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Article 96(複製権)

レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。

最終内容確認日2010/11/27

解説・重要判例 

 本条は、レコード製作者が、そのレコードを複製することに関し、排他独占的権利を有する旨を規定したものです。

 「レコード製作者」とは、「レコードに固定されている音を最初に固定した者」のことで(216)、業界でいう「原盤権」(マスターに関する権利)を有している者のことです。いわゆる市販されているCDのレーベルや販売元(レコード会社)が常に「レコード製作者」ということではありません。「市販されているCD」は、著作権法上は、「商業用レコード」すなわち「市販の目的をもって製作されるレコードの複製物」に当たります(217)。一般的な用語法とはだいぶイメージが違っていますので注意を要します。ちなみに、著作権法で「レコード」といえば、「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもっぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)」を意味します(215)。

 「著作権法上,レコード製作者とは,『レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。』(著作権法216号)と定義されているから,レコード(同法215号)に入っている音を初めて蓄音機用音盤,録音テープその他の物に固定した者,すなわち,レコードの原盤の制作者を指すものと解される。そして,レコード製作者であるためには,いかなる方式の履行をも要しないものであるが(同法895),物理的な録音行為の従事者ではなく,自己の計算と責任において録音する者,通常は,原盤制作時における費用の負担者がこれに該当するというべきである。また,レコード製作者が誰かについては,原盤制作と同時に原始的に決定されるべきものであり,原盤制作後の後発的な費用負担の変更等によって,レコード製作者たる地位そのものが変わることはないものと解される。」(送信可能化権確認請求事件

 CDのような音源についてレコード原盤といわれるマスターの録音物を制作する主体は,音楽実演家たるアーティストの所属する音楽事務所(プロダクション)であり,プレスされたCDのようなレコードを配給する主体は,レコード会社であるとされている。その配給とは,プレスして製造されたCDを商品化して宣伝し,卸売店や小売店に販売することであるところ,実際には,レコード会社がプレスや物理的な配給も他社に委託して行っていることが多く,レコード会社の配給事業の本質は,レコードの企画と宣伝にある。
 
レコード会社,アーティスト又は所属事務所のいずれかの主導により,新作アルバムとしての原盤制作がスタートすると,原盤の制作費として,スタジオミュージシャンの報酬,スタジオ使用料,編集室使用料,エンジニア料及び編曲料等が必要となる。
 
このような原盤制作費の負担の方法は,レコード会社と所属事務所との契約の内容により,@レコード会社が全額負担するもの,Aレコード会社と所属事務所が共同して負担するもの,B所属事務所が全額負担するものの3つに分けられる。上記Aの方法で制作された原盤については,「共同原盤」と称されている。
 
なお,アーティストは,所属事務所との間でマネージメント契約を締結しており,同契約に従って,レコード会社から所属事務所を経由して実演家印税分の支払を受けることになる。」(送信可能化権確認請求事件

 ローマ条約10条において、レコード製作者は、自己のレコードを「直接又は間接に」複製することを許諾し又は禁止する権利を享受する、とあります。また、WIPO実演及びレコード条約11条は、レコード製作者は、「いかなる態様[方法]又は形式においても」、自己のレコードを「直接又は間接に」複製することを許諾する排他的権利を享受する、と規定しています。したがって、本条にいう「複製」には、原盤からリプレスして販売用のCD(商業用レコード)を製作する場合(直接複製)のみならず、市販のCD(商業用レコード)を購入してそこから録音する場合や市販のCD(商業用レコード)がテレビやラジオで放送されて、それを録音するような間接複製も含まれることになります。また、その録音のやり方や方式のいかんを問わないことになっているので、例えば、デジタルによる録音も当然にここに含まれます。

 そこで検討するに、著作権法96条は『レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。』と規定するところ、ここにいう『レコードを複製する権利』とは、レコードを『有形的に再製する』(同法2115)権利であり、また、『専有する』とは、文字通り『専ら有する』ことを意味することが明らかであるから、結局のところ、著作権法96条は、レコード製作者が、自らの製作に係るレコードを有形的に再製する権利を専ら有していることを規定するにすぎないのであり、したがって、ここから導き出されるレコード製作者の権利とは、その製作にかかるレコードを自ら自由に有形的に再製することができるとともに、その意思に基づかずに他人が右レコードを有形的に再製することを禁止し得るという権利であるといえる。してみると、右のようなレコード製作者の複製権を『侵害』する行為として、同法1121項による差止請求等が認められる行為とは、レコード製作者の意思に基づかずにその製作に係るレコードを有形的に再製する行為にほかならないものというべきである。」(通信衛星デジタル放送番組『スターデジオ』事件A


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関連条約 

◆ローマ条約10

Article 10(Right of Reproduction for Phonogram Producers)
Producers of phonograms shall enjoy the right to authorize or prohibit the direct or indirect reproduction of their phonograms.

レコード製作者は、自己のレコードを直接又は間接に複製することを許諾し又は禁止する権利を享受する。

◆WIPO実演及びレコード条約11条(複製権)

Article 11(Right of Reproduction)
Producers of phonograms shall enjoy the exclusive right of authorizing the direct or indirect reproduction of their phonograms, in any manner or form.

レコード製作者は、いかなる態様[方法]又は形式においても、自己のレコードを直接又は間接に複製することを許諾する排他的権利を享受する。

Agreed statement concerning Articles 7, 11 and 16: The reproduction right, as set out in Articles 7 and 11, and the exceptions permitted thereunder through Article 16, fully apply in the digital environment, in particular to the use of performances and phonograms in digital form. It is understood that the storage of a protected performance or phonogram in digital form in an electronic medium constitutes a reproduction within the meaning of these Articles.











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