思の共通を認める事情は見あたらず,文化社版を原告とP4の共同著作物と認めることはできない」(絵本『地球の秘密』着色事件)とする裁判例があります。

 
「共同著作物」の第2の要件として、「その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」であることが必要です。
 例えば、複数の者による座談会や会議を思い浮かべてください。そこでの出席者の発言内容の全体は、通常、「共同著作物」であると考えられます。出席者の個々の発言だけを取り上げても、結局のところ、個別的に利用することはできないと評価されるからです。

 
例えば、甲の体験談を書籍にして出版しようとする場合に、甲が口述して、乙がその口述に基づき、それを筆記し、文章におこして、原稿を作成していくことがあります。このような場合、乙が単に甲の口述を書き写すだけでなく、
文章構成や文体などを考慮しながら、乙なりに口述内容の取捨選択等を行いながら、文章を補充訂正し、そのようにして作成された原稿を甲がさらにチェックして、削除や補充訂正等を行い、最終的な原稿が確定するときは、以上のような甲と乙の創作への寄与は、「分離して個別的に利用することができない」ものと評価され、それゆえに、出来上がった著作物(甲の体験談をもとにした書籍)は、甲及び乙の「共同著作物」に当たると解されます(書籍『静かな焔―肝臓移植を受けた医師』出版事件」参照)。

 
「共同著作物」とは別に、「結合著作物」(学者が名づけた用語で、著作権法上の用語ではありません。)というものがあります。これは、見かけは一体的な著作物として作られているように見えますが、それぞれの寄与分を分離して個別的に利用することができる著作物をいいます。例えば、歌謡曲・オペラなど歌詞と楽曲によって構成されている著作物、文章と挿絵によって構成されている著作物、解説付きの絵画の写真などがこれに該当すると考えられます。このような結合著作物は、「共同著作物」ではありません。また、一つの題号の下に書かれた作品であっても、第1章はA氏、第2章はB氏、第3章はC氏の執筆というように、各章を切り離して個別的に利用できるもの(いわゆる集合著作物)も、「共同著作物」ではありません。

 
共同著作物は、その著作物としての一体性や、共同著作者間の密接な結合関係のため、著作権及び著作者人格権の行使や保護期間、さらには権利侵害に関して特別な扱いがなされています(64655121171)。
一方、結合著作物及び集合著作物には、かかる共同著作物に関する特則は適用されません

 重要判例
   ・ 『KLS著作権判例エッセンス>共同著作物の意義と判断基準』参照












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