 |
|
 |
[トップに戻る]
最終内容確認日2012/05/15
本条は、著作者が、自己の著作物に対する有形的再製に関し、排他独占的権利を有する旨を規定したものです。
複製権は、著作権の中で、歴史的に見ても、また著作物の実際な利用の場面においても、最も基本的で重要な権利といえます。複製権とは、文字通り、著作物を「複製」する排他独占的な権利をいいます。
それでは、「複製」とは、具体的にはどのような利用行為を意味するのか。この点に関しては、著作権法に定義規定があります(2項1項15号参照)。
これによれば、「複製」とは、印刷、写真、複写、録音、録画などの方法によって、著作物を有形的に再製すること(著作物を形のある物にコピーすること)を意味します。従って、例えば、音楽の著作物の生演奏それ自体や演劇のライブ上演それ自体のようないわゆる「無形的複製」は、わが国では、「複製」の概念に含めて扱っていません(これらの「生演奏」や「ライブ上演」には、それぞれ「演奏権」・「上演権」が働きます(22条参照))。
小説や論文を印刷すること、これらを複写機でコピーすること、絵画や彫刻を写真撮影すること、講演をテープに取ること、テレビ放送された映画をビデオに撮ることなどは、いずれも「複製」に該当します。また、先の例でいいますと、生演奏されている音楽の著作物を録音したり、ライブ上演されている演劇の著作物を録音・録画することは、「複製」に該当します(後記参照)。
著作物の複製とは、「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」をいうとする最高裁の判例(「『ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー』事件」)がありますが、ここで「再製」とは、既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいい、かかる同一性の程度については、全く完全に同一である場合(いわゆるデッドコピー(dead copy)と呼べる場合)はもちろんのこと、多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない場合(実質的に同一である場合)も含まれると解されます。
なお、一部分の複製であっても、その部分が単独でも著作物性(2条1項1号)を有すると認められる限り、当該部分複製にも複製権は及ぶものと解されます。
絵画や書の手書きによる(忠実な)模写も「複製」に該当します。作成される複製物の数は問題となりません。複製物がたとえ1部であっても、著作権者の同意なしに複製することは原則として許されません。さらに、複製が営利を目的としてなされたか否かも問題とされません(非営利であっても当然に無断で複製を行えるものではありません)し、それが「公に」(22条参照)なされるか否かも問題とされません。
著作権法上の「複製」には、次に掲げる行為が含まれるものとされています(2条1項15号(イ)及び(ロ))。
すなわち、脚本等の「演劇用の著作物」について、「当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること」、並びに「建築の著作物」について、「建築に関する図面に従って建築物を完成すること」が、それぞれ「複製」行為として扱われます。
重要判例
・ 『KLS著作権判例エッセンス>著作権の侵害性-複製権又は翻案権の射程範囲-』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>著作権の侵害性-「複製」の射程範囲-』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>学術書・解説書における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>ノンフィクションにおける複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>その他の言語著作物における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>音楽著作物における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>絵画・イラストにおける複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>書における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>図面・図形・図表における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>PCソフトの表示画面における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>写真における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
・ 『KLS著作権判例エッセンス>ソフトウェア(プログラム)における複製権又は翻案権の侵害性の判断基準』参照
相談してみる
ホームに戻る
ベルヌ条約9条(複製権)
Article 9(Right of Reproduction)
(1) Authors of literary and artistic works protected by this Convention
shall have the exclusive right of authorizing the reproduction of these
works, in any manner or form.
(2) It shall be a matter for legislation in the
countries of the Union to permit the reproduction of such works in certain
special cases, provided that such reproduction does not conflict with a normal
exploitation of the work and does not unreasonably prejudice the legitimate
interests of the author.
(3) Any sound or visual recording shall be
considered as a reproduction for the purposes of this Convention.
(1) この条約によって保護される文学的及び美術的著作物の著作者は、いかなる方法又は方式によるかを問わず、当該著作物を複製することを許諾する排他独占的権利を享有する。
(2) ある特別な場合において著作物の複製を許すかどうかは、同盟国の立法に属する問題とする。ただし、そのような複製が、当該著作物の通常の利用行為と衝突するものでなく、かつ、当該著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする。
(3) いかなる録音又は録画も、本条約の適用上、複製とみなす。
ホームに戻る
|
|
|