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Article 90-3(同一性保持権)

1 実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。

2 前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。 

最終内容確認日2010/07/02

解説 

 「実演家」(214)には、「実演家人格権」という実演家の人格的利益を保護するための権利が認められています(891)。そして、この「実演家人格権」には、「氏名表示権」(90条の21)と本条に定める「同一性保持権」という2つの権利があります。
(注) 著作者人格権の1つである「公表権」(181参照)に相当する権利については規定されていません。実演は公衆への著作物の伝達行為(公表)を前提とするものであり、実演を公表するかしないか決定できる「公表権」なるものを認める意義がないからです。

 実演家は、著作者が「その著作物及びその題号の同一性を保持する権利」(201)を有するのと同様に、「その実演の同一性を保持する権利」(実演の「題号」の同一性を保持する権利は明示されていない。)を有します(1項)。実演家の人格的利益を保護するために規定されたもので、WIPO実演及びレコード条約5(1)に同旨の規定が置かれています。

 著作者人格権の1つである「同一性保持権」が「著作者の意に反して著作物及びその題号の変更、切除その他の改変を受けない」権利である(201)のに対して、実演家人格権の1つである「同一性保持権」は、「自己(実演家)の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けない」権利であるという点で、異なっています。
 
ここで「名誉又は声望」とは、実演家が社会から受けている客観的な評価をいい、実演家の名誉感情等の主観的な評価を含まないと解されています。

 同一性保持権は、「実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」又は「公正な慣行に反しないと認められる改変」には及びません(2)。前者の例としては、再生機器の性能から実演の音声や映像などが正確に再生(伝達)できないような場合が考えられ、後者の例としては、映画を放送する際に放送時間に合わせて再編集(カット)する場合や、映画を紹介(宣伝)する際に出演俳優の演技の一部だけを見せる場合などが考えられます。


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関連条約 

◆WIPO実演及びレコード条約5条(実演家の人格権)

Article 5
Moral Rights of Performers

(1) Independently of a performer’s economic rights, and even after the transfer of those rights, the performer shall, as regards his live aural performances or performances fixed in phonograms, have the right to claim to be identified as the performer of his performances, except where omission is dictated by the manner of the use of the performance, and to object to any distortion, mutilation or other modification of his performances that would be prejudicial to his reputation.

(1) 実演家は、その財産的[経済的]権利とは別個独立に、その財産的権利が移転された後においても、現に行っている、聴覚[]に関する実演、又はレコードに固定された実演に関し、自己の実演の実演家であることを主張する権利(当該実演の利用の態様により(実演家名表示の)省略[削除]が決定される[許される]場合を除く。)、及び自己の実演の変更、切除その他の改変で、自己の声望を害するおそれがあるもの(行為)に対して異議を述べる権利を有する。











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