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Article 93(放送のための固定)

1 実演の放送について第92条第1項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。

2 次に掲げる者は、第91条第1項の録音又は録画を行なつたものとみなす。
<1> 前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
<2> 前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者で、これらをさらに他の放送事業者の放送のために提供したもの 

最終内容確認日2010/07/09

解説 

 本条は、放送における実演を有効かつ円滑に利用することができるようにするために、実演の放送について実演家の許諾を得た放送事業者が当該実演を放送のために録音・録画することができる旨を定めたものです。

 実演家には「その実演を放送する権利」(放送権)が認められていますが(921)、実演家が自己の実演の「放送」について放送事業者に許諾を与えた場合でも、契約に別段の定めがない限り、当該実演の「録音」・「録画」の許諾まで与えたことにはなりません(103条準用634)。そのため、一般的に言うと、実演家がテレビやラジオの番組に「出演」を承諾したというだけでは、(その番組を「放送」することについては許諾が推認できるとしても)自己の出演に係る当該番組をビデオテープやDVDなどの固定物に「録音」・「録画」することまで許諾したことにはなりません。したがって、放送事業者がそのような固定物(ビデオテープやDVD)を作製し又は増製する場合には、あらためて若しくは事前に実演家の許諾を得る必要があります。これが原則です。
 
ところで、実演家が自己の出演した番組が「放送」されることに関して放送事業者にその許諾を与えている場合に、当該番組中の実演をその「放送のために」録音・録画するときでも、さらに実演家の許諾を得なければならないとするのでは、放送における実演の有効かつ円滑な利用が妨げられるおそれがあります。そこで、本条が設けられているわけですが、以上のような趣旨であるため、「契約に別段の定めがある場合」、及び「当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音・録画する場合」には、原則に立ち返って、いずれの場合にも実演家の許諾が必要になります(931項但書)。
 
ここで、契約に別段の定めがある場合」とは、例えば、出演(放送)許諾契約の中で、自己の実演はライブ(生)放送に限る、とする旨の条項を入れておく場合などをいい、「当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音・録画する場合」とは、例えば、別の新しい音楽番組に使用する目的で既存の音楽番組の中の実演を多数寄せ集めて録音・録画する場合や、音楽番組での実演をドラマやバラエティ番組の挿入歌として使用する目的で録音・録画する場合などが想定できます。

 以下の行為をした者は、「91条第1の録音又は録画を行なった」ものとみなされるため(2項)、特段の事情がない限り、実演家の「録音権」又は「録画権」の侵害行為を行った者と評価されます(以下の行為をするには、原則として、実演家の許諾が必要)。
 
① 「放送のための固定物」(本条1項の規定により作成された録音物又は録画物をいう。以下同じ。)を「放送の目的以外の目的」のために使用し又は提供した者。
 
② 「放送のための固定物」を「当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的」のために使用し又は提供した者
 
③ 「放送のための固定物」の提供を受けた放送事業者で、これらをさらに他の放送事業者の放送のために提供した者(「放送のための固定物」を他の放送事業者に提供することは可能である)

 放送について実演家の許諾を得た放送事業者が当該実演を適法に録音・録画できる場合として、他に、いわゆる自己の放送のための技術的手段としての一時的固定(1021項準用441)の制度があります。


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関連条約 

◆ローマ条約72

Article 7
2.
(1) If broadcasting was consented to by the performers, it shall be a matter for the domestic law of the Contracting State where protection is claimed to regulate the protection against rebroadcasting, fixation for broadcasting purposes and the reproduction of such fixation for broadcasting purposes.
(2) The terms and conditions governing the use by broadcasting organisations of fixations made for broadcasting purposes shall be determined in accordance with the domestic law of the Contracting State where protection is claimed.
(3) However, the domestic law referred to in sub–paragraphs (1) and (2) of this paragraph shall not operate to deprive performers of the ability to control, by contract, their relations with broadcasting organisations.

2.
(1)
放送に関し実演家の同意が与えられた場合に、再放送、放送(目的)のための固定、及び放送(目的)のためのそのような固定物の複製[増製]に対する保護をどのように規制するかは、保護が求められる締約国の国内法令に係わる問題とする。
(2) 放送(目的)のために作成される固定物の放送機関による利用を規律する条件は、保護が求められる締約国の国内法令に従って決定されるものとする。
(3) もっとも、本項(1)及び(2)に定める国内法令は、実演家から、彼らが放送機関との関係を契約によって規律する能力を奪ってはならない。











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