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1 著作物は、その性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が、第21条に規定する権利を有する者又はその許諾(第63条第1項の規定による利用の許諾をいう。第4条の2及び第63条を除き、以下この章及び次章において同じ。)を得た者若しくは第79条の出版権の設定を受けた者によつて作成され、頒布された場合(第26条、第26条の2第1項又は第26条の3に規定する権利を有する者の権利を害しない場合に限る。)において、発行されたものとする。
2 二次的著作物である翻訳物の前項に規定する部数の複製物が第28条の規定により第21条に規定する権利と同一の権利を有する者又はその許諾を得た者によつて作成され、頒布された場合(第28条の規定により第26条、第26条の2第1項又は第26条の3に規定する権利と同一の権利を有する者の権利を害しない場合に限る。)には、その原著作物は、発行されたものとみなす。
3 著作物がこの法律による保護を受けるとしたならば前二項の権利を有すべき者又はその者からその著作物の利用の承諾を得た者は、それぞれ前二項の権利を有する者又はその許諾を得た者とみなして、前二項の規定を適用する。 |
最終内容確認日2011/11/14
本条は、著作物の「発行」の意義を、ベルヌ条約の概念(3条(3)参照)に即して規定したものです。
「発行」(英語表記は、‘publication’)という概念は、6条2号においてわが国で保護を受けることができる著作物の射程範囲を定める概念である(後述)と同時に、著作権の効力(18条1項、32条1項等)や保護期間(52条1項、53条1項、54条1項)などを画する「公表」という概念に含まれる(4条1項参照)ため、著作権法では、非常に重要な概念です。そのため、ベルヌ条約においても「発行」に係わる規定が設けられており(ベルヌ条約3条(3))、著作物の「発行」の意義について定めるわが国著作権法3条も、このベルヌ条約の規定を念頭に置いて規定されています。
外国人(日本国籍を有しない者)の著作物については、それが最初に国内で「発行」された場合には、当該外国人の国籍のいかんを問わず、わが国の著作権法によって保護されることになりますが(6条2号)、この「発行」に当たるどうかは、本条によって判断されることになります。
著作物は、その性質に応じ公衆(2条5項参照)の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が、正当な権利者(複製権者、複製権者から利用許諾を得た者、出版権者)によって作成され、適法に頒布(2条1項19号参照)された場合において、「発行」されたものとして扱われます(1項)。従って、正当な権利者から適法に頒布されていない場合には、いかに外見的には「発行」に見えても、著作権法上の「発行」に至っているとは認められませんので、注意してください。
ここで、ある著作物の複製物が「その性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数」であるか否かは、結局のところ、具体的な著作物の種類と性質を考慮して、個別の事案ごとにケースバイケースで認定するほかありません。例えば、「(劇場用)映画の著作物」であれば、フィルム(複製物)数本でも、この要件を満たす可能性があります。
二次的著作物(2条1項11号)である翻訳物について、第1項に規定する部数の複製物が、正当な権利者(複製権者、複製権者の許諾を得た者)によって作成され、適法に頒布された場合には、その原著作物は、「発行」されたものとみなされます(2項)。つまり、二次的著作物である翻訳物の発行によって、その原著作物も発行されたことになる場合があるということです。
第3項は、わが国が保護義務を負うことのない著作物について「発行」の意義が問題となった場合に、その適用に当たって1項又は2項の権利を有する者が形式的に存在しないこともあることを想定して、そのような場合に備えての適用関係を明らかにした規定です。
重要判例
・ 『KLS著作権判例エッセンス>公表権の侵害性』参照
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ベルヌ条約3条(3)
Article 3
(3) The expression “published works” means works
published with the consent of their authors, whatever may be the means of
manufacture of the copies, provided that the availability of such copies has
been such as to satisfy the reasonable requirements of the public, having
regard to the nature of the work. The performance of a dramatic,
dramatico-musical, cinematographic or musical work, the public recitation of a
literary work, the communication by wire or the broadcasting of literary or
artistic works, the exhibition of a work of art and the construction of a work
of architecture shall not constitute publication.
(3) 「発行された著作物」という表現は、そのコピー[複製物]の作成方法のいかんを問わず、当該著作者の同意を得て発行された著作物を意味する。もっとも、当該著作物の性質を考慮しつつ、そのコピー[複製物]の入手可能性が公衆の求める合理的な必要量を満たす程度のものであることを条件とする。演劇、楽劇、映画又は音楽の著作物の実演[上演・上映・演奏]、文学的著作物の公衆への朗読、文学的又は美術的著作物の有線による伝達又は放送、美術の著作物の展示、及び建築の著作物の建設は、いずれも発行とはならない。
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